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「透子? 入っていい?」
そして透子がいる部屋のに到着して、ドアの前から少し緊張しながら透子へ声をかける。
このドアを開けたら、いよいよウエディングドレスを着た透子が立っている。
「どうぞ・・・」
静かにそう答える透子の声。
それを聞いてドアを開けて部屋に入ると・・・。
部屋の奥に純白のウエディングドレスを着て立っている透子の姿。
その姿は、あまりにも綺麗で美しくて。
母さんがこの日の為に特注で用意したティアラもネックレスも、あまりにも似合いすぎていて、その宝石に負けないほど輝いている透子。
想像を遥か超えるほどの綺麗さに思わず言葉を失って、その魅力に身動きも取れなくなるほど見惚れてしまう。
「どう・・かな・・?」
そして照れくさそうに笑ってオレにそう伝える透子が、可愛すぎて愛しすぎて。
「あ・・あぁ・・」
その言葉でようやくオレは我に返ってそう返事はするモノの。
この溢れ出る気持ちをどう言葉にすればいいのかもわからなくなる。
こんなにも愛しく想ってる人が、こんなにも綺麗な姿でオレに微笑みかけてくれている。
透子を幸せにしたいと思って用意した結婚式なのに、透子以上にオレがこんなにも満たされて幸せで。
どう伝えればこの綺麗さも、この愛しさも、この満たされた気持ちも上手く伝えられるのか。
どんな言葉を並べてもきっとそれ以上で。
どれだけ伝えてもきっとこの愛しさは止まらなくて。
こんなにも満たされて幸せで愛しい気持ちは、どんな言葉にすればいいのだろう。
「樹・・・?」
すると、透子がなぜか不安そうな声と表情でオレの名前を呼ぶ。
「ごめん・・・あんまり透子が綺麗すぎたから。ちょっと想像以上すぎてビックリして見惚れてた・・・」
透子が誤解しないように、すぐに気持ちを伝える。
「よかった」
すると、また静かに透子が呟く。
「え? 何が?」
「樹が何も言ってくれないから、ちょっと不安になった」
そっか・・・。
ただオレがあまりにも透子が綺麗で見惚れてただけなのに、それだけで透子はこんなことでも不安になってしまうんだ。
「あぁ・・・いや、うん。これくらい綺麗なんだろうなって想像してたつもりだったんだけどさ。いざ目の前の透子見たら、全然思ってたより数百倍綺麗だったから、ちょっと言葉にならなかった」
いつもは透子が不安にならないように、ちゃんと言葉にしてるつもりでいたけど。
いざ不意打ちでこんな姿を見せられると、言葉になんて出来なかった。
「そんなに・・・? 嬉しい・・・。 樹もすごい素敵で私もドキドキしてる」
そんな綺麗な透子にそんな嬉しいこと言ってもらえて、オレの方がきっとドキドキがヤバい。
「ホントに? オレも透子ドキドキさせられるんだ?」
「もちろん。私はどんな樹にもいつでもずっとドキドキしてるよ。私は樹が思っているよりずっとずっと樹のことが好き」
なぜか今日の透子は驚くほど素直で。
いつもなら照れて絶対言ってくれないような言葉を、今までで一番綺麗な姿で真っ直ぐ伝えてくれる。
オレの方が透子を好きになったのは、ずっと前でずっと長くて。
憧れから好きに変わって、そして誰より愛しい存在へと変わっていって。
一日一日重ねるごとに、その度透子の魅力を知って、この想いもどんどん大きくなっていく。
透子の前ではカッコつけたくて、いつでも余裕なフリしてるけど。
ホントはこんなに近くで感じられる透子にいつも胸が高鳴って。
透子がいつからどのタイミングで、オレのことを好きになってくれたのかはわからないけど。
でもオレは今一緒にいられるだけで傍にいられるだけで幸せだから。
だけど出来ることなら誰よりも一番オレを好きだと思っていてほしい。
オレがいなきゃダメだとそう感じていてほしい。
だけど、透子がそう言ってくれる言葉は今のオレには嬉しすぎて。
今は本当にオレが思ってる以上に透子も好きでいてくれるのかもしれないと、そう思えてくる。
だから、オレより好きじゃなくてもオレが思ってるより好きでいてくれてても、どちらでもいい。
ただ透子が今オレだけを見てオレだけを想ってオレだけを好きでいてくれるなら。
きっと透子でさえも他の誰であっても、オレが透子を想う気持ちは誰にも負けない自信があるから。
透子と一緒にいられるオレが誰よりも幸せだと、そう思えるから。
「何それ。今その姿でそんなこと言うとかズルいでしょ」
だけど今度は逆にオレが照れくさくなってそんな言葉で誤魔化す。
「ちゃんと今まで伝えられてなかったから。樹のことどれだけ好きかちゃんと樹にも知っていてほしい。もっと私を好きになってほしい」
あぁ・・マジ勘弁して・・・。
どれだけオレを好きにさせたら気が済むの?
そんなこと言われなくても、オレは透子といればいるほどもっと好きになっていくだけなのに。
だけど、今の透子は全然ブレなくて、オレから視線も一切逸らさずに、その気持ちを真っ直ぐ伝えてくれる。
「いや・・結婚式する前にそんなの言われたら困る・・」
そんな可愛くて愛しすぎる透子見せられて、もうどうにかなりそうでヤバい。
オレが正気でいられなくなる。
「いいよ。困って。どんどん私のことで頭いっぱいにして? ずっと私のこと考えてて。ずっと私を好きでいて」
あぁ、マジでいろいろ爆発しそう。
そんな姿でそんな潤んだ瞳で、そんな甘い言葉囁いて・・・ホント理性ぶっ飛んじゃいそうでヤバい。
「ちょっ、透子。どしたの? いつもとなんか違う・・」
オレはブレないように少し落ち着いて透子に声をかける。
「違わないよ。いつもただ素直になれなかっただけ。ホントは樹が好きで好きで仕方ない」
「うん。わかった」
透子のその瞳で、その言葉で、本当に今オレに気持ちを伝えようとしてくれるのがわかる。
うん、ちゃんと伝わったから。
「今までずっとちゃんと伝えられなくてごめんね。樹はずっとたくさん気持ち伝えてくれてたのに」
「そんなことは全然いいよ。オレが伝えたくて伝えてるんだから。オレは透子を目の前にしたら好きな気持ち全部伝えたくなるだけ」
透子が頑張ってくれたこと十分伝わったから。
オレはただ透子がいつでも好きで愛しくて、その溢れて来る想いを抑えることが出来ないだけ。
ただその想いを透子が知ってくれればそれでいい。
オレはいつでもこんなに透子が好きなんだと、わかってくれていればそれでいい。