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「ふ〜ん…奇術師ねぇ。昔一度だけ戦ったことがあるわ、電気系統の術を使ってたわねぇ」


薄暗い倉庫の様な場所で男二人、女一人が会話をしていた。女は積み上がった箱の上で面倒くさそうに喋っている。


「ほんとに!?攻撃喰らった時どうだった?ビリビリ感じた?皮膚が焼けるような感覚あった??」


男 ―――少年は無邪気に笑いながら別の所に積み上げられていた箱を破壊し、中を開けていた。


「無いわそんなの、私の術で無効化してたから。そうね…結構強かったって事は覚えてるわ」


「ハッ…くだらねぇ。たかが奇術師如きを強いなんて言ってんじゃねぇぞ」


熊とほぼ同じ大きさの体で、全身に傷が入った男がイラついた様子で箱の上に座っている。


「あら何よ、錬金術師と戦って2回も…2回も!負けた男が何を言ってるの」


「えぇ?!錬金術師に負けたの?弱すぎ!!」


「あ”ぁ?!あんときャ油断してただけだッ!テメェら俺に喧嘩売ってんのか!?ぶっ殺してやるッ!」


男は立ち上がり、女が居る箱の山の前まで早歩きで近づいた。だが、あと一歩の所で男の足は動かない。


「先に喧嘩売ってきたのは貴方でしょう?これだから田舎の男は嫌いなのよ」


すいっと女は指先を動かした瞬間、男は箱の山から10m離れた奥の壁まで吹き飛ばされた。


「ッンだとォ?!空間支配系統の魔術かァ!?しゃらくせェ!!」


男は拳と拳をぶつけ合い気合いを入れる。どうやら本気で女を殺そうとしている様だ。


「あら、私と戦おうって言うのかしら?」


女がもう一度、魔術を使おうとしたその時―――


「まぁまぁ皆さん落ち着いて、ここで喧嘩したって何も得られないでしょう?」


「ッ!!」

「……。」


全員の視界に入っている場所に男が一人立っていた。

ここは完全な密室、誰も侵入することは出来ず、誰もここから出ることは不可能。

この場にいた三人はこの男の侵入に気づいていなかった。


「テメェ…どこから入ッてきやがった?扉と窓は全部鍵がァ掛かってたンだぞ?」


男は侵入者から距離を取り、戦闘態勢に入る。


「どこからと言われましても…普通に扉の鍵を開けて入ってきただけなのですが…」


侵入者は真面目に答えようとしていない様子だった。


「内側からしか開けるこたァ出来ねェのに何言ってやがる」


「ですから、内側から開けました。マジックの様なモノなのでタネ明かしはしませんよ」


侵入者は不敵な笑みを浮かべながら近くの箱に座った。


「それと、皆さん喧嘩は良くないですよ。これからこの四人で協力するって言うのに…」


「四人…だァ?」


「そう、四人。あれ?追加の情報で僕も加わると言うメッセージが送られたはずなのですが…」


侵入者は内ポケットからスマホの様な物を取り出して操作する。


「………来てるわね、メッセージ」

「………あァ」


喧嘩に気を取られすぎてどうやら互いに携帯の通知に気づかなかった。


「と、言う訳で。僕がその四人目だから宜しく。それともう一度言うけれど、これから一丸となって協力するので喧嘩はしないで下さいね?」


侵入者 ―――四人目の男はニコニコしながら言う。だがその笑顔に感情がこもってない様だった。


「……………チッ」

「…そうね、貴方の言う通りだわ」


「おや、随分とすんなり受け入れますね」


四人目の男は驚いた声で言った。どうやらすぐ喧嘩を辞める連中じゃないと思っていたらしい。


「良いですねぇ!そんな素直な良い子なあなた達に有益な情報をお教えしましょう!」


「有益な情報…?なんだァソレ」


四人目の男は羽織っていたマントを広げて不敵な笑みを浮かべながら言う。


「ある少年が未来を視ました」


突然の意味不明な報告にその場にいた全員が理解出来なかった。


「―――?何言ってんだテメェ」


「ん〜説明が難しいですねぇ──── 私の能力『未来視』と同じ力を持つ少年が現れました。今日の朝方、酷く頭痛がしましてね。脳が焼けるような感覚でしたよ」


四人目の男は頭を抱えながらまるで劇を演じている様に話す。


「その後直ぐに頭の中で2年後の未来が視えました――― 私たちが東京を蹂躙する様子が。恐らく彼も同じ未来を視ている筈です。どうやら彼の力と私の力は同調…繋がっている様ですから」


