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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
天を衝くほどの黄金と紫の魔力の光柱が、最北の古城の天井を木っ端微塵に吹き飛ばし、凍てつく夜空をまばゆく照らし出していた。
私の背後に傲然と顕現したのは、世界そのものを包み込みかねない、神々しき『紫電と黄金の十六枚の薔薇の翼』。
「な、何なのよ……何なのよこの化け物はァァァッ!!」
深淵の魔女は、私の身体から発せられる規格外の魔力圧(プレッシャー)だけで床へと完全に叩きつけられ、指一本動かすこともできずに泡を吹いて叫んでいた。
何百年もの間、世界の裏側から大陸の歴史を弄んできた絶対的な支配者としてのプライドは、今の彼女には微塵も残されていない。あるのは、目の前に君臨する『最強の皇女ローゼマリー』という理不尽な神への、圧倒的な恐怖だけだった。
「これで終わりよ、魔女。私の、お兄様の、リンの……私たちの幸せな居場所を脅かそうとしたこと、地獄の底で永遠に後悔しなさい」
私が冷酷に微笑み、宙へとゆっくり浮き上がると、右手の先に展開された超々特大の極光魔法陣が、世界を内側から書き換えるような重厚な駆動音を響かせ始めた。
「おのれ……おのれぇぇぇっ! ただの人族の小娘に、この私が滅ぼされてたまるものですかァァァッ!!」
完全に理性を失い、狂乱した魔女の瞳がどろりとした邪悪な深紅へと染まる。
彼女は自身の肉体と魂、そしてこの最北の永久凍土の全大地のエネルギーを強引に暴走させ、周囲の空間ごと私たちを巻き込んで自爆しようと、全身を禍々しい漆黒の光球へと変貌させ始めた。
『世界ごと……塵(ちり)に帰してあげるわァァァァッ!!!』
魔女が放つ、世界崩壊の道連れ自爆特攻。
並の国家であれば、一瞬で地図から消滅するほどの絶望的なエネルギーの膨張。
「――させないよ、羽虫が」
しかし、その自爆の輝きが広がるよりも一瞬早く、アルベルトお兄様の冷徹な声が響き渡った。
「我が命、我が魔力のすべてを賭して、世界を永遠の氷河へと沈めん。――『絶対神聖・次元凍結(ディメンション・ゼロ)』!」
お兄様がその美しい両手を前に突き出した瞬間、魔女が暴走させようとしていた漆黒の光球、そして彼女の周囲の「時間」と「空間」そのものが、ガチガチと凄まじい音を立てて純白の絶対凍土の中に完全に氷漬けにされていった。
自爆のエネルギーの膨張すらも、お兄様の極限の氷は力技で一時的に停止させてしまったのだ。
「ローゼマリー様、お掃除の軌道は、このリンが完璧に固定いたしましたわ!」
お兄様の氷の隙間を縫うように、光を纏ったリンの姿が魔女の直上へと出現した。
彼女の両手から放たれた無数の神聖光魔法の薔薇の鎖が、氷漬けになった魔女の肉体を上下左右から完全に縛り付け、そのエネルギーの残滓(ざんし)を一切外へと漏らさないよう完璧な障壁となって包み込む。
「お兄様、リン……! ありがとう!」
二人が命懸けで作ってくれた、これ以上ない最高の処刑台。
私は掲げた右手に、特訓の成果である全魔力を限界を超えて収束させた。
「前世の絶望も、悪役令嬢としての因縁も、魔王の呪いも、魔女の深淵も……そのすべてを、この一撃で永遠の無へと帰してあげるわ!」
私の右手の魔法陣が、白銀と黄金、そして紫の極光を放ちながら限界まで巨大化する。
――『聖王極氷覇・終焉百華(ラグナロク・エターナル・インフィニティ)』。
「消えなさい。私の大好きな、この世界から!」
ねむ
74
#転生
コシ
103
耀聖(ようせい)
1,401
287
私が掲げた右手を、凍りついた魔女へと向けて一気に振り下ろした。
天から降り注いだのは、激しい極光の嵐。それは魔女の自爆のエネルギーごと、彼女の肉体、精神、そして魂の根源までもを容赦なく包み込み、文字通り『一瞬で完全に消滅させた』。
ドガガガガガガガガガガガガァァァァァンッ!!!!!
最北の古城全体が眩いばかりの純白の光に包まれ、空間そのものが洗われるように綺麗に浄化されていく。
魔女の叫び声すらあげる暇のない、文字通り分子レベルでの完全なる消滅。
やがて――。
光が穏やかに収まったそこには、おぞましい魔女の姿はもちろん、彼女が放っていた邪悪な瘴気も、血の一滴すら残されていなかった。
あったのは、古城の天井が吹き飛んだことで見合えるようになった、美しく澄み切った最北の『満天の星空』だけだった。
「ふぅ……。終わりましたわね、お兄様、リン」
私は背中の十六枚の薔薇の翼をそっと消し、優雅に着地すると、愛おしい二人へと振り返って満面の笑みを浮かべた。
すべての因縁を断ち切り、私たちはついに、正真正銘の勝利を掴み取ったのだ。
「ああ、よく頑張ったね、ローゼマリー……。本当に、君は僕の自慢の、世界で一番美しくて最強の妹だよ」
アルベルトお兄様は、一気に魔力を使い果たして少しふらついた私の身体を、その長い腕で優しく、そして壊れ物を扱うかのように愛おしそうにしっかりと抱きしめてくれた。お兄様の胸の温もりが、戦いの終わりを何よりもリアルに教えてくれる。
「ローゼマリー様、本当にお見事ですわ。……これでようやく、邪魔なネズミたちはいなくなりましたね。帝都に戻りましたら、最高の茶葉で、お祝いのお茶会をいたしましょう」
リンもいつものおっとりとした笑顔に戻り、メイド服の裾を上品につまんで一礼した。その瞳には、主への絶対的な忠誠と、これからの幸福な未来への輝きが満ち溢れていた。
星空が美しく輝く最北の古城の最上階で、私たちはしっかりと手を繋ぎ合い、誰にも脅かされることのない、
私たちの本当の『幸せなハッピーエンド』へと向けて、
堂々と凱旋の歩みを進め始めるのだった。
コメント
1件
うわぁ……!! 第33話、おめでとうございます、ローゼマリー様🥀🤍 十六枚の薔薇の翼、超カッコよかったです…!!! 「聖王極氷覇・終焉百華」、技名からして神々しい威力で、魔女が消えるところスッキリしました。 でもあたしが一番好きなのは、戦い終わった後にお兄様がふらついたローゼマリー様をぎゅっと抱きしめるところ……! あったかい🥺💞 そしてリンとの「お茶会」の約束、素敵すぎます。みんなで掴んだハッピーエンド、本当によかったですね🌙