テラーノベル
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夕暮れ時の下校ラッシュでざわめく高校の最寄り駅前。
部活終わりの高校2年の目黒蓮は、母親からのLINE画面を仏頂面で見つめていた。
『今日、弟の誕生日だからケーキ屋さんでホールのケーキ買って帰ってきてね!』
(ホールのケーキ…? 男1人でケーキ屋に入るの地味にハードル高くね…?)
部活の汗を拭いながら歩いていると、少し路地に入った所に、こじんまりとした佇まいの可愛らしい洋菓子店が目に入る。
白を基調とした外観に、香ばしい甘い匂い。
店のガラス窓には『Patisserie SNOW』というお洒落なロゴ。
ここなら入りやすいかもしれない、と目黒は小さく息を吸い込んで扉を押し開けた。
💚「いらっしゃいませ!」
ショーケースの奥から声をかけてきたのは、エプロンをキュッと身に纏った柔らかで爽やかな雰囲気の青年。
胸元の名札には「ABE」と刻まれている。
🖤「あの、ホールケーキって…ありますか?」
💚「はい! 本日はこちらのフルーツタルトと、定番のショートケーキのホールをご用意出来ますよ!」
阿部の太陽の様に明るく丁寧な接客に、目黒は内心(うわ、すっげぇ爽やかな人…)と気圧される。
弟の年齢を考えて「じゃあ、このショートケーキのやつで」と指差した。
💚「かしこまりました! こちらはお誕生日用…でしょうか?」
🖤「あっ、はい、そうです」
💚「でしたら、お誕生日用のプレートはお付けしますか? あと、ろうそくは何本お付けしましょうか?」
手際よく箱を整えながら、阿部がふっと優しく微笑み尋ねる。
その瞬間。
――ドキン、と、目黒の胸が大きく跳ねた。
整った顔立ち、すらりと伸びる細長い指、そして何より自分に向けられた真っ直ぐな瞳。恋愛経験がそこまで豊富ではない目黒の頭の中で、雷に打たれたような衝撃が走る。
(… なにこれやばい、めっちゃ可愛い…いや、綺麗…?)
💚「……様…、…お客様……?」
完全に固まっている目黒に、阿部が首を傾げて「聞こえてますか〜?」と優しく顔を覗き込む。
🖤「えっ、あっ、すみません!」
💚「いえ、ろうそくの数、何本にしましょうか?」
🖤「……っ!」
至近距離で目が合い、目黒は顔が沸騰する様に真っ赤になった。
🖤「あ、えっと…! 5本、いや、あの、適当で…っ!」
しどろもどろになりながら表示された金額を差し出す目黒に、阿部は少し驚いた後、くすっと楽しそうに柔らかく笑った。
💚「ふふ、わかりました。5本お付けしますね」
ケーキとおつりを受け取り、逃げる様に店を飛び出した目黒の心臓は、うるさい程激しく鳴り響いていた。
コメント
2件

恋が始まったかな🥰
うわあ、もう完全に目黒くんの気持ちがわかります…「なにこれやばい」って心の中でパニックになる感じ、すごくリアルでした。パティシエの阿部さんの、優しくて手際の良い接客と、ふとした微笑みに一瞬で持っていかれる高校生の初々しさがたまらなく良いですね。しかも「ふふ、わかりました」って軽く笑われるシーン、あれ絶対気づかれてますよね(笑)続きがすごく気になります!
はるにし
72
りー
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