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渡「はぁ⋯だる」
新入生が入って、新しい学期が始まった。
今日から俺は、高2なわけで。
なんか今日は、新入生歓迎会?ってのを
朝からやるらしくて。
そーいえば俺らもなんかやって貰ってたな。
なんて遠い昔のように思い出す。
やってもらうのとやることでは違くて
俺は高2の初日からこの屋上で1人サボる。
⋯はずだったのに
風「それなぁ」
独り言を呟いた俺に何故か返事が返ってくる。
渡「へ?」
なんでだ?
さっきまで俺1人なはずだったし、
なんなら今は新入生歓迎会真っ只中。
風「はは、そんな驚く?」
と当たり前かのように俺の隣に座る。
渡「⋯いや、そりゃまぁ」
驚くに決まってんだろ。
知らねぇやつが突然返事返してきて、
隣に座ったんだから。
逆に驚かねぇやつなんていんの?
風「サボり?」
渡「見ての通り」
風「そっけないーなぁ、出ねぇの?」
渡「めんどいし、だるいし」
風「はは、確かに。俺もサボり」
んーっと体を伸ばすとそこに寝転び始める。
てか俺、なんで話してんだ?
名前知らねえやつと。
渡「⋯なぁ」
風「ん?」
渡「名前」
風「あぁ、僕?風楽奏斗」
渡「ふう⋯ら」
風「ん。でそちらの君は?」
渡「⋯渡会雲雀」
ボソッと言えば何故か「知ってる」と
返される。
なんで?なんで知ってんの?
俺、知らねぇんだけど。 気持ち悪。
風「同じ学年じゃん?
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎しかも今年は同じクラス」
あれ?声漏れてた?
渡「声⋯漏れてた?」
風「ん?あ、いや、なんで?って
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎顔してたから」
あぁ⋯なんだ、そーゆうことか。
って、何納得してんだ。
怖いだろ、俺の顔見て考えてること
分かるとか。 返事を返さない俺を見て、風楽は
風「かわいいね」
そう言ってクシャッと俺の頭を撫でた。
渡「⋯んだよ」
突っぱねればまた「かわいい」と笑う。
変なやつ。
てか初対面の奴の頭撫でんなよ。
てか男の頭撫でんなよ。
そう表面上は思ってても、
心のそこでは少しだけドキッとした俺がいた。
⋯てか
渡「同じクラス⋯?」
そう、そこ。
いたっけ?風楽なんてやつ。
風「うん、同じクラス。なんなら席斜め前。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎渡会くんの」
渡「⋯そう⋯⋯だっけ?」
風「はは、寝てたもんね。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎朝からそれもまぁぐっすり」
あぁ、だから知らなかったのか。
納得。
渡「てか、新入生なんちゃらって
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎出なくていいのかよ」
風『渡会くんだって出てないじゃん』
渡「ふはっ、確かに。でもなんで?」
風『んー。俺が渡会くんと
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎話したかったから?』
そう空に向けていた目を俺に向けた。
渡「教室で話せばいいじゃん」
風「んー、そうじゃなくて⋯、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎あ!2人きりで話してみたかった!
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎だから、教室じゃ意味ないじゃん?」
って、だからってサボってまで
ここに来なくなって。
なんて、サボり常習犯の俺に
言える筋合いはなかった。
あの後頃合いを見て、2人で教室に戻れば
案の定担任に怒られる。
新入生歓迎会?とやらしか
今日はなかったみたいで
教室には俺と風楽、そして担任の3人だけ。
俺はいつもの事だしって流して
説教を受けてたけど
チラッと隣を見れば怒られ慣れてないのか下を向いている風楽。
悪いことしたなぁ…。
先『おい、渡会!』
渡「んぇ?」
先『はぁ⋯ったく、お前は』
パコっと俺の頭を小突き、
担任は教室を後にした。
渡「⋯ごめん」
風「なぁんでよ」
渡「いや、俺がサボらなかったら
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎お前は来なかったし
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎怒られなかっただろ」
風「ああ、そーゆうこと?大丈夫、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎意外と僕怒られ慣れてるよ?」
渡「え?だって、お前下向いて⋯」
風「あれは、あーしとけば反省してるって
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎思われるからしてただけ」
はぁ⋯心配して損した。
てか俺より怒られ慣れてんじゃね。
風「サボり常習犯でもまだまだだね、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎渡会くん」
渡「⋯るせえ」
はは、と笑って席に戻って
カバンを持って出ていく⋯のかと思いきや
俺のカバン
風「ほい。一緒に帰ろーぜ」
渡「あり⋯がと」
カバンを受け取って、教室を後にした。
教室から玄関に行くまでの間にちらほらと
声が聞こえる。
【風楽くんっ!】
【かなと!】
そんな女子たちの声。
その声に軽く返事をしながら
俺の隣を歩く。
なんだこいつ。くそモテるじゃん。
女子たちの声がしなくなって、ようやく玄関。
渡「⋯お前、モテんだな」
風「モテねーよ、あんなのただ
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎俺の機嫌取りだよ」
それをモテるって言うんだよ。
じゃなきゃ、あんなに女から
声掛けられねぇから。
風「なぁに、渡会くん、嫉妬?」
渡「んなわけねぇだろ」
風「はは、ごめんごめん」
モテたいと思ったことなくはねぇけど
そもそもで 好きになる感情が分からない。
校舎を出て、特に話すことも無く
駅まで歩いていく。
駅について「俺こっちだから」と言えば
「俺はこっち」と反対側を指さした。
渡「じゃ」
風「明日ね、渡会くん」
手をヒラヒラとさせて、
俺に背を向けて歩いていく。
急に1人になって、寂しくなる。
⋯寂しい?
