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(なにか、嫌な気配がする。敵か?少し空気が重いな。)
出雲はそう感じながら森の中を探索していた。
だが、それは彗も依吹も感じていたようで2人ともキョロキョロし始めた。
「なぁ。出雲。少し変じゃないか?俺の雷がピリピリ言ってる。」
「少し空気が気持ち悪いですね。」
彗の雷がピリピリと言い始め、依吹も方をさすりながら言う。
「やっぱりか、俺もそうだ。くそ、阿須達に無線でも渡しておけばよかったな。」
無線さえあれば会話ができたのだが、持っていない。彗は心配そうに東側を振り返りながら進んだ。
「おい、佑由、疾風。止まれ。少し変な感じがする」
そう言われ、佑由もハッとし
「私も少し前から気づいてはいたのですが、人がいる気配がするんですよね。」
気づいてないのは疾風だけらしく、疾風はポカンとしていた。
「とりあえずここからは慎重に行くぞ。罠があるかもしれねぇ。この感じ、昔感じたことがある気がするんだ。少し危ない予感がする。 」
3人は少しずつ前へ進んだ。急に佑由がすごい速さで後ろを振り返った。
「どうしたん?佑由。なんか見たんか。」
「なんか人の気配がしたんです。いる気がします。周りに囲まれているような感覚。」
その瞬間、カランッ!と鈴の音と共に鬼の仮面をつけた人たちに囲まれた。
「なんや、お前ら。だっさい仮面つけとんなぁ。」
疾風がニヤッと笑った瞬間、疾風の目の前には針があった。疾風は、「な、なんや…、まじで…。」といい、仮面の人物と目を合わせていた。
「疾風!お前、それ以上抵抗するなよ。こいつら、和国から離れた場所にある離島の奴らなんだ。鬼の信者とも呼ばれていて、そいつが持ってる針は鬼の爪の象徴とも呼ばれている。あんまり甘く見ない方がいいぞ。 」
阿須が説明し、疾風は「お、おう、」といいそこで止まった。その時、奥から下駄のカツカツという音が聞こえてきた。
「その格好とその知識は和国のものかね。鬼様のことを知っているものなのか?」
出てきたのは、つり目の着物を着た男だ。耳につけている赤いピアスがよく目立つ。
「ああ、知ってるに決まってる。和国の代表、朝霧阿須だ。朝霧家はその辺知ってねぇと非常識人って言われちまうからな。」
赤いピアスの男は、納得をしたように「ああ、朝霧家か。」とボソッと言った。
「朝霧家なら納得だ。朝霧家は儀式やらがめんどくさいから嫌いだ。あ、名を申し遅れたな、俺は鬼龍楽という。」
やっと男は名を名乗り、鬼龍楽(きりゅうがく)と言った。鬼龍家こそ色々絡むと面倒なことが多いとよく聞く。阿須も1度交流会のようなもので鬼龍家と交流はしたことがあるが少し独特な一族だった。
「儀式やらがめんどくせぇのはお前らの一族だろ。なんで急に顔を出してきた。俺たちは仕事中だどけ。さっさと終わらせて帰りてぇんだよ。」
阿須はキレ口調でそう言う。が、楽は全く聞かなかった。
「まぁ、阿須。そうキレるな。俺はお前と1回交流会で会ったことがある気がするな。あの時は、お前と親2人ももボロボロだったよな。そして、お前には兄がいたはずだろう。なぜ居なかった?」
阿須は、すごい速さで楽に近づき目の前に自分の刀を向けた。まだ、抜いては無いため能力は発揮しない。
「てめぇには関係ねぇ。俺の家事情なんかどうでもいいんだよ。早く去れ、邪魔だ。」
「まぁまぁ、落ち着け。俺はお前に用はない。お前の兄に用があるんだ。そう興奮するなよ。兄貴のこと大好きだったもんなぁ?そりゃぁ、聞かれたら怒るよなぁ?でも、また青い炎の化け物と呼ばれてしまうぞ?」
剣を抜きそうになったが、疾風が慌てて止めた。同じ国に住んでいるからというのもあって、阿須のことは知っている。剣に封印しているため抜いたら阿須の能力が発揮してしまう。
あまり使いすぎるのは良くないとは自分では分かっているためよっぽどのことがない限りは阿須は抜かないようにはコントロールしていた。が、流石に耐えることは出来なそう。
「おい、阿須。正気に戻れ!!今、その上がってる状態で剣を抜いたら、お前が暴走しちまうやろ!!とりあえずやめとけ!!出雲たちが来るまでそれを発揮するのは絶対に許さんで。お前の命も危ないんや!!!!」
疾風は阿須の肩を掴んで止めたが、阿須は聞かない。「どけ。」というように、自分の肩に乗っている疾風の手を振り払った。
「うるせぇ。何もわかんねぇやつはどくか、俺に殺されろ。俺は俺の過去、兄貴をバカにされるのが許せねぇ…。鬼龍楽。俺はお前を殺してやる!!!!!」
「阿須くん!!ダメです!!!」
佑由が止めたが、もう遅かった。
阿須は自分の剣を抜き、あっという間に能力発揮状態。出雲の力がないともう戻れない状態になってしまった…。
続