テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ねむ
74
#転生
コシ
103
耀聖(ようせい)
1,401
287
コメント
5件
家帰ってきたらすんごい通知来てたw もうなんか、、すごいね? 小説家なれるんじゃね?とか思ってる あの「また」ってことはまた会うのか、、?
わあ、第13話、一気に世界観が広がってドキドキしました……! ローゼマリーが魔族を一撃で凍らせてしまうシーン、あまりに美しくて怖いくらいで、ぞくっとしました。最後の「また会おう、シャルロット」という紅い文字、すごく不気味で続きが気になります。お兄様の過保護なところも可愛かったです🤍
『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
あの不気味な視線を感じてから、わずか数日後のことだった。
ガルディニア帝国の遥か北方、強固な結界で守られているはずの国境地帯から、国家緊急事態を告げる
『紅蓮の魔導信号』が天へと打ち上がった。
「ローゼマリー、急報だ。北方の防衛線が、
正体不明の軍勢によって一瞬で突破された」
私の自室に飛び込んできたアルベルトお兄様の顔は、
かつてないほどに険しく、その銀髪が焦燥で小さく揺れていた。
いつも冷静な最高位魔導師であるお兄様が、これほどまでに動揺している。「国境の結界が突破された……?
あそこには帝国の精鋭騎士団が駐屯していたはずですが」
「全滅、あるいは撤退を余儀なくされている。
相手はこれまでの『魔獣』や他国の軍隊などという生ぬるいものではない。
……記録にしか存在しない、本物の『魔族』だ」
『魔族』。
その単語が響いた瞬間、私の脳裏に、
数日前に感じたあの「血のように紅い瞳」の記憶が不気味に蘇った。
「お兄様、私も行きます」
「ダメだ、ローゼマリー! 相手の戦力が未知数すぎる。
君に万が一のことがあったら……!」
アルベルトは私の肩を強く掴み、過保護なまでの拒絶を見せた。
しかし、私は彼の手をそっと握り返し、夜空の黒髪を揺らしながら、
底知れない魔力を宿した紫の瞳でまっすぐに見つめ返した。
「お兄様、忘れたのですか? 私はもう、
守られるだけの病弱な妹ではありません。
このガルディニア帝国は、私に本当の幸せと居場所をくれた大切な国……。それを踏みにじろうとする虫ケラは、
誰であろうと私が許しません」
私の身体から溢れ出た、圧倒的な密度の魔力の波動。
それを見たアルベルトは、息を呑み、
やがて諦めたように愛おしそうに微笑んだ。
「……本当に、君には敵わないな。分かった、共に行こう。
僕のすべてを賭けて、君の戦いをサポートするよ」
「ローゼマリー様、どうか、どうかご無事で……っ!」
リンが涙を浮かべながら、私の旅立ちの外套を羽織らせてくれる。
私は彼女の頭を優しく撫で、お兄様と共に、転移魔法の陣へと足を踏み入れた。
◇
国境の砦へと転移した瞬間、鼻を突いたのは激しい硫黄の臭いと、
立ち込める黒煙だった。
頑丈な石造りの砦は無残に崩壊し、大地は不気味な黒い炎によって焼かれている。
そして、その破壊の中心に、それはいた。
人間の倍以上の体躯に、漆黒の甲殻と禍々しい巨角を持つ異形。
バロア王国の暗殺者やダンジョンのボスなど比較にならない、
世界そのものを拒絶するような邪悪な魔力を放つ『本物の魔族』が、
三体もそこに佇んでいた。
「ハハハ! 脆弱な人間どもめ! この程度か! 我ら『常闇の軍勢』の前に、ひれ伏すがいい!」
魔族の一体が、引き裂かれた帝国の旗を踏みつけながら、
下品な声を轟かせる。
「あれが、魔族……。確かに、これまで戦った雑魚とは次元が違う魔力ね」私は崩れた壁の上に立ち、冷徹な瞳で彼らを見下ろした。
魔族たちは突如現れた私とアルベルトに気づき、その醜悪な顔を歪めた。
「ん? なんだ、ただの小娘と優男か。死にに来たか、人間!」
「ローゼマリー、僕が先陣を切る」
アルベルトが魔導書を開こうとしたが、私はそれを手で制した。
「いいえ、お兄様。あそこの不届き者には、
我が帝国の薔薇のトゲがどれほど痛いか、私が直接教えてあげますわ」
私は優雅に一歩、前へと踏み出した。
そして、さらに練り上げた『本物の魔力』を解放する。
ドクン……!!!
私の鼓動と共に、北方の極寒の空気が、一瞬で絶対零度の氷点下へと叩き落とされた。
あまりの魔力圧の凄まじさに、魔族たちが放っていた黒い炎が一瞬で掻き消え、大地がガチガチと音を立てて白銀の世界へと変貌していく。
「な、なんだこの魔力は……!?
馬鹿な、人間の中にこれほどの怪物がいるはずが……っ!」
さっきまで傲慢に笑っていた魔族たちの顔が、一瞬で驚愕と恐怖に染まる。
彼らは本能で理解したのだ。
目の前にいる少女は、自分たちよりも遥かに上位の『絶対的な捕食者』
であると。
「我が家を汚した罪、その命で購いなさい」
私は右手を掲げ、静かに指先を突き出した。
狙うのは、三体の魔族。
「『凍てつく終焉(アブソリュート・ディザスター)』」
私が呟いた瞬間、魔法陣すら介さず、空間そのものが凍りついた。
魔族たちの足元から、大樹の幹ほどもある巨大な氷の棘が、
超高速で突き上げた。
「ぎゃああああっ!? 動け、動けな――」
叫ぶ間すら与えない。
三体の魔族は、その巨体ごと一瞬で巨大な氷柱の中に閉じ込められ、
生きたまま完全な凍結標本へと変えられた。
そして、私が指先を軽く引くと、その氷柱は結晶の破片となって、音もなくサラサラと砕け散った。
一撃。
国家を揺るがすはずだった本物の魔族が、塵一つ残さず消滅したのだ。「……嘘、だろ……」
背後で見ていたアルベルトお兄様すらも、
私の底知れない強さに息を呑んでいた。
しかし、私は勝利の余韻に浸ることはなかった。
消滅した魔族の残滓から、一筋の『紅い魔力の糸』が、まるで生き物のように這い出て、空中にひとつの文字を形作ったのだ。
『また会おう、シャルロット』
その文字は、妖しく脈打った後、不気味に霧散した。
「やはり、あいつの差し金ね……」
私は拳を強く握りしめた。
カイルたちへの復讐は終わった。
しかし、私の前世である『シャルロット』の因縁を知る、
あの紅い瞳の男が、今度は私を狙って動き出している。
(面白いわ。神の如き力を得たこの私を、もう一度奈落へ落とせると思っているのなら
……這い出てくるその手ごと、すべて凍らせて粉砕してあげる)
新なる強敵の出現に、私の紫の瞳は、かつてないほどに深く、冷徹な復讐の炎を燃え上がらせる。
最強の皇女ローゼマリーの、世界を巻き込む新たな戦いが、
今ここに幕を開けるのだった。