テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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月の信託

第6話 - 第6話やっぱり、私には君が必要だ

2022年10月07日

#創作

神無月冬空○△□

私

の名前はエレオノール。今年で二十歳になる。

両親は共にフランス人だが、今はイギリスに住んでいる。

私は小さい頃からずっと日本の文化に憧れていたから、大学で日本語を学んだ後はそのまま日本に住み着くことに決めたのだ。

私が住んでいる町は海に面していて、近くには大きな港がある。そのせいなのか、この町には外国人が多い。私と同じ境遇の人も沢山いると思う。

だからといって、別に特別なことは何もないけれど……。

朝起きて朝食を食べた後はいつものように家を出て学校へ向かう。教室に着く頃にはクラスメイト達が続々と集まってくる。みんなそれぞれ友達同士で固まっているけど、私は一人ぼっちだった。だけどそれは慣れっこなので気にしない。

授業が始まってからも一人で本を読んで過ごすだけだ。先生に当てられたら適当に答えておく。休み時間は誰とも話をせずに黙々と読書をしていることが多いかな。

昼休憩の時間になると学食へ行く人もいるし、購買部のある校舎の方へと向かう人もいる。大抵の人は食堂を利用するみたいね。ちなみに私は弁当派なので、今日も手作りのおかずが入った小さなバスケットを持って中庭に向かう。この時間帯だと生徒はほとんどいないからゆっくり食べられるわ。

ベンチに座って一休みしていると、どこからか甘い匂いが漂ってきた。その方向に目を向けてみると、そこにはパン屋さんがあった。焼きたてなのか美味しそうな香りと共に湯気が上がっている。……食べたくなってきたかも。けど、昼食前に食べるとお腹いっぱいになりそうだし我慢しようかなぁ。

そう思った矢先だった。

「あれっ？」

突然背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り返るとそこには先輩の姿があって、彼女は私に向かって「ちょっと良いかな？」と言ってきたのだ。私は一瞬ドキリとしたが、しかしすぐに冷静さを取り戻して、「なんでしょうか？」と答えた。

先輩は少し照れた様子を見せてから口を開く。「えっとね……実は君に相談したいことがあって」そうして先輩は自分の悩みを打ち明けた。その内容というのは『最近になって自分のことを好きだと言う女性が現れたのだが、その女性は一体どういうつもりなのか分からない』ということだった。私はそれを聞いて首を傾げたくなる気持ちを抑えつつ、とりあえず「なるほど」と言って相槌を打った。それから、「ちなみにそれはいつ頃の出来事なんですか？」と質問をした。すると先輩はその女性が転校してきた時期を教えてくれた。私はそれでおおよその事情を把握した。つまりこの人は今まさにモテ期を迎えているのだ。だからそのことを相談するために私を呼んだのである。しかし、私が聞いた話では彼女は先輩に対して好意を抱いているようだったが、実際のところどうなのだろうと疑問に思った。なので私は彼女にこう尋ねた。「先輩のことを好きかどうかって聞いてみたんですか？本人に直接……」それに対して彼女は顔を赤くしながら首を横に振った。ということはやはりまだ告白していないようだ。そこで私はふとあることに気が付いた。よく考えてみるとこれはチャンスかもしれないと思ったからだ。何故なら彼女がもし本当に先輩のことが好きならば上手く行けば2人が付き合うことになるだろうと考えたからである。そうなれば必然的に私の恋路にも進展があるはずだ。ただ1つ問題なのは相手が誰になるかということだけれど……。

結局私は彼女と別れてから家に帰るまでの間ずっと考えていた。そして最終的に自分が選んだ答えはこれだった。

『やっぱり、私には君が必要だ』

『え……？』

彼女は驚いていたけど構わず続けた。

『君のことが好きだって気付いたんだ』

私がそう言うと彼女は泣き出した。

そして私に抱きついて来た。

『ありがとうございます！こんな私なんかのことを好きになってくれて！』

彼女が喜んでくれたことが嬉しかった。だけど少しだけ疑問に思ったことがあるから聞いてみた。

『なんで泣いてるの？』

『嬉しいんです！あなたに好きだと言って貰えて本当に幸せなんですよ！』

私はその言葉で納得して彼女を抱きしめた。

『これからよろしくね、未来ちゃん』

『はい、こちらこそお願いしますね。陽さん』

こうして私たちは付き合うことになった。それからしばらく経って私の家に遊びに来た時、初めて彼女にキスをした。すごく緊張していたけど勇気を出して唇を重ねた瞬間から幸せな気持ちになった。こんなにも好きな人とキスできたなんて夢みたいだった。それから何度も彼女とキスをして愛を深めていった。彼女は私がキスをする度にとても幸せそうな顔をして私を求めてくれた。今までで一番素敵なクリスマスプレゼントだった。だけどある日突然、彼女が別れたいと言い出した。どうしてなのか理由を聞いても教えてくれなかった。どうしても納得できなかった私は彼女を問い詰めたら観念したのか重い口を開いた。実は最近太ってきたことを気にしていてダイエットを始めたらしい。それが原因で私との関係が悪くなったと思っているようだ。確かに少しだけぽっちゃりした気がするが全然許容範囲だと思う。それに痩せなくても十分魅力的だし好きである事には何も変わらないと思うのだがどうしたら分かってくれるだろうか？私は今年で23歳になるOLで彼氏はいない。仕事は毎日忙しくて出会いがないのだ。だから休日になると1人で映画を見たりショッピングしたりしている。今日は友達に誘われた合コンに参加したが男性陣の顔ぶれを見て失敗したと思った