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ほむぺ⋆*
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#あべさく
めかぶぷりん
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荷物を部屋に置いてからは、全員でホテル内を見て回った。
広い館内には、レストランやカフェはもちろん、土産物が並ぶ売店にゲームコーナー、海を一望できるテラスなど、宿泊客が楽しめる施設がいくつもある。
途中、気になるものを見つける度に佐久間や向井が足を止めるものだから、ただ見て回るだけのはずが、思った以上に時間がかかった。
🩷「なんだ?」
💛「どうした、佐久間」
🩷「なんか、ケーブルカーあるって」
佐久間が見ているのは、観光案内用のデジタルディスプレイ。ロビーの一角に設置された縦長の画面には、周辺の観光案内が一定時間ごとに切り替わって表示されている。山の斜面を走るケーブルカーの写真が映し出された。
🧡「ほんまや。めっちゃ景色良さそ」
💜「これから海って時間でもないし、海は明日にして、今日は山に行くのもいいんじゃん?」
🤍「さんせーい!」
ホテルを出て、山側へと向かう。
ケーブルカーの乗り場に着くと、山の斜面に沿うように二本のレールが真っ直ぐ上へと伸びていた。その先は深い緑の中へと続いていて、麓からでは終点までは見えない。
ホームには、少しレトロな雰囲気のケーブルカーが停まっている。大きく取られた窓からは周囲の景色がよく見えそうだった。
チケットを購入し、傾斜に合わせて座席が階段状に並んでいるケーブルカーに乗り込む。大きな窓の近くを陣取った佐久間と向井に続いて、ラウールも外がよく見える場所へと移動した。
やがて扉が閉まり、ケーブルカーがゆっくりと山の斜面を上り始める。
初めのうちは窓のすぐ傍まで木々が迫っていたけれど、高くなるにつれて視界が開け、振り返れば先ほどまでいたホテルが徐々に小さくなっていく。その向こうには、陽の光を反射してきらきらと輝く陽ヶ瀬ブルーがどこまでも広がっていた。
🧡「うわ、めっちゃキレーやわー!」
🩷「ホテルもうあんなちっちゃいぞ!」
🤍「海もヤバー。こっからでも海底見える!」
窓際ではしゃぐ三人を横目に、渡辺は座席に座ったまま外を眺めている。隣に座る宮舘が声をかけた。
❤️「翔太も見れば?」
💙「こっから見えるからいい」
❤️「そう」
💚「翔太ー。ここよく見えるよ」
💙「え、行く」
阿部に呼ばれるとすぐに席を立ち、一番下の段まで下りていく渡辺に、宮舘はやれやれと肩を竦めた。
🖤「しょっぴー、相変わらず阿部ちゃんに甘い」
❤️「まあ、あれはもう、条件反射みたいなものだから」
🖤「条件反射?」
❤️「翔太もさ、最初からああだったわけじゃないんだよ? 会ったのは俺らが高一で阿部が中三の時だし。翔太、かなりトゲトゲしてて」
🖤「ああ……俺もめっちゃ睨まれた」
❤️「知ってる。でも阿部はさ、そんなの気にしないって顔で、翔太の横にいたんだよね。それが翔太は心地よかったみたい」
🖤「わかります。阿部ちゃんって、なんだろ。その場の空気を和ませてくれるというか、いるだけで落ち着くというか」
❤️「新しく特務調査局やることになって、阿部と照が入って、翔太は嫌だったんだよね。それまでの四人でいるのが楽しかったから。でも阿部が無理に距離を縮めようともせず、話しかけることもなく、ただそこにいたっていうのが、翔太の中で大きかったんだよ」
それが今の渡辺と阿部の関係になっている。
目黒と宮舘の会話を傍で聞いていた深澤と岩本が、言葉を発する。