「……………ぁ?未来視?何訳わかんねェこと言ってんだ、ぶっ殺すぞ」


四人目の男は一瞬驚いた顔をしたがすぐに呆れ顔に変わった。


「はぁ……分かりました。では数秒先の未来を視ましょう。そうですね…この後、そこの彼女の座っている箱が崩れる」


そう言った2秒後、積み上がった箱が一気に崩れて女は床に着地した。


「……本当に未来が視えるのね。これだけでは信じられないけれど」


「そのうちもっと凄い未来を視てあげますから、信じてください」


イマイチ理解出来ないが、この男の持つ『未来視』はどうやら本物の様だ。


「それで、あなたが視たって言う少年と未来は本当の?ただの夢…とかでは無くて?」


「えぇ、間違えありません。その時私は目ガンギマリで庭の手入れをしていましたからね」


四人目の男はふざけるように言う。


「んー、難しい話はよくわかんないや。でも一つだけ理解出来た事があるよ!」


「そいつは僕達の敵ってことだよね?」


少年は先程の笑顔が消え、まるで兎を狙う蛇の様な眼をしながら言う。


「――― えぇ、彼は私達の敵。殺すべき対象です」


「つまりはソイツをぶっ殺せば良いッて事だな?戦うなら俺がこの中で一番強ェからよォ!俺が行くぜッ!」


男は箱を持ち上げて床に叩きつけた。どうやらやる気が出たらしい。


「まぁ少し落ち着いてください。あなた達三人は待機してて貰います」


「待機ィ?!テメェ何言ってやがんだぁ!?ぶっ殺されてェのか!」


するとしばらくの間黙っていた女が口を開いた。


「これだけは彼に同意だわ、どうして待たなければ行けないのかしら、その少年は未来を視た。つまり私達の計画がバレているのでしょう?なら早めに始末した方が―――」


「あなた達は準備があるのでしょう?それに彼はまだ未熟者。まだそこまで術を習得していないでしょう。ならば下っ端の部下共のみで殺す事が可能です」


「つまり、私たちが出るまでもないって事ね?」


「――― ご名答」


「分かったわ、その少年の始末はあんたに任せる」


「クソがッ……………」


男は悔しそうに言う。どうやら本気で行きたかったらしい。


「でも、いざと言う時には私も戦いに行くわ」


「ん〜、まぁその辺はご自由にどうぞ!それでは私は私の方で色々とする事があるので。また会いましょう!」


四人目の男は羽織っていたマントを広げて一瞬で姿を消した。来た時と同じでその場にいた全員が男の去り際を認識出来ていなかった。



「やっとどっか行きやがッたか……」

「もう帰っちゃったのか…悲しい!」

「はぁ、ほんとに変な男ね」


女は立ち上がり転移魔法の魔法陣を描き始めた。その魔法陣に男と少年が入る。


「――― 未来視。一体どこまで先の未来が視えるのかしら………」


魔法が発動し、三人組は一瞬でその場から消えた。











「やはり僕は、タイムリープしているのか……。死んだ直後の痛みは…少し有り」


三度目の人生。やり直し。

やはり自害は精神的にも肉体的にも少し来る所がある。


「さて、それじゃあ宿で立てた計画通り探すとするか」


そう。この蔵の中には禁忌の術が使用できるようになる本が置いてあったのだ。ならば他に、戦闘に役立つ術が書いてある本などがあってもおかしくない。

だが、古い物が故に読めない文字があったり、途中で紙が破れていたり…。


「術系統の本や巻物は見つからないな…。妖術師について書いてある物が多い気がする…」


僕の先祖の話や妖術師が起こした奇跡の話が書いてある本ばかりで役立ちそうな本は見つからなかった。


「使えない物ばっかりだな。妖術系の本とか戦闘用の武器とかあれば―――」


