『翌朝…』
「ブォ〜…!」
語り手「ヒミコたちは、4人乗りの
オープンカー(青)で、荒野を
走っている。」
ワルサ「なぜ、オレだけ、うしろなのだ
(怒)。」・運転するヒミコに不満を
言った
バウロ「仕方ないであろう。人と犬は、
対等に扱うのが、この世界の習わしじゃ
。それに、ヒミは、おぬしを隣に
乗せたくないと言っておる。観念せい。
」・助席からワルサに言った
ワルサ「ふん。わがままなヤツだ。」・
よそを見た
「パチン。」
語り手「ヒミコは、車を運転しながら、
指を鳴らした。」
「ボォン!」
ワルサ「・・・・・。」・黒コゲに
なった
バウロ「クチは、わざわいじゃぞ。」・
そういって、缶ジュースを飲んだ
ワルサ「ところで、この車の速度は、
どのくらいだ?」・横を見たまま言った
ヒミコ「時速、80キロってとこね。」・
前を見ながら答えた
ワルサ「大きなカタツムリが、隣を
走っているのだが…。」
語り手「高さ2メートルほどの
カタツムリが、車と並走している。」
ヒミコ「それは魔物よ。退治なさい。」
ワルサ「今度は、バカ速いのか…。」・
頭をかかえた
バウロ「いろんなバカが居るもんじゃな
。」・再び、ジュースを飲んだ
『しばらくして…』
ワルサ「オレの行った町とは
違う方向だが、どこへ向かっているのだ
?」ヒミコに訊いた
ヒミコ「知らないわ。」・ワルサに
答えた
ワルサ「なに?どういうことだ!?」
ヒミコ「自動運転に切りかえたら、
こうなったのよ。」・ハンドルから
手を離している
バウロ「この案内表示によると、
都市へ向かっているようじゃぞ。」・
カーナビを見ながら、ワルサに言った
ワルサ「魔法が主体なのに、科学的では
ないか?」・右手で自身のアゴに触った
バウロ「動力源は魔力じゃよ。」・
まんじゅうを食べた
ワルサ「それは、そうだが…。」
バウロ「おそらく、ヒミの魔力が周囲に
広がり、そこから伝達された情報が
画面に表示されたのじゃろう。」
ワルサ「では、自動運転の方は、
どうなのだ?」
バウロ「魔力の高い場所を探知して、
そこへ向かう設定になっておるのじゃよ
。パク。」・チョコを食べた
ワルサ「ふむ…。ところで、お前。
アレルギーなど、食べられないものは
ないだろうな。」・バウロを心配した
バウロ「ないぞ。地球やオタマじゃ
あるまいし。ワシたちイヌダマの犬は、
人と、ほぼ同じジャ(笑)。ゴクゴク。
」・ジュースを飲んだ
「ゴー…!」
語り手「前方に大きな石がある。」
ヒミコ「自動といっても、直線的じゃ
どうしようもないわ、ね!」・車を
手動にして、ハンドルを切った
バウロ「あっ!?ワシのジュースが!
」・ほうり出されたジュースの缶に
右前足を伸ばした
「カコン。」
語り手「缶は、中身がカラに
なった上で、リサイクルボックスの中に
はいった。」
バウロ「・・・・・。」・落ち込んだ
ヒミコ「また、買ってあげるわよ。」
「ブォ〜…!」
語り手「車は、荒野を走り抜けて
いった。」
『都市の前で…』
ワルサ「ここは緑が豊なのだな…。」・
草木を見た
バウロ「川も流れておるぞい。」・
眼の前の小川を見て言った
ヒミコ「えいっ!」・ふくろを
車に投げつけた
「ヒュポン。」
語り手「車は、ふくろに
吸い込まれた。」
ワルサ「こういう風景を見ると、頭に
つけたくなるな。」・自身の頭に
ハイビスカスをつけた
バウロ「おぬし…。」・ワルサを見た
ヒミコ「ほら、行くわよ。」・ふくろを
手に、都市へ向かう橋を渡り始めた
『都市の中を歩く一行…』
バウロ「レンガや木の家が
多いのじゃな。」・周りを見ている
ヒミコ「まずは、宿屋を探すわよ。
それから自由行動ね。」・バウロたちに
言った
ワルサ「ここなんか、どうだ?」・
立ち止まって宿屋を指した
語り手「おとき、という宿屋がある。」
ヒミコ「あら、いいじゃない(喜)。」
私は交渉してくるから、迷子に
なっちゃダメよ。」・宿屋へ
入っていった
語り手「しばらくして、ヒミコが
出てきた。」
ヒミコ「ふた部屋、確保したわ(笑顔)