💜「ま、補足すると、なべが感情的になってキレ散らかした時も、阿部ちゃんの態度は変わらなかったわけ。どうしたの? って話、聞いて宥めてさ。俺らはいっつも止めてたから、なべにとっては新鮮だっただろうし、ホントは、話を聞いてもらいたかったんだろうね」
💛「阿部に甘くなった後も、俺はしばらくガンつけられてたわけだけど」
🖤「ははっ。しょっぴーっぽい」
そんな話をしている内に、ケーブルカーは山上の駅へと到着した。
駅を出ると、眼下には先ほどまでいたグランドリゾート茜波が見え、その向こうには陽の光を受けて輝く陽ヶ瀬ブルーがどこまでも広がっている。海とは反対側に目を向ければ、今度は深い緑に覆われた山々が連なっていた。
しばらく景色を眺めていると、少し離れたところに立つ案内板が目に入った。
💚「リス園だって」
🩷「リス!? いんの!?」
💚「いるみたいだね。あ、餌やりもできるみたい」
🤍「え、やりたーい!」
案内板に従って向かうと、木々の生えた一角を細かい目の金網でぐるりと囲ったリス園が見えてきた。その近くの売店でリスの餌を購入し、園内に入る。
園内は綺麗に整備されてはいるものの、地面には土や草が広がり、あちこちに木や岩、切り株が置かれている。木の根元には小さな巣穴もあり、その間をニホンリスたちが自由に走り回っていた。
🩷「めっちゃいるじゃん」
🤍「かわいー」
🖤「おお……」
ちょこちょこと動き回るリスを見ながら、思い思いのところで餌をあげる。
その辺にばらまく渡辺。
通路脇の切り株に星型に餌を置く宮舘。
怖がらせないようにしゃがんで縮こまりながら、自分の足元に餌を置き、近寄ってきたリスにニコニコとしている岩本。
餌を手に乗せているのに、リスに頭に乗られている目黒と、その横で爆笑しているラウール。
しゃがんで手の上に餌を置いて、近寄って来るリスに微笑む佐久間。
餌箱に餌を入れて、食べている姿を眺めて写真を撮っている向井。
💚「あれ、この色……ふーちゃん?」
しゃがんで、地面で餌を食べているリスを見ていると、その隣にやってきたスチールブルーの毛並みをした、他よりも少し大きめのリス。その手にはカボチャの種。
💜「あ。やっぱり。いないと思ったら混じってる」
💚「ふーちゃんも食べるの?」
💜「食べないよ。動物じゃなくて異能だからね。真似したくなったんだと思う」
💚「ふふっ。可愛い」
そっと、人差し指で優しくふーちゃんの頭を撫でている阿部。
その姿を、向井がこそっと写真に収めていた。
夜―――用意されていた柔らかな生地のゆったりとした館内着を着て部屋に入った阿部は、電気を点けないでテラスに置かれた一人用の椅子に座りながら夜空を見上げている。
泡と水の揺らめきがモチーフの部屋の中は、明るいブルーだった昼間とは違って、夜になると深い青に変わり、雰囲気ががらりと変わった。
それからしばらく経って静かに部屋に入って来た目黒は、阿部の向かいに置かれている椅子に座る。
🖤「おおー。キレイに星、見えるね」
💚「うん。なんかずーっと見てられる」
🖤「え、部屋に入ってからずっといるの?」
💚「そうだね」
🖤「温泉行かなかったし、寝てるんだと思ってた」
💚「……みんなは?」
🖤「さすがにはしゃぎすぎて疲れったっぽい。明日は海で遊ぶし、今日は早めに寝ようってことになった」
💚「そっか……」
じっと、阿部を見つめる目黒。
🖤「……阿部ちゃん。ちょっと疲れてるよね」
💚「……えぇ? そんなことないよぉ」
🖤「俺にも言えない?」
💚「えー……あー……ずるいなぁ、めめは」
観念したように苦笑を浮かべる阿部。
💚「めめはさ、俺の変化によく気付いてくれるよね」
🖤「よく見てるから」
💚「ふふっ、そうだね……俺、迷惑かけることも多いから、頑張らないとって思って。ちょっと無理しちゃったかも」
