テラーノベル
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あれから何年経っただろう
寧々は町を歩き、銅像を見上げる
あの時の魔女狩りだ
銅像の説明には、こう記されている
『長い間差別され続けた魔女達の差別反対運動を主に行なった英雄』
堂々と立ち、自信に満ち溢れた表情で前を向く2人の像
それを横目で見て、寧々はまた歩き出す
今日は公園の広場で、子供達に向けた魔女差別についての演説をしているそうだ
「君たちは信じられないかもしれないが、昔…およそ70年ほど前まで、魔女は差別され、迫害を受けていた」
70年、か
そういえば一度だけ、魔女狩りさん達が訪ねてきたことがあった
『魔女差別反対運動の貢献者の一人として、教科書や歴史書に名を残さないか』という提案だった
答えはノー
わたしはひっそりと暮らせれば、それでいい
類の要望で故郷に建てた墓に、花を供える
🤖「類のおかげで、いい時代になったよ。魔女じゃなくても、魔法が使える」
「お母さんー!膝擦りむいちゃったぁ…」
「あぁ…もう走るなって言ったでしょう?ちょっと待ってね。…?×≪‥※」
「痛い痛いバイバイの魔法だ!」
「痛覚軽減魔法ね」
🤖「……」
類と過ごした時間は、人間で言うところの15年ほど
自分の5倍のスピードで老いていく類を見るのは辛かった
腰を痛める類に、痛覚軽減魔法をよく使ったものだ
ふと、類が自分に言った言葉を思い出した
🎈「師匠の魔法は、人を幸せにする魔法だ」
🤖「何言ってるの。ほとんどの魔法は、わたしと類で一緒に作った魔法でしょ」
🎈「そう、ですね。
僕らの魔法はきっとまた、人を笑顔にできる。僕ら以外の人も含めて」
一度だけ、魔女にならないかと誘ったことがあった
魔女の血を飲めば、魔女になり、寿命だって伸びる
それなのに、類は断った
自分は人間として死にたいと言った
寧々には理解ができなかったが
彼の死に顔が、満足そうだったことだけは覚えている
今日は春の涼しい日
まだ冷たい風が、寧々の頬を撫でた
類の気配を感じ振り返るが
そこにあるのは風に揺れる草木だけだった
「僕らの魔法はきっとまた」
完結
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
あとがき
改めまして、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました
思ったよりも完結に時間がかかってしまいました。気長に待っていただいた読者の皆様、本当にありがとうございます
私の作品をよく知っている方ならご存知だと思いますが、私の最初の作品「わたしの彼氏」と終わり方が似ているのは気がつきましたか?
まだ読んでいない方は、そちらも読んでいただけると嬉しいです
久しぶりにr-18系書きたくなったので、おそらく次はそっち系になります
また次の作品で
より多くの方に良質な類寧々が届くことを祈っています
コメント
2件
うぅ"ずびっ( ; ; )泣かせる気かよぉ(手遅れ)