。」・バウロたちに、指を2本見せた
ワルサ「ふむ。では、その辺を
見て回るか。」・歩き出した
ヒミコ「待ちなさい。」・ワルサを
呼び止めた
ワルサ「ん?」・振り向いた
ヒミコ「アンタたちには、これを
渡しておくわ。」・ワルサたちに
イヤホンを渡した
ワルサ「イヤホン?」・それを見た
ヒミコ「それも、魔道具の一種よ。私の
魔力が届く範囲なら、通信は可能だから
。 」・ワルサに説明した
ワルサ「ほう。これならば、はぐれても
大丈夫そうだな。」・イヤホンを右耳に
つけた
『洗濯屋で…』
ヒミコ「これ。お願いね。」・洗濯物が
入ったカゴを柴犬ふうの犬に渡した
「トコトコ…。」
語り手「柴犬ふうの犬は、カゴを
持って店の奥へ向かった。」
ヒミコ「少し、買い足した方が
いいかしら。」・洗濯屋から出てきた
『買物を楽しむヒミコ…』
ヒミコ「バウロには、服は必要ないわね
。」・ふんどしを手にとった
ヒミコ「ああ見えて、毛並みだけは、
いいから(笑)。」・ふんどしを戻した
ヒミコ「それにしても、この世界の
犬たちは、服を着たり着なかったりと、
色々ね。」・周りを見た
『一方、ワルサは…』
ワルサ「よくよく考えると、オレは
カネを持ってない。仕事を探すか。」・
食堂へ入っていった
『カネ貸し屋の前で…』
バウロ「これで、魔道具が買えるぞい。
(笑顔)。」・カネ貸し屋から出てきた
『しばらくして…』
ヒミコ「さて、買うものは買ったし、
あとは稼ぐだけね。」・道を歩いている
「ピコン。」
音声「バウロからです。」
ヒミコ「何かしら?」・右耳の
イヤホンに触った
語り手「ヒミコは、バウロのところに
向かった。」
バウロ「うぐ…、えぐ…。」・道端で
泣いている
ヒミコ「どうしたのよ。女郎みたいな
格好をして。」・バウロの前で屈んだ
バウロ「魔道具を買うために借金を
したのじゃ。その後、借りた、おカネを
返しにいくと、借りた以上の利子を
要求されて…。」・泣きながら言った
ヒミコ「そう。」
バウロ「返せないんだったら、岡場所へ
連れていく、と言われてな(泣)。」・
更に続けた
ヒミコ「それで、そんな格好を…。」
語り手「岡場所とは、体で客を
もてなす場所、と思ってよい。」
バウロ「転移装置を作って、ヒミに、
元の世界へ戻ってもらいたかったのじゃ
。うぐ…、えぐ…。」
ヒミコ「はいはい。もう泣かないの。
あなたの気持ちは、充分わかったわ。
」・バウロの頭をなでた
バウロ「うん…。」
ヒミコ「ところで、どうやって
岡場所から解放されたの?」・バウロに
訊いた
バウロ「それがじゃな。ワシが、
格子のある部屋でションボリしていると
、不便に思ったのか、どこぞの、
おサムライさんが見受人になって
くれたのじゃ。」・ヒミコの顔を見て
答えた
ヒミコ「これは、ナリトシの仕業ね。
あとで、お仕置きしようかしら(怒)。
」・立ち上がった
ナリトシの声「是非とも(笑顔)。」
「パアン!ドサッ!」
ユウキの声「おっと。こんなところに
悪い虫が。」
語り手「ナリトシは、ユウキに
ドつかれた。」
『食堂で…』
ヒミコ「確か、ここに居るって
聞いたんだけど…。」・ワルサを探す
「ベンベン。」
語り手「三味線の音。」
ヒミコ「・・・・・。」・その方を見た
語り手「ワルサが、芸者の格好で
三味線を弾いている。」
ヒミコ「まったく、ウチの男共は…。
」・頭をかかえた
バウロ「さっき、ワシがしていた格好と
似ておるの。」・ワルサを見ている
ヒミコ「あなた。もっといい仕事が
なかったわけ?」・ワルサの前にきた
ワルサ「三味線が得意だといったら、
この格好をさせられたのだ。」・
三味線を弾きながら、ヒミコに答えた
ヒミコ「ふう。特技をいかした仕事なら
仕方ないわね。バウロ。お弁当が
できたら、湖へ行くわよ。」・食堂を
出ていった
バウロ「えっ!?ヒミと一緒に(喜)!
」・その方を見た
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