テラヌノベル

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タむトル、䜜家名、タグで怜玢

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<匷者ず匱者、倩才ず凡人>

2025-02-06


「 芋぀けた、」

その郚屋から滲み出るは、懐かしい魔力。

「    」

心臓の錓動が早い。止たっお欲しくおも、䜓は正盎らしい。心の底からの緊匵は心臓にはしっかり䌝わっおいる。嫌なずころで玠盎だな、ず思い぀぀、別に誰に銬鹿にされる蚳では無いから、たぁいいかずも思う。

「 倧䞈倫、だから 」

ポケットの䞭で、お守りのようなそれをぎゅっず握りしめる。䞍安はなくならないけれど、それでも握っおいた方が楜になるず思った。

「 っ、はヌ、  」

別に自分は手を匕きに来たわけじゃない。ただ、仲盎りがしたいのだ。だから、䜕をされおも倧䞈倫だっお、そう思いたかった。でも、無理なんだっお、自分は匱いんだっお、そう思わせられおしたう。だっおドアを開けるだけのこずを、こんなにも躊躇しおいるのだ。そんなの、気匱以倖の䜕物でもないだろう。

「 倧䞈倫、私なら倧䞈倫 」

震える手をドアノブに眮く。

倧䞈倫。自分はこのくらいのこず、今たで䜕癟回ず䜓隓しおきたじゃないか。今曎怖気付くこずなんおなにもない。だから 、倧䞈倫だから。

「 っ、」

䞀気にドアを開いた。刹那、眩しい光が私の芖界を芆った。


✩✩✩

「 っ、アむル、どこ 」

孊園長が蚀うには、アむルが奜きな堎所にいるらしい。そしお、その奜きな堎所ずいうのは、アむルが奜きな物が沢山眮いおある堎所だず。

「  銬鹿だね、本圓に 」

その蚀葉は自分に突き刺した぀もりだった。だっおアむルは悪くない。党お、ツララでもオヌタヌでも、他の誰でもない、あの時圌を突き攟した私の責任だ。

 アむルが奜きな物はアレだったはず 、でもあんなのどこに 

走っお走っお、けれどアむルらしき魔力はこれっぜっちもなくお。死んでしたったんじゃないかず錯芚するほど、ここには䜕も無くお。

あヌ、こんなこずになるなら ううん、そんなこず悔やんでも今曎どうにもならない。今はただアむルを芋぀けなきゃ。

私には埌悔できる 暩利なんおない。過去を悔やんで、過去に戻れればず望んで、過去のようにたた仲良くなれたらず願うこずですら、私はできない。蚱されない。だっおそれは、被害者にしか蚱されない特暩だから。どう足掻いおも私は加害者で、蚱されはしない匱者だから。

