メカニック短編集

怒るシーンを書きたかっただけの完全自己満。それ以外はギャグ漫画みたいなやつです。オチ弱すぎて萎えてます。

inm視点

大掛かりな任務のせいで、おれたちは昨日から3泊ほどヒーロー拠点で寝泊まりすることになっていた。どうも風邪気味だったのでお先に失礼していたのだが、全然寝付けない。喉が渇いた気がするので、お茶のあるキッチンへ向かおうとしていた。みんなの声が聞こえたので足を止める。みんな、まだ起きてたんだ。

「……でさ！」

「それは言いすぎじゃない？笑」

「メカニック部門って必要なん？」

「いーーや要らんやろ笑笑」

は？と思わず声が出そうになる。おれが、必要ない？

「他にも優秀なメカニックおるて笑」

「ライがかわいそうやわ〜」

「ライじゃないやつに頼むべきやろな…」

おれじゃないやつ、おれじゃない………おれは必要じゃないんだ………。おれは喉が渇いたこともすっかり忘れて、涙ぐむ眼を押さえて寝室に戻る。みんな、おれのこと嫌いなのかな………？ヒーロー辞めちゃおうかな、とふと思う。結構ありかもしれない。

いつの間にか朝日が昇っており、そろそろ起きなきゃな、と目を擦る。結局ずっとモヤモヤしたまま浅い睡眠しかできなかった。このまま逡巡するのも余計体調が悪くなりそうな気がするので、ここは伊波ライ、漢を見せるとき。リビングへ行くとみんなはもう朝ごはんを食べていた。思い切って問わないと。

「おはよ、ライ」

「おはよ」

「よく寝れた？」

「まあまあ」

「体調戻ったか？」

「うん、それよりさ」

「なーにそんな真剣な顔して笑」

嘲笑するような態度を示されておれはカッとなる。昨日の愚痴大会みたいなのは何だったの？おれが聞いてないのを良いことに？たちが悪い。悪すぎる。

「昨日、おれの愚痴言ってたでしょ」

全員がおれを見たまま、無視をする。そんなことある？目を背けることもないなんて、後ろめたさもないの？

「おまえらホントにさ！！なんなの！！」

ちゃんとおれは怒ることが出来ないと思ってなかったのだろうか、7人が一斉に目を見開く。

「皆揃って無視。なんなの？それ。ハッキリ言ってよ、意味分かんないよ」

開いてしまった口は、止まらない。今まで溜めていたものが大波のように流れ出す。

「おれ、そんなに必要なかった？辞めちゃえってこと？居なくなっちゃえばいいってことなんでしょ！！おれなんか！！おれなんか！！！」

「ライ」

「ホントはおれより優秀な人材がいるんだろ！？おれ知ってるから、ずっとずっと言おうか迷ってた！この際ハッキリ言うけど、おまえらがおれのこと嫌いってのも知ってるから！！」

きょとんとする7人。おれがこんなに怒っているのにそんな態度かよ、と思わず憤ってしまう。

「いい加減にしてよ、まだとぼける気なの？じゃあもう良いよ、おれヒーロー今日で辞めるから。絶対に許さないから」

「ライくん！！！！」

「何だよ、今更何の用だよ？？」

仕方なく振り向くとある方向に指を向けるテツの姿が。その指の先には……泣いているキリンちゃん。

「………っ、ごめ………言いすぎ、た」

「いいんだ、ちょっとだけ………時間くれない？」

どれほど経っただろうか。おれはみんなの前に座って沈黙が続いていた。

「その……ライ？言いづらいんだけど、ライより優秀な人材って………何？」

おれから口を開こうと思ってたんだけどなあ、おれ弱いんじゃん。やっぱりヒーローに必要ないのかも。

「俺等がお前のこと嫌い？そんな訳無いじゃん」

「適当言わないでよ、裏では散々言ってるんでしょ、知ってるよ」

「なんの話？どっから手に入れたん、その情報」

「おまえらが喋ってたじゃん」

「いつ？」

「昨日の夜、おれが寝てから」

「もしかして、あれ？大食い大会の話？」

「………………は？」

おれの呆けた面を見て、そういうことかと納得するみんな。ちょっと待って、おれが理解できてないんだけど。

「昨日な、拠点に届いてた依頼届見ててん」

「うん」

「したらな、ライ宛にこんなものがあって」

笑いを抑えきれないような仕草を見せてこちらにそれを手渡すマナ。手紙を見てみると、大食い大会の案件だった。

「世界には色んなものがあるもんやな、メカニック専用、の大食い、大会が」

「もう笑い堪えられてないじゃん」

ツッコミで堪えられなくなったのだろうか、マナが大爆笑し始める。それにつられてみんなが下を向いて笑い始める。

「いやいや、お前ら笑ってるのバレてるからな？」

「いや、だって笑っちゃいけない雰囲気、だった、じゃwwwwwwww」

みんなが笑ってるのを見てつられておれも笑ってしまう。なにこれ、アンジャッシュしてるだけだったのかよ。おれが怒った意味何だったんだよ。

「じゃあ優秀なメカニックっていうのはwwww」

「そうだよ、大食いが得意なメカニックだよwwwwww」

「なんなのほんとにwwwwwww」

「いやこっちの台詞だよwwwwwwww」