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#エリオット
あおあお
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#エリオット
あおあお
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あらゆるバグと怪物が集う領域――FORSAKEN。
その本部の最上階にある「大晩餐会ホール」は、今夜だけは戦場だった。
血の戦場ではない。
接待の戦場である。
招かれたのは、人間界最大級のエンターテインメント企業・ROBLOX社の最高幹部たち。
社長ビルダーマン。
テラモン。
デュセッカー。
そしてジェーン。
FORSAKENにとって、この晩餐会は単なる食事会ではない。
人間界の胃袋を掴み、その文化も経済もまとめて飲み込む。
スペクターが描いた、壮大すぎる侵略計画の第一歩だった。
「ようこそ」
円卓の最上席。
赤いシルクハットを指先でわずかに持ち上げながら、スペクターは完璧な真顔で人間たちを見渡す。
「今夜は楽しんでいくといい」
その一言だけで、ホール全体が静まり返った。
一方その頃。
暗黒厨房は――
地獄だった。
「ジョンドゥッ!!」
1eggsの怒号が響く。
「前菜の盛り付け!!
葉っぱ一枚でもズレたら全部作り直しだからな!!
人間どもの胃袋を一口目でFORSAKENの奴隷にするぞ!!」
「はーい!」
ジョンドゥは満面の笑顔。
右腕の巨大ミキサーを回転させながら、生地を信じられない速度で捏ね上げていく。
ブォォォォォォォン!!!!!!
厨房全体が震えた。
棚の皿まで揺れる。
「うるせぇぇぇぇッ!!」
1eggsが叫ぶ。
「その爆音どうにかしろ!!
またアズールに修理費請求されるぞ!!」
「えへへ。」
ジョンドゥは笑顔のまま。
「でも今日は特別だから。」
さらに回転数が上がる。
ブォォォォォォォォォン!!!!!!
「上げるなァァァァ!!」
ペシッ!
ペシッ!
1eggsが黄金のフライパンでジョンドゥの背中を叩く。
「愛情表現?」
「違う!!
制裁だ!!」
「1eggsに叩かれるの好き。」
「好きになるなァ!!」
そのやり取りだけで厨房全員の集中力が削られていく。
その頃。
給仕口の陰では。
「ハァ……ハァ……」
ノスフェラトゥがいた。
しかも床。
完璧なお座り。
耳をピクピクさせながら、ホールを凝視している。
「スペクター様が……
人間と……
談笑を……!!」
ぷるぷる震える。
「なんという焦らし……!!
なんというお預け……!!
ああ……
私もあの席の近くへ……
いや、せめて足元の空気だけでも吸わせていただきたい……!!」
ずるっ。
床を這い始める。
ゴッ!!
「ひゃうッ!!」
アズールだった。
三百ページの報告書で脳天をフルスイング。
「何をしているんですか。」
死んだ魚の目。
「VIPの前で這う最高幹部など見たことありません。」
「しかしスペクター様の残り香が……」
ゴッ!!
もう一発。
「ブランド価値が地の底まで落ちます。」
「ありがとうございます!!」
「褒めてません。」
その横では。
ホスフォラスが腹を抱えて転げ回っていた。
「アハハハハハ!!
覇王(笑)また叩かれてる!!
犬以下!!」
しかも。
いつの間にかVIP席から高級シャンパンを一本盗んでいる。
「ホスフォラス。」
アズールは振り返らない。
「ボーナス全額没収です。」
「え。」
「あと胃薬代も給与天引きです。」
「そんなぁ!?」
「自業自得です。」
その頃。
ホールでは。
料理が運ばれていた。
ジョンドゥが極限まで練り上げたパン。
1eggsが狂気じみた火加減で仕上げた肉料理。
特製ソース。
漆黒のジャム。
すべてが一皿の中で完璧に調和していた。
最初に口を開いたのはビルダーマンだった。
「……これは。」
目を見開く。
「信じられない。」
一口。
もう一口。
止まらない。
「このパンの食感……
肉の旨味……
ソースの完成度……
ここまで計算された料理は初めてだ。」
テラモンも興奮する。
「美味すぎる!
身体の奥から力が湧いてくる!!」
デュセッカーも珍しく表情を崩した。
「完璧だ。」
短い一言。
それだけで十分だった。
ジェーンは静かに笑う。
「素敵ね。」
漆黒のジャムをもう一口。
「危険なくらい美味しい…。
また食べたい。
…また来たい。」
その言葉を聞き。
スペクターはワイングラスを静かに揺らした。
赤い瞳は何も語らない。
ただ。
すべてが予定通りだった。
人間は味で記憶する。
記憶は執着になる。
執着は依存になる。
依存は支配になる。
その第一段階は、今この瞬間、完璧に成功した。
スペクターはグラスを傾ける。
「――我がFORSAKENの味。
存分に堪能するといい。」
静かな一言。
それだけで、人間たちはもう一皿へと手を伸ばいていた。
その様子を物陰から見ていたジョンドゥは、顔をほんのり桃色に染める。
「えへへ。」
ブォン♪
「1eggs。
みんな僕たちの料理に夢中だよ。」
さらに距離を詰める。
「これで世界中が、僕たちの愛のパン生地に包まれるね。」
「包むなァァァ!!」
1eggsが真っ赤になって叫ぶ。
「料理だ!!
料理の話をしろ!!
あと近ぇ!!」
「でも嬉しい。」
「嬉しくねぇ!!」
「顔赤い。」
「厨房暑いだけだ!!」
「照れてる。」
「照れてねぇ!!」
ペシッ!
黄金のフライパンがジョンドゥの頭を叩く。
ブォン♪
ジョンドゥはなぜか嬉しそうだった。
その横では。
アズールが胃薬を飲み。
ホスフォラスが床を転げ回って笑い。
ノスフェラトゥは「スペクター様が人間を見たァァァ!!」と床で悶絶し続けている。
人間界最高峰のVIPたちは感動し。
最高幹部たちは相変わらずカオスだった。
――それでも。
今夜の晩餐会は大成功。
FORSAKENはまた一歩、人間界の心と胃袋を支配へと近づけたのだった。
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