続きの言葉を発するより先に僕の目はソレを捉えた。

禍々しい雰囲気を放つ一本の刀の様なモノを。


「なんだこれ、刀…だよな?僕が持ってたやつより随分昔の刀だ…」


刀を持ち上げて重さを確認する。―――自前の刀より長いし、重い。刀身を確認する為に鞘から抜こうとしたが、


「固い。全然抜けないぞコレ…鞘に何か仕掛けでもあるんじゃ―――」



突然、刀が紅い光を放った。



「なっ?!」


僕は反応出来ず、その光を全身に浴びた。この光が人間の体に有害なのか分からないが、僕は急いでその刀を離して投げた。

刀は光を放ちながら蔵の奥へと飛んで行った。


「今の光は…体に異常は無さそうだ」


僕は何かおかしな場所が無いか自分の体を確認した。異常は無いが、刀を持っている時に何かが吸い取られる様な感覚はあった。


「それよりあの刀、まだ光続けてる…」


まるで空気を吸い込む様に刀の周りで風が起きていた。僕は刀に近づき、ソレを手に取る。

すると刀は僕に反応するかのように、更に強い風が周りで起きていた。


「まさか、僕に反応している?」


そう呟いた瞬間、刀は少しづつ光が小さくなって行く。辺りに風は無かった。


「一体なんなんだこの刀は…」


色々起きすぎて頭が爆発寸前だった。一度冷静になり、改めて現状を確認する。


「この蔵に置いてあった刀を手に取ると突然発光、そして僕の体から何かが吸い取られるような感覚あり…改めて口にしたけど更に訳分からん」


もっと理解出来なくなったが、僕は刀を置いて物を探す。なぜなら、


「この刀について書かれた本があるはずだ…探そう」


僕は急いで辺りに舞った紙や本、巻物の中身を確認した。そして、


「これだ…見つけた」


一冊の本を見つけた。僕は手に取り中を読む。

本を開いて一行目の文字を見る。恐らくこの刀の名前だろう、僕はそれを読み上げる。


「太古から存在する名刀…『太刀 鑢たち やすり』」


本によるとその刀の前保有者は、

―――『空木 明花うつぎ めいか』と言う人間らしい。




「空木 明花……この刀の前保有者?」


僕は置いていた刀を手に取り、鞘から刀身を抜こうとする。

先程は固く抜けそうになかったが、


「あれ………?」


先程とは違い、するりと抜けて錆ひとつ無い刀身が露わになる。


「なんだこれ…すげぇ……」


蔵の開いた扉から月の光が差し込み、刀を照らす。

刀はボロボロで古びた鞘と柄からは想像出来ない程輝いていた。その輝きは、まるで百万本の星が散りばめられたかのように、眩しく放たれていた。


「約500年前の刀って本に書いてあったが、あり得ないほど綺麗だな…先日まで手入れしていたレベルだぞ…」


もっと刀を見ていたいが僕は刀身を鞘に収めて蔵を出る。

心地良い虫の音が聞こえ渡り、月が照らす光で周囲が少し明るかった。不意に、何かを思い出す。


「……今、何時だ?」


僕は慌てて腕時計を見る。

そう、この時間は確か『一度目のループで死んだ時間』だ。


「乗り越えた…って事でいいのか…?」


死ぬはずだった時間を過ぎた後、どうなるのだろうか。何も起こらずただただ死を回避出来るのか、それともまた別の死が近づいて来ているのだろうか。

もし後者なら油断は出来ない。今すぐ宿に行き再び作戦を―――


「――!?」


歩き出そうとした瞬間、背後で地面が割れるような激しい音が暗闇に響き渡った。

音はすさまじい勢いを伴い、弾丸のように速く僕との距離が近くなる。

それは動物でも物でも無い『人間』だった。

