太陽の光に照らされ
海の底に沈んでいくのが分かる。
(あぁ、このまま死ぬんだな。)
そろそろ肺の限界がくる。
体は酷く重く動かない。
きっとこのまま肺に水が入って溺れるのだろう。
(遺書でも書くべきだったか…)
などと馬鹿げたことを考える。
いや、本当に書いてこれば良かったかな。
辛い。
苦しい。
早くラクになりたい。
段々と視界がぼやけて来た。
徐々に暗くなっていく。
(死にたくないなぁ…)
なんて今更遅いか。
これは自分で決めた事だから。
今更この苦しみから逃げられない。
逃げられてもどうせまた苦しむだけ。
僕はそのまま目を閉じた____。
ピッ ピッ ピッ ピッ
心電図の音がする
僕は静かに目を開けた。
(…あれ)
おかしいな。さっきまで海にいたはずなのに。
(死ねなかったんだ…)
(せっかく苦しんでまで死のうと思ったのに…)
僕がガッカリしていると男の人が入ってきた。
「良かった。目が覚めたんスね…。」
この人は誰だ?
見た目的に医師でも看護師でもない。
男は僕の顔を見てこう言った。
「あぁ、俺、りょうって言いますッス…!」
「海で遊んでたら貴方が沈んでたのでびっくりしましたよ…」
僕を助けたのはどうやらこの”りょう”って男らしい。
『…どうも』
短くお礼を言う。
正直助かりたくは無かった。
「えっと、あー……」
りょうは言葉を探すように頭を搔く。
『…僕、はるとです。』
「…!!はるとさんッスね…!」
「正直、はるとさんが生きたかったのか分かんなかったんスけど…助けて大丈夫でしたか…?」
申し訳なさそうにりょうが聞く。
『……まぁ、、うん…』
「よ、良かったッス…」
安心したように胸を撫で下ろすりょう。
(…なんだこいつ)
と思いつつ、良い奴だなと思った。
これが僕とりょうの出逢い____。
凌はどうやら19歳らしい。
僕と4つ違うそいつは
年下とは思えないぐらいチャラかった。
そして優しかった。
「晴人さーん!!!!!!!」
凌が嬉しそうに走ってくる。
なんだか可愛いななんて思う。
『…なんだよ、w』
「いや、晴人さんと会うの久々じゃないッスか!!」
『そーでもないよ…w』
最後にあったのは2週間前だ。
対して前では無い。
「いや、俺寂しかったんスよ!」
ニコニコで言う凌に不覚にもキュンとしてしまった。
『…はぁ、君はほんと顔がいいね。』
「てっ、照れるッスよ〜〜!!!」
『……褒めてない。嫌味だよばーか…。』
「ふっ、wそういう晴人さんは可愛いッスよね!」
可愛いのはどっちだよ。
『お前…ほんとムカつく…』
「ははっw耳まで真っ赤ッスよww」
「やっぱ晴人さんは可愛いよw」
『うるせー…』
けど、嫌では無い…かも?
何考えてるんだろうな全く。
「晴人さん、んっ!」
凌が笑顔で手を差し伸べる。
『……はいよ…』
そっと手を乗せそのまま手を繋ぐ。
「ふはっwちょー嬉しいッスw」
『…そーかよ』
凌と僕は付き合ってる。
あの日話してからちょくちょく凌が見舞いに来るようになった。
そこからだんだんと仲良くなって
そしてそのまま…
なんて在り来りな話だけど、まぁ、僕は今幸せだと思う。
少なくとも
前よりはずっと____。
コメント
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続くかは不明です。