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Secret Lovers

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Secret Lovers

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2023年04月02日

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Side青


「ごめん」

慎太郎は目を見開いた。丸い瞳が、さらに大きくなる。

「俺はどうしてもお前のことを恋愛対象としては見られない。…傷ついちゃうよね、慎太郎は本気なんだと思うから。でも、ほかの4人と同じ仲良いメンバーとしか思えない。これ以下でもないし以上にもなれない」

一息に話したあと、慎太郎の顔色をうかがう。案外落ち着いている。

「……そうだよね、そりゃそうだよな。俺、わかってたんだ。こんなこと言ったって樹は戸惑うって」

「…いつから?」

俺は訊いた。ずっと前、と彼は答えた。

「気づいたら想ってた。一番最初に出会ったときからだったかも」

そんなにも長い間、隠し通して我慢してきたのか、と心が苦しくなった。

「いや、まあ樹だって男だし。好きな女の人とかいるよね」

「違う…今は」

必死に否定したけど、こんなことではさらに痛めつけるばかりだ。

「じゃあさ…恋人にはなれないけど、俗に言う『友達以上恋人未満』みたいな感じにしない? 俺らの場合、メンバー以上か。まあ友達でもあるんだけど」

そう言うと、慎太郎は少し嬉しそうになった。それに胸をなでおろす。

「それでもいい?」

うん、とうなずく。

「…ねえ樹」

呼びかけてきた慎太郎を見返す。その表情は、寂しさや愛しさをはらんだ、見たことのないものだった。

「最後に一つだけお願い。友達としてでいいからさ……」

ちょっと視線を落として逡巡する。

「…ハグ、して」

俺は周囲を見回し、静かに歩み寄った。

その目が微かに潤んでいたことを、俺は見逃さなかった。

何も言わず、彼のがっしりした腰に手を回す。ひしと抱きしめた。

ごめんな、気持ちを満たしてやれなくて。

「周りの人の中で、お前らが一番好きだからな」

こんなことしか言えないけど、伝えたかった。

「――ありがとう」

5文字を俺の前に残して、慎太郎は背を向け走っていく。楽屋には入らなかった。


「あれ、しんたろどうしたの?」

楽屋に戻ると、きょもが訊いてくる。

「ああ…ちょっと一人にさせてやって」

みんなは俺を振り向いたが、食い下がらなかった。

もしかしたら、慎太郎とのことには気づいていたのかもしれない。でもあえて誰にも言わずにしまっておこうと思った。



やっぱり傷ついていないかな、悲しくなっていないかな、とその夜はずっと気掛かりだった。

俺のせいで大切なメンバーの心を切り裂いてしまったなんてこと、嫌だ。

悶々と過ごしていたところに、スマホの着信音が届く。

『なあ樹、今度一緒にラーメンでも食べ行かね?』

そこにはごく普段の文章で書かれた、慎太郎からのメッセージがあった。そんなにショックは受けてないのかも、なんて笑みが漏れる。

いつでもどうぞ、と返した。


続く

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コメント

1

ユーザー

しんたろ〜(T_T) 続き早くみたいです!!

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