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「あの……ごめんなさい!」
昼休み終了間際になり、小春のクラスへやってきた沙耶架が勢いよく頭を下げた。
彼女は朝早く登校して教室の前に待機しており、そこで偶然にもクラスメイト達と話をしていた小春を見かけたのだという。
「えっと、なんの話ですか?」
「こっちの都合で呼び出したりして本当に申し訳ないんだけど……お願い! どうか話を聞かせて欲しいの!」
突然の展開にポカンとしている沙耶架の前で、小春は自分の決意を語るかのように熱く語っていた。
もちろん当人である彼女は真剣そのものなのだが、聞いている方は何を言っているんだコイツ状態になっていることには気づいていない。
「……あのさ、よく分かんないんだけど?」
話を聞き終えた沙耶架の反応は実に素直なもので、まさに疑問符だらけといった感じであった。
そりゃそうだよね。急に目の前の少女が何やら語り始めたと思ったら、自分はこういう奴だって宣言されただけにしか聞こえないものね。
だけど僕は決めたよ。
君を幸せにしてみせるとね――
******************************昼休みになり購買部でパンを買って教室に戻る途中のことだった。
「ねえちょっと!」
突然背後から声をかけられたので振り向くと、そこには一人の女子生徒の姿があった。
身長は160cmくらいだろうか? 肩口までのストレートヘアには天使の輪ができており、顔立ちは非常に整っているもののキツい印象を受ける。
胸元に輝く校章の色を見る限り同学年の一年生らしいのだが、残念ながら面識はなかった。
「……えっと、何か用かな?」
さて、話は変わるのだが、先程からこちらを見つめている女子生徒がいる。
彼女は教室の扉の前で立ち止まっており、何故かこっちをジッと見てくるのだ。
ちなみに言うまでもないことではあるが、彼女もかなり可愛い部類に入ると思う。
肩にかかる程度の長さの綺麗な銀髪をしており、目鼻立ちが整っている上にスタイルも良い。
ただ一つだけ残念なのは胸のサイズが平均以下であることくらいだろうか。……いやまあこれはこれで需要があるかもしれないけどね!
―――キーンコーンカーンコーン。
「さて、授業を始めるぞ」
教室にチャイムが鳴ると同時に入ってきた先生は、教卓の上に教科書を置くと早速授業を始めた。
生徒達は真面目な態度でノートを開き始めるのだが、中には居眠りをしている者もおり、そういった者に限って教師に見つかって怒られてしまうのだ。
そして今まさに怒られている最中の生徒がいる。…………天宮さんだ。
「おい、起きろ天宮!」
「ふぁ~いっ!?」
先生に怒鳴られたことでビクッとした彼女は目を覚まし、慌てて立ち上がった後にキョロキョロと辺りを見回している。
おそらく寝ていた自覚がなかったのであろう。
「えっと、なんですか?」
「お前は何度言えば分かるんだ? 居眠りをしていたくせに謝りもしないなんて反省の色が全く見えないじゃないか」
「うぅ……。ごめんなさい……」
教室の中で一人の少女の声が響く。
声の主の名は小鳥遊優奈といい、このクラスの中でも一際目立つ存在と言ってもいいくらいの美貌を持っている少女だ。
背中辺りにまで伸ばした艶やかな金髪にパッチリとした目元と、人形のように整った顔立ちをしている。
ただそんな彼女であっても今回の件に関しては謝ることしかできなかったようだ。
それというのも彼女は授業中に居眠りをしてしまっており、その結果ノートを取ることができなかったからである。
そのため教師からの視線は冷たく、クラスメイト達からはクスクス笑われていた。
別にそこまで気にすることでもないのだが、こういう時に下手に言い訳をする方が逆に恥ずかしいものである。
なのでここは素直に謝った方が良いと判断したのだ。
ちなみに今の時間は二時限目の休み時間で、次が三時限目の授業