手足に鎧の一部の様な装備をつけており、その下には黒くて厚い服を来ている。そして、顔は布で覆われていた。こいつが何者なのか分からないが、敵なのは間違いない。


「その刀を抜かないのですか?」


「な―――っ!?」


反応が遅れた、刀を抜こうにも距離が近すぎる。

相手の右腕が僕の頭を正確に狙う。ナイフなどは持っておらずただの殴りで、一発で仕留めるつもりなのだろう。

詠唱させる時間を与えない、一撃でケリをつける。

このやり方、妖術師の特徴を良く知っている人間の戦い方だ。妖術師は術を発動させるのに詠唱が必要、そして攻撃手段が術と刀と言われている。

その為、詠唱させず刀を抜く隙を与えない。

この相手は賢い、賢いが―――


「妖術師舐めんなぁぁぁぁ!!」


僕の方が一枚上手だ。


相手の拳を頭突きで威力を相殺し、横腹目掛けて蹴りを入れる。相手はその場で膝を着いて横腹を押さえていた。

妖術師は肉弾戦を不得意としている。だが、何事にも例外と言うものが存在するり

僕は例の組織の手伝いをしていた頃、日本最強の呪術師『間藤』に格闘術を教わった。なかなかハードで逃げ出しそうになったが、最後まで教えて貰って良かったと思う。

体勢を立て直し、次の攻撃へ対応出来るように僕は刀を抜く。

『太刀 鑢』、初めて使用する刀。

初めてなのに手によく馴染む。まるで昔から扱っていた刀の様―――


「良いですね…楽しいですね…そう来なくては、その刀を抜いて欲しかったんです!」


相手は立ち上がり、顔を覆っていた布を勢いよく取払った。月明かりで相手の顔が良く見える。


「っ……女?」


髪は長く、女の子のような整った顔をしている。

―――よく見ると背丈も小さい。


「まさか子供なのか…?」


だが、子供であろうと関係ない、僕を殺そうとして来たんだ。殺して所で誰も何も言うまい。


「子供だからって容赦はしないからな?」


「ククククククッ……ははははははは!!!良いね!楽しそうだ!久しぶりに楽しめそうだ!」


「……狂人か――よっ!」


僕は助走をつけて勢いよく走り出す。女はまだ空を見上げながら笑っているだけだ。

殺れる。


「さっきのは油断してやられちゃったけど!ボクより遅いね」


僕より遥かに速いスピードで距離を詰められた。女は足で僕の刀を踏んで止めている。

ここで刀を手放し、肉弾戦に持ち込んでも良いが―――


「お前、なんか嫌な感じがするな」


「女の子に酷いこと言いますね…結構傷つくんですよ!」


距離を取ろうと刀に力を入れて一気に上に振り上げ、後ろに飛ぶ。―――だが気付いた時にはもう目の前に女が居た。攻撃が来る。

顔目掛けてパンチが二発、腹目掛けて蹴りが一発。

距離が近すぎてどちらも回避出来ない。


「まずい…!!」


刀身を顔に近づけて防御態勢を取る。

顔二発の攻撃を受け流す事は成功した、だが腹一発はどうにも出来ずに直撃する。


「グッ―――!!結構痛えじゃねぇかよ…!」


久しぶりの戦闘故か一発食らっただけで足に力が入らない。このままでは次の攻撃が来る。

あの速さだ、回避は不可能。ならば―――


「生命の力を生贄に我が肉体に力を与えよ…!」


あまり使いたくない術だったが今はそんな事を言っている暇は無い。

僕が得意とする術、


「強制肉体強化―――!!」


名前の通り、自らの寿命を代償に肉体の限界を越え、強化する術、発動。

強化系統の術は妖力の消費が少なく、連発で使用が可能だ。

足に力が入る、今なら先程より速く動ける。


「術を使いましたね、つまりあなたは…貴方があの方の言っていた!」


この女の目的は分からない、何故僕を襲ってきたのか。なんの為に戦っているのか。

