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「いってぇ…珠生本気で投げ出しただろ」
部屋からは鍵を閉める音がした。
「…仲直り、仲直りねぇ」
仲直りをしようにも、碧海に合わせる顔が無い。碧海にあんなに酷いことを言っておいて、今更こちらから仲直りしようなど、俺には到底、言えなかった。
「うーん…」
部屋に帰ろうにも合わす顔が無いので、廊下をとぼとぼ歩きながら進んだ。
廊下をぐるぐる歩きながら悩んでいると、後ろから急に抱きしめられた。急のことに驚きが隠せず、抜け出そうとしたが離れれない。
「って、もしかして、碧海!!?」
抱きしめられた腕からは、自分の服と同じ匂いがした。同じ匂いなど、両部屋が一緒の碧海しか考えられない。
「あ、碧海!!離して」
「無理」
「なんで!!?」
ぎゅっと抱きしめられ、身動きが取れない。碧海の顔も見えないので、なぜ抱きしめたのかが分からない。
肩にぽすりと顔を埋められた。
「碧海、顔見たいんだけど」
「だめ。俺今顔ぐしゃぐしゃだから 」
碧海からは、鼻を啜る音が聞こえた。
肩にも冷たい感覚があり、泣いているのだと思う。