テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
気まずい数日間
あの会話から三日が経った。
スニフは相変わらず朝食の時間になると現れるのだが、ムーミンと目を合わせることがない。いつもなら「おはよう!今日は何して遊ぶ?」と元気よく話しかけてくるのに、今は小さく「おはよ…」と呟くだけ。
ムーミンも困っていた。
「やっぱり、あんなこと教えるべきじゃなかったのかな…」
そう思いながらも、どう声をかけていいかわからない。
四日目の午後、ついにムーミンは我慢できなくなった。
「スニフ」
「ひゃっ!?」
声をかけただけで飛び上がるスニフを見て、ムーミンの心は重くなる。
「その…もしかして、僕が変なこと教えちゃったから…」
「べ、別に変じゃないよ!ちゃんと大人の話だったし!」
スニフの耳がまた真っ赤になっている。首筋まで赤いのを見て、ムーミンは少しほっとした。怒ってるわけじゃないのだ。
「そっか。でも、なんか最近話しかけてくれないから…」
「だって…」
スニフがもじもじしながら続ける。
「だって急に、ムーミンがすごく大人に見えちゃって…なんか恥ずかしくなっちゃったんだもん」
その言葉に、ムーミンは思わず微笑んだ。やっぱりスニフは可愛い。
「僕だって君と同じ年だよ。そんなに大人じゃないって」
「本当?」
「本当」
それから二人は、いつものように午後のお散歩に出かけた。スニフの歩き方は、まだほんの少しだけぎこちなかったけれど。