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暗い街の路地裏
____翠視点
翠 「っはあ、はぁッ…これ、どういう状況…?」
走っていくいるまちゃんの後ろを追いかけると、数百メートル走った先でいきなり止まった。
真っ暗な路地裏で止まったいるまちゃんの背中から何を見ているのか覗いてみれば、先程の曲がり道を曲がった男の人とみこちゃんがいた。
黈 「…ッせんぱぁーい!!泣」
茈 「お前、大丈夫かよ…っ」
ボロボロ泣き出すみこちゃんの頭を優しくいるまちゃんは撫でて、抱き抱える。
そして、俺の方に歩いてくる。
翠 「…え、なになに…」
茈 「ほらよ、お前の彼女だろ。慰めてやれよ」
翠 「え…?」
丸くなったみこちゃんを何故か渡される。俺は付き合ったなんて言ったことすらないのに、いつの間にか事実が歪められている。
翠 「いや、俺付き合ってなi」
黈 「うぅ”…ポロポロ 翠川さんのせいだぁ…」
翠 「えぇ!?おれ…?」
服を掴まれてシワが張ったまま服が伸びそうな勢いでみこちゃんは俺の顔に近づいてくる。
黈 「早く迎えきて下さいよッ!ポロッ」
翠 「へ…?む、迎えに行く…?」
茈 「うわ、お前それはないわ。こいつの店のルール聞いてないの?」
翠 「る、ルール…?そういえば店員さんがなんか言ってたような…」
2週間も前のことを思い出す。
お店の中に簡単に入ることができた後、みこちゃんじゃない店員さんに確かに何か長いこと説明させられた。
「延長の場合は…」とか「タチをしてすんなり受け入れられた時は…」とかだったかな…?
翠 「ん〜〜?いまいち思い出せない…っ」
黈 「ひどい…ッおれ翠川さん嫌やッ!紫暮せんぱーい…泣」
茈 「おいすち、帰ってきたじゃねぇかよ💢」
抱っこしてた腕の中をすっと抜けているまちゃんの後ろにみこちゃんは隠れてしまった。
止めようとしても、俺の片腕はみこちゃんを目指して伸びたまま固まってしまった。
茈 「…すち?」
翠 「……なんでもない、ごめん。 」
_____黈視点
翠 「……」
目をキョロキョロさせたまま翠川さんはその場で固まる。
紫暮せんぱいの後ろで様子をうかがいながら、やっぱり言い過ぎたのかな…そう思ってしまう。
黈 「…嫌は、言い過ぎた…ごめんなさい。」
翠 「いやいや、すぐに忘れる俺も悪いし大丈夫 笑」
翠 「だから、泣かないで?」
目から溢れてくるものを止められなくて、情けなくなって手で目を擦る。
その度に翠川さんと紫暮さんは「目を擦るな」って優しく言ってくれて、より涙が止まらなくなる。
茈 「こんなとこで泣いてちゃ可哀想だし、すち。お前の家に行くぞ。」
翠 「えぇ?俺の家?」
茈 「俺の家でもいいが…今日は家族全員揃ってんぞ?」
翠 「……やめておきます、どうぞ俺の家へ」
翠川さんに手を引いてもらい家へ向かう。本当はこの後バイトも入ってるけど、どうにも行きたくない。
信用できるふたりの先輩にこのことを言えたらどれだけ楽なんだろう。
病院
______瑞視点
白い壁をつたいながら薄暗い廊下を歩く。
異様に冷たい空気に段々と慣れ始めた頃に、ひとつの部屋の扉を静かに開けて柔らかな空気を感じる。
瑞 「あ、いたいた。らんくんここにいたんだ〜!」
桃 「っへ?雨乃…?」
瑞 「いい加減雨乃って呼ぶのやめて!こさめは、こさめだからっ! 」
ひとりで外を見てた可哀想ならんくんの為に遥々遠くの何も無くてつまらない病室からこさめは来てあげたのだ。
桃 「その服って…」
瑞 「こさめも入院してるけど?らんくんより1日先輩だからね!ふふんっ!」
桃 「そっか…っあはは 笑」
こさめの部屋よりも沢山の機械が置いてあるこの部屋には立ち入り禁止の札もあった。
だけど、そんなものに囚われているほどこさめは常識人なんかじゃない。
