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――帰り道。
袋を持ったまま、歩く。
愛空「……」
頭の中が、うるさい。
(高良の彼女、浮気してた)
(じゃあ)
(高良、可哀想?)
(でも)
(ウチには関係ない)
愛空「……関係ないじゃん」
そう言い聞かせる。
でも。
(じゃあなんでこんな気になるの)
愛空「……」
胸が、変な感じ。
悲しいわけじゃない。
嬉しいわけでもない。
ただ、ぐちゃぐちゃ。
愛空「……最低」
自分に向けて言う。
(期待した?)
(ちょっとでも)
愛空「……ないわ」
足が止まる。
(でも)
(もし)
その“もし”が、消えない。
愛空「……っ」
頭を軽く押さえる。
(やめて)
(考えたくない)
でも。
高良の顔が浮かぶ。
優しい声。
今日の、あの時の声。
『大丈夫です』
愛空「……」
胸が締め付けられる。
愛空「……無理」(小さく)
――樹里の家の前。
ドアを開ける。
樹里「おかえり」
愛空「……ただいま」
樹里「遅かったね」
愛空「……うん」
樹里「どうしたの」
愛空「……ねえ樹里さん」
樹里「なに」
愛空「……浮気ってさ」
樹里「……え」
愛空「どっから浮気?」
――空気が変わる。
樹里「……どうしたの急に」
愛空「……見た」
樹里「……何を」
愛空「……高良の彼女」
樹里「……」
愛空「……他の男といた」
樹里「……」(言葉を失う)
愛空「……ねえ」
樹里「……なに」
愛空「これ、どうすればいいの」
――その問い。
樹里も、すぐに答えられない。
愛空「……言うべき?」
愛空「それとも、黙っとくべき?」
愛空「……ウチさ」
愛空「どうしたいのかも分かんない」
――ぐちゃぐちゃのまま。
選択だけが、目の前にある。