テラーノベル
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原田はゆっくりと歩み寄る。
そして、鷹野の瞳を真っ直ぐ見つめた。
その目に宿るのは怒りでも憎しみでもない。
深い後悔と、師として背負う責任だった。
「修司……」
静かな声が研究室に響く。
「お前がこんな道を選んだのは……
俺の責任だ」
「もしあの時、もっとお前に寄り添えていたなら……
こんな結末にはならなかったのかもしれない」
その言葉に――
鷹野の笑みがわずかに止まる。
静寂が流れた。
原田は目を逸らさず、続ける。
「そして……
俺はお前を裏切った」
「研究をやめ……
見て見ぬふりをしてしまった」
「だが今は違う」
「ようやく……
お前と正面から向き合う覚悟ができた」
一歩、前へ。
原田は真っ直ぐ問い掛ける。
「なぜだ、修司」
「なぜ、お前は”悪”を選んだ?」
「なぜアビス……
あんな化け物を生み出す側へ回った?」
鷹野は静かに目を伏せる。
震える指先で眼鏡を押し上げた。
その横顔には、どこか寂しさが滲んでいた。
やがて――
苦く笑う。
「先生……」
「”悪”なんて言葉で片付けられるほど……
俺の人生は単純じゃない」
ゆっくりと顔を上げる。
その瞳には、長年押し殺してきた感情が渦巻いていた。
「この社会は……
俺みたいな人間を”異端”と呼んだ」
「研究は否定され……
論文はねじ曲げられ……
発想は笑い者にされた」
「誰一人……
俺を理解しようとはしなかった」
静かに息を吐く。
「信じてくれたのは……
先生、あなただけだった」
原田は言葉を失う。
鷹野は悲しそうに微笑んだ。
「でも先生……
あなたですら」
「俺の”理想”すべてを受け入れることはできなかった」
「だから気付いたんだ」
「誰にも頼らない」
「自分の手で……
全部作り変えればいいって」
その表情がゆっくりと歪んでいく。
瞳から温もりが消えた。
「世界征服?」
「そうだ」
「俺を否定したこの世界に……
復讐するためなら」
「何だってする」
低く響く声。
「もう誰も信じない」
「仲間なんていらない」
「理解者なんて……
最初から存在しなかった」
その言葉は、原田の胸を深く突き刺した。
「……修司」
原田は、かつての教え子の心に刻まれた深い傷を、今になって初めて知った。
鷹野は静かに背を向ける。
そして、部屋の奥にある巨大なゲートの制御装置へ手を伸ばした。
――カチッ。
スイッチが押される。
重々しい機械音が研究施設に響き渡る。
ゴゴゴゴゴ……
巨大なゲートがゆっくりと動き始める。
その奥の暗闇で――
何かが、目を覚まそうとしていた。
#憑依
成瀬りん
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ももは
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コメント
1件
うわ……第79話、めっちゃ重かった……。心がぎゅっとなる。 「"悪"なんて言葉で片付けられるほど、俺の人生は単純じゃない」って台詞が刺さったよ……。 鷹野の孤独と怒りがひしひしと伝わってきて、原田先生もようやく向き合おうとしてるのが切なかった。 でも、ゲートが動き始めたってことは、もう止まれないんだろうな……続きが気になるよ💔🥀