なんでだ?
この時の俺はまだ、
この気持ちがなんなのか知らなかった。
それから俺は、常に風楽といるようになった。
というか風楽が俺のところから離れない。
そして、寝かせてくれない。
「なぁ、ひば~」
初めて話してから1ヶ月も経つと、
俺の事を「ひば」と呼ぶようになった。
そんなあだ名で呼ぶのお前だけだよと言えば
「まじ?嬉し~」なんて能天気に喜んでた。
変なやつ⋯。
そして俺は、あいつのことを「KNT」と
呼ぶようになった。
友達とか要らなくね?
高校とか親が出とけっていうから通ってた。
そう思ってた俺が今では、
KNTといるために 学校に来ている。
そしてなによりも、楽しいと思っている。
風「今日の放課後、ゲーセン行かね?」
渡「いいけど」
風「しゃ!今日はなに取ろうかな~」
今日は。ってどんだけ行ってんだゲーセンに。
その金はどこから来るんだ。
KNTといるとKNTのペースに
呑まれてしまう。
だけど嫌な気はしなくて、むしろ心地いい。
一緒に居て、こんなにも楽なヤツに俺は出会ったことがない。
なにより、KNTと出会ってなんか
すげぇ笑ってる気がする。
渡「ホッホホッ↑」
一度だけ、KNTにツボって
死ぬほど笑った時。
笑う俺に「独特な笑い方すんね」と
逆に笑われた。
俺、そんな笑い方可笑しいか?
だけどなんか、KNTが笑ってると
俺も嬉しく
こんな笑い方もいいかもな。
なんて思い始めていた。
授業が終わって、ゲーセンへと向かう。
その間KNTは、何取ろーかな
なんて ルンルンしていた。
そんなに楽しみか?ゲーセン。
風「ひば!早く!」
渡 「ん」
ゲーセンに着けば、1人フラフラと物探し。
俺を置いてったくせに「早く」だなんて
ふざけてやがる。
それがKNTだし、別にいいけど。
呼ばれた方向に歩けば、
犬のキャラクター達が並んでいた。
風「俺、これ5回で取る」
と器用にアームを動かしていく。
そして宣言通り、
5回でそのぬいぐるみをGETした。
渡「すげぇ」
心の底から出た。すげぇよ、まじで。
俺、こんなに早く取れたことないし。
その後もKNTはあれよこれよと
次々とGETして行って
俺は荷物持ちという立場になった。
気が済むまでやり終えたKNTは「帰ろっか」とゲーセンを後にした。
渡「このキャラクター好きなの?」
俺の手に抱えているのはもちろんあの、
紫色の犬のキャラクター。
風「うん、なんか可愛くね?」
可愛い⋯か?
わっかんね。
駅について、1人じゃ持って帰れないと
気づいたからなのか
黄色い犬のキャラクターとかを
俺に押し付けてきた。
風「ひば、それあげる!」
要らねぇ⋯。ってついこの前までの俺なら
思ってた。
だけど今の俺は素直に
それを受け取ってしまう。
受け取った俺が珍しかったのか、
少し驚いたあと「かわいいね」と
またクシャッと撫でた。