「 今曎すぎるよ、私。」

小さく零したその蚀葉。䞍意に、誰からか蚀われたようなセリフ。でもその誰かはきっず過去か未来かの私だ。

「 アむル 、 」

どこたでも続くような長い廊䞋は、たるで私を嘲笑うかのように䜕も芋せおはくれない。

段々ず薄れおいく反応に、私は焊りを芚えた。

「 っ、」

地面を割るような、そんな咆哮が聞こえる。魔物が近くにいるらしい。

あはは、困ったなぁ、 私、もう魔力なんお殆ど残っおないのに 

無理矢理異䞖界こっちに来お、アむルず仲盎りをしようずした眰が圓たったかなぁ、なんお思い぀぀、この状況をくぐり抜ける為の策を思考する。

「 、たぁ、方法はひず぀しかないよね 」

匱者で悔やむ暩利もなくお、ただの凡人の私に出来るただ1぀の方法。

「 <りィンド・コンゞュラヌ> 」

固有魔法を䜿う。これなら他の魔法より魔力の出力を䞋げれる。

「 ふぅ、 魔力の消費、少しは抑えられたかな、 」

䞀応私には魔力凝瞮液があるが、若干の吐き気が副䜜甚ずしお付く。ずはいえ、これは今の私にずっおかなり有難いものだった。

䜕本目かも分からない瓶のコルクを取り、その䞭の液䜓を飲む。瞬間、䜓の奥からぜわぜわずした枩かさに包たれる。魔力が回埩した合図だ。

「 っ、でもさすがにやばいかも 、」

回埩するのはあくたで魔力であっお、身䜓では無い。傷を回埩するには魔法が必芁で、その魔法を発動するためには魔力が必芁。぀たりは魔力の䟛絊が远い぀かない。

「 アむルだったら、どうしおるかなぁ、 」

こんな時、圌だったらどうしおるか。

䞊手く節玄しおた䞀気に突き進んでたそれずも今の私みたいになっおた

「 ううん、そんな筈ない」

だっおアむルは私よりも匷い人なんだから。こんな愚かなこずはしない。少なくずも、こんな颚に魔力切れにはなっおいない。

「 銬鹿みたいだよね、 ほんっずうにさ、 」

壁に寄りかかりながら立ち䞊がる。

だっお諊められないから。

アむルのこずも、昔のこずも、党郚、手を䌞ばしただけじゃ足らないから。

「でも諊めれないよ 」

どうせ手を䌞ばすんだったら、足を螏み出すのなら、最埌たでやり遂げなきゃ

「 うん、倧䞈倫だよね。私は颚の神杖りィンドケむン、ラむラりィンドこのくらいの困難、ちゃんず乗り越えられる」

忘れおいた。い぀もこうしお、自分を錓舞をしお困難を乗り越えおいたこずも。でももう忘れない。ちゃんず党郚乗り越えお救っお、芚えるから。

「 よし、行こう」

その暗い暗い廊䞋に、螏み出した。


✩✩✩

──────そしお冒頭に至る。


「 たぶしっ 」

その眩い光が収たる頃、私の芖界にはありえない物が映った。

「 雚、 それに、この花は 」

宀内では降っおくるはずのない小雚、しっかりず床があるなら生えおこないはずの花が、私の目にはしっかりず映った。

「 なにこれ、 本圓にここ 」

冷たい雚は私の䜓を濡らすけれど、呌吞困難などの症状が出おいないのを芋るず酞性雚だずかの有害物質ではない。花も、魔力吞いの花では無い。぀たり、ここに立っおいおも䜕ら危険ではない。

「はぁ。もう来ちゃったんだ。぀たんない。」

「 」

瞬時に構える。䜕時でも魔法を発動できるように。

「そんなに構えないでよ。僕だっお戊いたい蚳じゃないんだ。たぁそっちが望むなら、話は別だけどね。」

その濃い霧の奥から聞こえるのは、玛れもないアむルの声。芖界は自分の呚りしか芋えないほど䞍安定なのに、その声だけははっきりず聞こえる。

「ねぇ、なんで来たのこの前は僕を連れ戻すためずか䜕ずかほざいおたけど 」

「 それで合っおる っお蚀ったら今日は少し違うかな。今日はね、 君ず仲盎りしに来たんだ」

「 は僕ず仲盎りふざけおるのラむラ、お前が過去に僕にしたこず、もう忘れたの」

「ううん、忘れおないよ。あのこずは今も芚えおる。」

「だったらなんで 」

「このたたじゃ埌悔するず思った。喧嘩別れなんおしたら、この先死んでも死にきれない皋の埌悔をするず思った。 だから、せめお仲盎りしようず思っお、ここに来た。」

「 埌悔そう思うんだったら尚曎来ないでよ。僕はもうキミに䌚いたくない。それも分かっおるんでしょ」

「うん、分かっおる。だから来たの。私、性栌悪いからさ、アむルが嫌がるこずしかできない。」

「 っ、ふざけおる 」

「 いいよ、そう思われおも。君が私の蚀葉を聞いおくれるならね  っ、」

霧の向こう偎から、攻撃が飛んでくるのを私は躱す。段々ず勢いづいおいくそれに、段々ず苊しくなっおいく。

「 っ、匷く、なったね 、」

「 神芚者になったキミには蚀われたくないな」

「、それどこから知っお 」

「さぁね。少なくずもキミは知らなくおいい人だよ。そんなこずより攻撃に集䞭したらさっきから防埡ばっかりで぀たんないんだけど。」

その蚀葉ず共に、攻撃は曎に激しくなっおいく。たるでアむルの感情のように、それは冷たい。

「 アむルも、前の私ず戊いたかった」

攻撃を躱しながら、魔法を発動しながら、そう聞いた。

「そうだね。こんなに手加枛するんだったら、昔のラむラの方が楜しかったかも。」

攻撃は止たない。倚分、私が反撃するのを狙っおる。反撃しお、そのたた自分を殺させる気だ。

───他でもない、私自身の手で。

「あははっ、蚀うねぇ 、っ」

たぁその意図があっおもなくおも、私は反撃なんおする぀もりは端から無い。仮にも私は神芚者で、アむルはただの䞀般人だから、䞇が䞀にでも死なせおしたった堎合私が眪に問われおしたう。 それが䟋えどんな状況であったずしおも、正圓防衛であったずしおも、倚分刑は倉わらない。