何も分からないが、今知る必要は無い。速く戦闘不能にし、後で情報を聞き出す。


「俺が遅いと言ったな?じゃあこの速さについて来れるか!」


脚に全身の力を入れ、クラウチングスタートのように走り出す。この速さ勝負に刀は要らない。

女も走り出す、正面からの1v1。相手より速く一撃を入れた方が勝つ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

「はあああああああああああああああああッ!!」


速度はほぼ同等、互いの拳が顔に命中する。ここまでの戦闘時間、約40秒。

お互い拳を食らった衝撃でよろめき、後ろに下がる。


「痛ってぇ……やっぱ痛えけど術のおかげで少しは軽減されてるな…」


「良いですね…楽しいですね…!」


「っなんも楽しくねぇけどな…!」


両者互いに歩いて近づく、再び戦闘が始まる。

女の拳を右手で受け止め、僕の左手が女の顔を狙う。女はそれをいとも簡単に避けて僕が掴んでいた手を引き離し、再び殴り掛かる。僕はそれを受け止め、少し後ろに下がる。

これを何度も何度も何度も繰り返す。殴り殴られ合い、どちらかの命が尽きるまで続ける。


「って思ってるだろ―――?!」


相手の攻撃に耐えられず後ろに下がっていたのでは無い、こいつを回収する為だ。

僕は足元に落ちている一本の刀を片足で拾い上げ、抜刀する。月夜に明るくて眩しく輝く一本の刀。


「『太刀 鑢』、まだ一回も斬った事ないから分かんねぇけど」

「こいつの一撃は重いぞ―――!!」


女は攻めることばかり考えていた為、防御が取れない体勢になっていた。刀を勢いよく振り下ろす、まるで小さな岩を一刀両断する様に。

だが、女は間一髪の所で刀を回避する。

外した。これで女は自由に攻撃が可能だ。可能だが―――


「一振りで終わる訳ないだろ―――!!」


「なっ……!!」


振り下ろした刀を全力で方向転換し、再び加速する。

煌めき美しい一線が暗闇で輝く。


「え………っ」


刀が女の胴を横薙ぎに、上半身と下半身が分離する。でも、この女はまだ死なないと僕は感じていた。

横に斬った時の体の捻りを利用し、回転して勢いを付ける。

『太刀 鑢』の切れ味は今まで使用してきたどの刀よりも良かった。いや、これは良いと言うレベルでは無い。あまりにも速く、鋭い一撃。

女は斬られている事に気が付かなかった。

女の思考と共に、空中に留まっている上半身目掛けて刀を突く。

音を置き去りに、女の頭を刀が貫いた。女のポニーテールが、風に靡く。


「はっ…お前も遅いじゃないか……」


女は脳天に刀を貫かれた直後、何かを言っていたが聞き取れなかった。もう一度聞こうと女の顔に耳を近づけたが―――もう既に死んでいた。

女の頭から刀を抜く。遅れて女の下半身と上半身、そして頭から大量の血が吹き出す。一瞬で辺り一面が血の海と化した。


「あ……。女から目的聞き出すの忘れてた…」


刀に付いた血を拭い、鞘に戻す。

瞬間、無理やり体を動かした為か疲労感が一気に襲ってきた。全身の力が抜けて僕はその場に倒れた。


「クソ…長く術を使いすぎたか…?」


意識が遠のく、視界が少しづつ狭くなり―――


「取り敢えずは……第一関門突破ってところ…か……」


僕は明るい月に照らされ、虫の心地よい音を聴きながら眠りについた。





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

天ヶ瀬です。

『遡行禍殃』第一章 2 を読んで頂きありがとうございます。

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