テラーノベル
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よく目立つ先輩だから、莉犬も名前は知っていた。
確かーななもり先輩だ。
莉犬の姿に気付くと、ななもりはパッと笑顔になった。
「あ、生徒会の莉犬くんだよね! うわ〜、来てくれてありがとう!」
人懐っこく駆け寄って来たかと思うと、莉犬の両手をぎゅっと握りこむ。
黙って読書をしている姿は知的な秀才というイメージだったが、話してみるととても気さくでおだやかな雰囲気だ。
「頼りにしてるよ。よろしくね」
ななもりが、握った手をぶんぶんと上下に振る。
その手の大きさになんだか安心しつつ、莉犬は遠慮がちに顔をあげた。
「あ、あの、確か·····三年のななもり先輩·····ですよね」
「うん、そうだよ。さ、入って入って」
ななもりはまるで自分の家のように、莉犬を文芸部の部室へと招き入れた。
文芸部の部室は、生徒会室とほぼ同じレイアウトだった。
しかし、椅子やテーブルなどの備品はもっと簡素だ。
壁際に設置されたラックには、年代物の文芸誌や小説の単行本などが乱雑に並んでいる。
莉犬が木製のそっけない椅子に腰を下ろすと、ななもりは緑茶の入った湯飲みを「どうぞ」とテーブルに置いた。
「どうも·····」
莉犬がお礼を言うと、ななもりは軽くうなずき、自分の席に座って本を読み始めた。
「·····」
無言になってしまった空間が気まずくて、莉犬はそわそわと部室内を見回した。
コメント
1件
うわあ、ななもり先輩、めちゃくちゃいい人そうですね。最初のぎゅっと手を握る仕草から、距離の詰め方が自然で驚きました。それでいて部屋に入った途端にそれぞれが本を読み出す空気の描き方がリアルで、莉犬くんがそわそわしちゃう気持ち、すごくわかります。文芸誌や単行本が乱雑に並んでるラックの描写に、古書好きとして惹かれました。この静かな距離感、これからどう変わっていくのか楽しみです。
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椎名遥陽~はるひ~
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