瑞 「ねぇこさめ暇だからさぁ、お話しよ?」
桃 「うん、俺も暇だったからいいよ。こさめニコッ笑」
初めて下の名前を呼んでもらった記念日はふたりの入院日で、らんくんの病室の中だった。
あんまりにもいい思い出としては言えなくて、吹き出してしまった2人の笑い声は廊下まで響く。
桃 「あははっ笑 記念日がこんな日なんてこさめ、可哀想 笑」
瑞 「いつものことだからいいんですー!てか、らんくんこそこの部屋……常連客だな?」
桃 「せーかい!一ヶ月に一回は来てるね。」
瑞 「もう家じゃん 笑」
棚の上に飾り付けされた人形の中で一目惚れした人形を抱えてらんくんに見せる。
瑞 「これ、欲しい!」
らんくんは少し驚いたような顔をしてから、優しく笑って冗談交じりに条件を突きつけてくる。
桃 「俺が死んだらね?」
その言葉の意味はすぐにわかった。
……そっか、こんな機械だらけの部屋のなかでらんくんは1人だったんだ。
何時何秒に死ぬのかわからないのに、孤独に耐えながら毎月こんな場所にいるんだ。
瑞 「…いいよ?なんなら、らんくん死んじゃった後、こさめはこの人形絶対肌身離さず生きるけど?」
桃 「っ、なにそれ…めっちゃ嬉しい 笑」
綺麗に笑った笑顔から段々とらんくんの顔は歪んでいく。
目の近くが赤くなって、1粒ずつ落ちていく涙を手で押えながら小さく荒く呼吸をする。
桃 「…っこさめ、本当に俺が死んだらその人形持っててくれる…ッ?」
瑞 「もちろんだよ、こさめは約束は破らない男の子のなのさっ!笑」
自分から鼻をすする音が聞こえる。
目の前が歪んで、らんくんの顔が見えない。
桃 「……泣いてくれるの…っ?笑」
瑞 「うるさぃ…っ、泣いてないもん…ッ!」
誰かからの愛が欲しい。
それが叶ったって、らんくんの未来は変えられない。こさめ自体が変わる訳でもない。
時間はみんな平等に進んで行って、らんくんはこさめ達より先に居なくなっちゃう。それだけの事なのに、目の前の人がいつか消えてしまうのが怖い。
瑞 「…ッ、しなないで…っ生徒会長でしょッ?」
桃 「……ごめんね、」
たった一言の謝罪の言葉はこさめの耳には届かない。いや、そんなの聞いてない。
聞きたくない
瑞 「……もう、近いの?」
桃 「わかんないけど…退院できる可能性は低いって教えてもらったよ。」
桃 「死ぬまで薬漬けだ 笑」
片手でピースを掲げてらんくんの白い綺麗な腕に注射痕が大量にあるのが見えてしまう。
片手でこの量なら、両手なら…なんて考えたくもないのに頭をよぎる。
瑞 「…我慢し過ぎないでね」
桃 「それはこさめも…でしょ? 笑」
細いらんくんを抱きしめて、ベットの上に横たわらせる。
そして暖かい温もりがあるらんくんの上に、らんくんと同じくらい軽いこさめが上に乗る。
一言も交わさずにらんくんの髪を触ったり、優しく腕に触れてみたりしてる途中でらんくんはいつの間にか眠りについていた。
ゆっくり呼吸がされる度にらんくんのお腹は少し膨らんで、萎んでを繰り返す。
瑞 「…おやすみなさい」
小さい頃、誰かに1度してもらった甘いキスをおでこにしてからこさめはゆっくりらんくんの上から降りて自分の足で病室にもどっていく。
空虚🎼🌸🍵@眠いです
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#らんこさ
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コメント
3件
りおんさん、第10話読ませていただきました。翠視点の慌てふためく感じといるまちゃん・みこちゃんの関係性がリアルで、思わず笑ってしまいました。後半、瑞とらんくんの病室でのシーンが深く心に残りました。軽い言葉の裏にある重い現実と、最後のキスの優しさが切なくて。続きが気になります。