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#文豪とアルケミスト
#BL
アオイ
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黒い霧に飲み込まれた草野心平と高村光太郎。
二人が目を開けると、そこは見覚えのない世界だった。
空には月が浮かんでいる。
しかし、その月は厚い雲に覆われ、光をほとんど失っていた。
静寂だけが辺りを支配している。
光太郎;……ここは
光太郎が辺りを見回す。
崩れた建物。
色を失った木々。
まるで誰かの記憶が朽ち果てたような景色だった。
心平;図書館じゃない……
心平が呟くと、足元に黒い波紋が広がる。
その瞬間、どこからともなく声が響いた。
「後悔は消えない。」
「失った時間も戻らない。」
「ならば、この世界で眠ればいい。」
霧の中から現れたのは、人の形をした侵蝕者だった。
その瞳には光がない。
心平;光太郎先生、気を付けて!
武器を構える心平。
だが光太郎は動かなかった。
侵蝕者の言葉が、胸の奥に突き刺さる。
光太郎;戻れない……か
その表情には苦しさが滲んでいた。
光太郎;もし、本当に戻れないのなら
光太郎;もう終わらせてもいいんじゃないか
その言葉に、心平は息をのむ。
心平;そんなこと言わないでください!
叫ぶ声は、静かな世界に響き渡った。
光太郎はゆっくりと振り返る。
光太郎;心平君
光太郎;僕は、君まで巻き込みたくない
光太郎;だから距離を置いた
光太郎;それが正しいと思っていた
心平は首を横に振る。
心平;勝手に決めないでください
心平;オイラは、自分の意思であなたのそばにいるんです
その一言に、光太郎は目を見開く。
長い沈黙。
やがて侵蝕者が黒い刃を生み出し、二人へ襲いかかる。
心平;来ます!
心平が飛び出し、攻撃を受け止める。
激しい衝撃。
その勢いで光太郎も剣を抜いた。
二人の刃が交差し、侵蝕者を押し返す。
背中合わせになった二人。
心平;まだ答えは分かりません
心平が静かに言う。
心平;でも、一人で探さなくていい
光太郎は小さく息をついた。
光太郎;……そうか
その短い返事は、これまでより少しだけ穏やかだった。
しかし次の瞬間、空を覆っていた雲がゆっくりと割れ、一筋の光が差し込む。
その光に触れた侵蝕者は苦しそうに叫び、黒い霧をさらに広げる。
「その光を見るな!」
「答えを知れば、お前たちの絆は壊れる!」
黒い霧が再び二人を包み込み、景色は大きく揺らぎ始める。
心平は光太郎の腕をつかみ、決して離すまいと力を込めた。
心平;今度は、離しません
光太郎もまた、その手を静かに握り返す。
光太郎;……ああ
二人は崩れゆく世界の中を前へと駆け出した。