「孊幎銖垭様はやっぱり、匷いダツず戊いたいんだ」

「は、 っ っ、どこで聞いた」

「それこそ君は知らなくおいい人だよ。知ったらその人のこず、譊戒しちゃうだろうからね。」

「 っ、やっぱり君もそうやっお隠すんだ。」

少し蟛そうな、その声色は震えおいる。

そういう所は倉わらないなず、少し過去を思い出す。もう戻れこっないけれど、せめお思い出に浞るくらいは蚱しお欲しい。

「ねぇアむル、私の事嫌い」

「 よく喋るね。そんな事聞く意味もないのに」

「いいから。嫌い奜き は流石にないか。」

聞くたでもなかったかな、ず思いながら、私は攻撃を避けお避けお、䜕ずか耐え忍ぶ。

「よく分かっおるじゃん。そうだよ、僕はラむラ、キミの事がずっず嫌いだったんだよ」

その悲痛な叫びに、心がぎゅっず締め付けられる。それず同時に、私は圌にそれほど苊しい思いをさせおいたんだず痛感する。

「 そっか、そうだよね。 ごめんね、こんなこず聞いお。」

「 はぁ。分かっおるなら聞かないでよ。䞀々答えるのめんどくさいんだから。 <レむニヌ>」

面倒くさそうな声が聞こえる。それず同時に魔法が発動される。

「 っ、<りィンド>っ」

迫り来る魔法雚。それは圌の固有魔法だったか。それすらももう遥か昔の蚘憶で、頭の䞭には情報なんお塵もなかった。

「無駄だよ。僕は今も昔もキミなんかに負けるほど匱くないよ。キミは抵抗ず呌べる皋の抵抗もできず、そのたたここで死ぬんだ<レむニヌ・スタン>ッ」

魔法の名が叫ばれる。その瞬間、指先さえ動かせないほどの圧力が私を襲った。

たるで真空状態にされおいるような、肺を盎接ぎゅっず抌されおいるような、そんな感芚だった。

「っ  嫌だよ、絶察そんな結末こずにはさせない、私は、絶察アむルず仲盎りしお垰るっお、そう決めたの」

「そんな倢物語、ッ」

孊園長にも蚀われたその蚀葉。もうそんな事を蚀われおも䜕も思わない。あるのは反逆心だけ 。

段々ず霧が晎れる。

「そうだよ倢物語だよでも私はできる実珟出来る皋の力を持っおる」

「違うお前は僕から逃げお逃げお逃げ続けお、ずっず目を逞らしおいた匱者だ」

「ならアむル、 君は自分が匷者だずでも蚀うの私の栄光だけしか芋おいない貎方が」

「栄光だけしか芋おいないそんな蚳が無い僕はずっず芳おいた栄光も圱も、党郚」

「じゃあ蚂正させおもらうよ君が芋おいたのは、党お幻圱だっお君の目には䜕が映っおいたのかなんお私は分からないけど、でもそれが間違いっおこずは分かるよ っ」

「幻圱間違いそんなこず、凡人のキミには蚀われたくないねそっちだっお䜕も分かっおいないんじゃないか僕は芋おいたんだ芋えないほど遠くたで先を行っお、僕を眮いおいったキミの軌跡を幟぀もの村を救っお、英雄に成っおいったキミの姿を」

「それが幻圱だっお蚀っおるんだよ銬鹿アむル村を救ったのは私じゃない、皆だよあの時、私はあの子を救えなかった私は、力をただ本胜のたたに䜿っただけそんなのただの魔王でしかない英雄なんかじゃない」

「違う違う違う黙れッキミは確かにあの村で、英雄になった力を持぀者が力を䜿うのは自然の摂理だろうそれで頂点になるなんお、叀来より続いおきたモノだなにも間違っちゃいない銬鹿はキミの方だろう銬鹿ラむラ」

「っ、 」

あぁ、倚分私ずアむルは根本的な䟡倀芳から違うんだろう。 それは倚分、人間ず動物のように、人類ず神のように、生たれ持った環境から違うから。ただ幌少期に出䌚っおしたっただけの、幌銎染でしかないから。

「君にいくら貶されたっおいいよ魔法で怪我を負わされおもいいよでも私は 私たち・・・は 」

最倧出力。杖に蟌める魔力は今私が持぀党おの魔力。

 本圓はただ取っお眮きたかったけど、仕方ないね。ただ眠っおた力も、䜿える力も党郚党郚あげるよ。それで、アむルも、アむルを 

「アむル君を救いに来たんだよッ」

みんなみんな、救えるなら

「 は 」

────刹那、眩い光が郚屋を包んだ。

ど の 寮 に も 属 さ な い  最 終 手 段  の 少 女 は  。

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