テラーノベル
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陽葵は、今日も蒼真のベッドに勝手に入り込んで、ど真ん中を陣取っていた。
「暑いのにさ〜、一人で寝るのやだ」
「お前の部屋、あるだろ」
「え〜? 寝れないもん。お前がいないと、ぜんっぜん安心できない。
ねぇ、こっち来て? 抱っこして。オレが眠くなるまで。」
蒼真は一度ため息をついたが、結局ゆっくりベッドに腰を下ろし、隣に横たわる。
陽葵はすかさず、腕に絡みついてきた。
「なぁ、そうま。俺のこと好き?」
「何度聞くつもりだよ」
「だって、もっと聞きたい。聞いて安心したいし、ニヤニヤしたい。
あと、“お前しか見てない”とか言って。言って言って!」
蒼真はうっすらと笑った。
「陽葵、お前さ……もうちょい恥じらい持てよ」
「無理〜、お兄ちゃんの前だとぜーんぶ出しちゃう。甘えたいし、構ってほしいし、可愛がってほしい!」
「それ、自分で“可愛い”って言ってる自覚あるか?」
「ある。だって、可愛いでしょ? オレのこと、好きでしょ?」
「…………うるせぇ。ほんと、お前が誰かに取られたら俺、壊れる自信あるわ」
「うわ、それ重。やっぱそうま、こわ〜〜……でも、好き♡」
陽葵はにこにこと笑いながら、蒼真の胸元に頬をすり寄せた。
「ねぇ、俺だけ見てて?」
「……他に誰見るって言うんだよ」
「じゃあ、他の子に告られても断る?」
「当然」
「じゃあ、オレが拗ねたら、ちゅーしてくれる?」
「……しょうがねぇな」
蒼真が顔を近づけると、陽葵はじっと目を閉じて、ニマニマしていた。
「……バカ」
唇が触れる。
一瞬のキス。
それだけで、陽葵は満足そうに身を丸めた。
「おやすみ、お兄ちゃん♡」
「はいはい」
蒼真はその髪を撫でながら、小さく呟いた。
「……俺のわがまま王子」
end