テラーノベル
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「もとき様、おはようございます。朝食の準備が整いました」
目を開けると、見慣れない天井。あぁそうだった。藤井家っていう凄い人たちに引き取られたんだった。
そういえば昨日の夜、滉斗さんが僕の部屋に来てたんだっけ。さすがに戻ってるかな。
「ん……朝か。ん?あ、そっか。元貴、起きてるか?」
うわっ!びっくりしたぁ。まだ居たんだ、というか、この部屋で寝たのかな。ベッドには僕だけだから、今座ってるソファーで?
「滉斗様、こちらに居られたのですか。お付きの者が探しておられましたよ」
「わりぃ。伝えといてくれ」
あの人は、使用人さんかな。オツキノモノって、滉斗さんの担当をしている人のこと?しつじってのは、絵本で見たことがあるけど……。
「それでは、私は涼架様を起こして参ります」
深々と頭を下げて、その人はいなくなった。部屋には僕と滉斗さんだけ。改めてみても、この部屋はとても広いなぁ。
「元貴、着替えはそのクローゼットの中に入っている。サイズは合うはずだ、もし不備があればすぐに持ってこさせるから」
クローゼット?あ、このでっかい棚?
開いてみると、そこにはびっしりと新品のキレイな服がならんでいた。その端の方、キラキラとした服に隠れるように、二つだけ、色褪せてボロボロの服があった。
「それはおまえの大切なもんだろ。俺が死守してやった」
良かった、捨てられたと思ってたから。こんなに煌びやかでビシッとしてるおうちに、こんなにボロボロの服を着た人がいる分けないもん。でも、滉斗さんが守ってくれたんだ。
「突然全てを奪われるとつらいからな。もう要らないと思うまで大切に持ってりゃ良いよ。そんな日なんて来ないかもしれないけどよ」
じゃ、俺も着替えてくるわ。そう言い残して、滉斗さんも、この部屋を後にした。
さて、どれを着ようか、たくさんありすぎて分からない。でも、やっぱり、あのボロボロの大切な服がいい。滉斗さんが守ってくれた、僕の大切な服が、一番安心するんだ。
「あ!もとき君おはよ!今日の朝は和食だって~!」
「ん、似合ってんな」
ご飯の部屋に行ったら、涼架さんがおはようって言ってくれた。服のことは気にしてないみたい。滉斗さんも、似合ってるって。使用人さんたちは少しだけ困った顔をしてる気がするけど、特になにも言われない。
「今日は晴れだねぇ。晴天だぁ。昨日は雲があったけど、今日はひとつもないよ!」
「涼兄ぃ、食べながら喋んな」
涼架さんは、おしゃべりが好きなんだな。いつも喋ってる気がする。それに対して滉斗さんは、あまり喋らない。でも優しいし、僕のことを気にしてくれる。お喋りが得意じゃないのは、僕に似てるな。
「元貴、旨いか?」
あ、うん、とても。僕がこんなに美味しい食べ物をお腹いっぱい食べれる日がくるなんて思ってもいなかった。
このおうちに来てから、絵本でしか見たことないようなことが、次々と現実で起こる。
「もとき君、今日さ、裏庭で日向ぼっこしようよ!」
レジャーシート広げて!と付け足した涼架さんの目は、とてもキラキラしていた。日向ぼっこってどんなのか分からないけど何だか楽しそう。やってみたい、かも。
「滉斗も一緒に行こーよ」
「……元貴が行くなら、しゃーなし」
孤児院にいたときは、みんなでご飯を食べたり、お喋りしたりすることなんて、僕にはなかった。
だから、慣れないことばかりで、上手には出来てないかもしれないけど、少し笑えるようになったかな。
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コメント
2件
2人との距離が少し縮まった気がします! 続き楽しみにしてます!!
コメント失礼します🙇 こう言う物語すごく好きです🫶 続き待ってます!
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