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第1話 再会
🌸
「春川くん、お願い! 本当に女子が足りないの!」
昼休み、陽は突然腕をつかまれた。
演劇部の女子が、必死の顔で引っ張ってくる。
「え、いや、俺は……」
「顔がいけるから! 頼むって!」
“いけるから”の意味は分からないが、
陽は押されると断れない性格だ。
気づけば部室の前まで連れてこられていた。
「ここ、ちょっと入ってみて!」
ドアが開く。
中には衣装ラックと、メイク道具と、数人の部員。
その中に――ひよりがいた。
陽は気づかない。
ただ、同じ学科で見かける“静かな子”だと思っただけ。
ひよりは、陽を見た瞬間、
胸の奥がふっと熱くなるのを感じた。
(……はるくん)
小学生の頃、毎日のように一緒に遊んだ男の子。
優しくて、困った顔が可愛くて、
気づけば好きになっていた。
でも陽は、ひよりを見ても何の反応も示さない。
(……そりゃ、気づかないよね。こんなに変わったんだもん)
ひよりは、そっと視線を落とした。
「春川くん、今日だけでいいから! この役、お願い!」
「……今日だけなら」
陽が折れると、部室がぱっと明るくなる。
「やった! じゃあ準備しよ!」
陽は鏡の前に座らされ、
メイク道具が並べられていく。
ひよりは少し離れた場所で、
陽の横顔を見つめていた。
(……変わってない。困ったときの顔も、断れないところも)
胸が痛いような、懐かしいような感覚が広がる。
🌙②ひより視点
陽が鏡の前でメイクをされていく。
ひよりは、誰にも気づかれないように息をひそめて見ていた。
(……本当に、気づいてないんだ)
少し寂しい。
でも、声をかける勇気はない。
(昔の私じゃないから……)
陽の名前を呼んだら、
あの頃の自分まで見られてしまいそうで怖かった。
(でも……舞台、大丈夫かな)
陽が緊張で肩をすくめるのを見て、
ひよりの胸がまたきゅっとなる。
(……困ってる顔、変わってない)
助けたい。
でも、どう助ければいいのか分からない。
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