🖤「阿部ちゃんは頑張りすぎだよ。みんなの為にって思ってくれるのは嬉しいけど、阿部ちゃん自身を大事にしてほしい」
真剣に伝えるけれど、阿部は黙りこくってしまう。
だから目黒は阿部の方に近づいて、片膝をついて阿部を見上げる。
🖤「阿部ちゃん。俺らが阿部ちゃんのことが大事なのはわかる?」
💚「う? うん、それはわかる……俺もみんなのこと、大事だから」
🖤「そうだよね。だから、俺らのことを考えるのと同じように、自分のことも考えてほしい」
真っ直ぐに阿部を見つめる。
困ったような顔の阿部は、手で少しだけ顔を隠している。その手を握って阿部の顔が見えるようにすると、照れたように笑いながら顔を背けてしまった。
そんな阿部を見て、ニヤニヤとする目黒。
🖤「めっちゃ照れてる」
💚「だって……めめ、なんか王子様みたい」
🖤「ホテルの部屋着で?」
💚「館内着でもっ。うぅ~……いちお、念頭にはおいとく……」
これが今の精一杯だろうか。
だからこれ以上はもう難しいだろうと、そこまでにして目黒は立ち上がると、阿部の頭をポンポンとしてから椅子に向かった。
そして再び星空を眺めて視線を動かしていると、ふと、砂浜が目に入る。
🖤「阿部ちゃん。ちょっと外、行かない?」
Tシャツとズボンだけの簡単な服に着替えて、ホテルの外に出た。
小さな庭園を抜けて、遊歩道をゆっくりと歩いて行く。
💚「んー。気持ちいいね。思ったより暑くない」
🖤「ね。風があるから、外に出て良かったかも」
💚「だね。この辺、海が近いのに湿度はそんなに高くないらしくって、だから人気の観光スポットなんだろうね」
誰もいない遊歩道は、脇に小さなライトが埋め込まれているため、足元は暗くない。ただ波のさざめきが聞こえるだけで、昼間の賑わいがウソのように静かだ。
🖤「今日、楽しかったね」
💚「うん。リス、めっちゃ可愛かった。めめ、頭に乗られてたね」
🖤「そうなんだよ。なんか、気に入られた」
💚「しれっとふーちゃん混ざってて笑っちゃった」
🖤「結構、馴染んでたね。最後なんか、群れのリーダーみたいになってた」
💚「わかる。ふーちゃん、他の子よりちょっと大きいし、色違うし。ふーちゃん王国みたいで」
🖤「宮舘王国と、二大王国になりそう」
💚「ふはっ。それヤバい」
声を出して笑っている阿部に、目黒はそっと微笑んだ。
話しているといつの間にか遊歩道を抜けて、白い砂浜まで来ている。
💚「あ。靴で来ちゃったね」
🖤「確かに。砂、めっちゃ入るよね」
そこで顔を見合わせる。
🖤「脱ぐ?」
💚「脱いじゃうか」
靴も靴下も脱いで、遊歩道と砂浜の境目に置き、砂浜を裸足で歩く。夜になってひんやりとした砂が心地いい。
不意に、阿部からメロディが流れた。ハミングを口ずさんでいる。
🖤「あ。あいことば?」
💚「せいかーい」
再び流れ始めた阿部のメロディの裏側で、歌詞が思い浮かぶ。
『伝えなくたって分かること 伝えられるのって素敵なこと』。何故、今この歌なのか……先ほどの目黒の言葉は、阿部にきちんと届いたのだろうか。
🖤「阿部ちゃん、ホントに歌、好きだよね」
💚「うーん。なんだろうね。これも癖なのかな」
🖤「いいと思うよ。俺は阿部ちゃんの歌、好きだから」
💚「ふふっ。俺もめめの歌、めっちゃ好き。感情の機微がはっきり分かる」
🖤「そっか、伝わってるなら良かった」
ダンスをするように軽やかにステップしながらくるっと回る阿部に、目黒はただ微笑を浮かべた。
その姿を、17階からみんなが微笑ましく見ていたことを、二人は知らない。
コメント
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微笑ましいストーリーでした🥰