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#黄ポメ主役の生誕祭2025
9月23日担当します、えーこんです。
上にも書いてありますが、『#黄ポメ主役の誕生祭2025』で検索していただければ、他の方のものも読めます。
ぜひ読んでいただけたらと思います。
さて、shaさん、誕生日おめでとうございます!
これは二次創作です。
ご本人様とは一切関係ございません。
本文では伏せ字をしておりません。自分で判断しました。ご了承ください。
以上のことを許せる方のみ、お読みください。
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「はぁ〜、疲れたぁ〜」
タオルを首に掛けながら、愚痴をこぼす。
夏と秋の境目で、冷たい風が吹いているが、気温自体はまだすこし暑い。
今はクラブでの野球の帰り。
野球はいつも川沿いの公園のようなところで、毎週3回、月、水、金曜日の午後6時からやっている。
いつも終わるのは9時頃なので、誰もいない堤防を、いつも通り歩いている。
あたりはもうすっかり暗くなっていた。
ふと、下の草むらがすこし動いた気がしたのでそちらに意識を向けた。
ぼやっとした白い何かが見えた。
「えっ、あ、あれって、えっ、」
一気に血の気が引くのが分かった。
きっと今は顔面蒼白だろう。
今はもう夏ではないだろ、肝試しとかそういうのはもう間に合ってるんだよ、そう口に出して叫びたいと思った。
残念ながら、怖すぎて言葉が出ない。
白いぼやけたものは、人の形をしていた。
そう、どう見ても幽霊にしか見えない。
ゆっくりと後退りして、そのまま一気に堤防を駆けていった。
「幽霊?」
目の前にいるのは、青色の少しはねた髪、いつものくたびれたジャケットに、白Tを着ている俺の幼馴染。いわゆる、腐れ縁というやつだ。
今では、もっと仲間が増え、俺を含めた6人がイツメンだ。
その他にも、3人、4人くらいよく絡むやつもいる。
それは一旦おいておき、今日はその幼馴染、大先生と遊ぶ約束をしていた。
そこらへんによくあるファミレスで、昨日の話をしているところだ。
完全に疑っている、というか興味すらなさそうだ。
顔に分かりやすく書いてある。
「本当だって!堤防んとこにさ、ボヤッてした人形のやつがさぁ!」
「はいはい、怖かったでちゅね〜」
「あ゙??別に怖くはなかったし??」
「意地はるなって…」
なんとか信じさせようと言ってみたが、受け流された。
怖がってなんかなかったっての、本当。
どうにかして信じさせたいのだが…。
とうとうスマホを取り出してなにやらポチポチといじり始めた。
ぶん殴ったろかコイツ。
どうせ女との連絡だろうと怒りを通り越して呆れてきた。
「ん、見てみぃ。そんな噂、どこにもあらへんで」
「え、」
急にスマホの画面をこちらに向けて突き出してきたと思ったら、ここらへんの怪談や心霊現象について調べているネットのページが開かれていた。
そこにはたしかに堤防や川沿いについて書かれているものはないように見えた。
というかこんなもの調べてたんかい。
「んー…確かにそうだけど…」
「そんな気になるなら」
大先生はスマホをカバンにしまい、再度こちらに目を合わせてきた。
「自分でもう一回見てきたらええやん」
「うわ…暗ぁ…」
「街灯の間隔空きすぎだろ」
いつも野球の帰りのときとは違う感覚がする。
目的があるから、というのもあるのだろう。
いつも気にしてはいなかったが意識すると随分暗い。
懐中電灯を持ってきたほうが良かったな、と後悔した。
そんなことを考えながら歩いていたら、昨日あれを見た場所に着いた。
あれがいたであろう堤防の下の方の草むらへ降りていく。
「ここらへんやっけ…」
「あれ…?おらん…」
がさがさと少し伸びている雑草をかき分ける。
あたりを見回しても、だれもいない。気配すらない。
まぁ、よく考えたら今日もいるとは限らない。
幽霊じゃなければ尚更だ。
「なんか探してるん?」
「ぎゃぁぁっ!!な、何?!誰!?」
元々誰もいなかったはずの後ろから声をかけられた。
驚いて叫んじゃったやん…。
恐る恐る声のしたほうを向く。
そこには、ボブくらいの髪の、女性とも男性とも言えないような少し小柄な、俺と同い年くらいの人が立っていた。
人、ではないかもしれない。
どことなく幽霊のような、人のような。気配がない。
少し、白くぼやけているようにも見える。
わけが分からず見つめていた。
どしたん?と声をかけられて、ようやく我に返った。
「え、あ。こんばんわ…?」
「こんばんわ〜」
「こんな夜遅くにこんなところで何してたん?」
「あー…えっ、と」
ここらへんでみた幽霊を探しに来ました!なんて、言えるわけがない。
きっと、目の前にいるのがそのご本人様だろう。
適当に言い訳するか…。
「あ、そう!考え事しにきて!いい場所ないかな〜って…」
「ふ〜ん?あ、お前さぁ、いつも野球この辺でやってるでしょ」
「え…なんで知って…」
見てたから、とこちらに微笑んできた。
暗くてどういう顔なのか、詳しくは見えないがきっと美形なんだろう。
見ていられてたとは、考えていなかった。
「野球、すきなん?」
「好きやで!やってるときもあるしな!」
「えっ!そうなん?じゃあさ、あのチームって!」
「もちろん知っとるで!」
まさか同じ野球仲間だとは。
幽霊のことはすっかり忘れていて、野球の話で盛り上がっている。
話していると、どうやら趣味も価値観も合うようで、すっかり仲良くなっていた。
それから、約1時間くらい話していた。
「はぁ〜、こんなに話しの合う人がいるなんてなぁ〜」
一通り話し終わり、川近くの草むらに2人で座っていた。
あたりはもう真夜中だ。
人通りは少なく、家などの明かりも少なくなってきていた。
「そういえば、考え事ってなんだったん?」
「あ、忘れとった」
そういえばさっき、考え事をしに来た、なんてこと言った気がする。
思いつきの嘘なんかつくのではなかった。
さて、どうしたものか…。
すると、いい話題が頭の中に思い浮かんだ。
「考え事…ってほどじゃないんやけど…」
「俺明日、」
「誕生日?」
「えっ、うん。」
なんで知ってるんだ、と不思議に思うが、今更だろう。
そもそも、人かどうかもわからないのだ。
ふと、空を見上げる。
星がとても綺麗に見える。穴場だな、と思った。
普段、あまり意識しなかったから、気づかなかったのだろう。
今度、あいつらを連れてこようかな。
こういうところで、この時間に、さっき会ったばかりの人に相談、なかなか新鮮だ。
「誕生日さ、俺の友達が祝ってくれるんよ。」
「うん。」
「プレゼント、何が良いん?」
「バットとか?グローブもええな!」
隣で頷いてるのが横目に見えた。
俺も欲しいなぁ、と呟いているのが聞こえた。
プレゼントをあれこれ頭の中で想像していると、とても楽しみになってくる。
「でもさ、俺の友達…あ、大先生ってのがいるんやけど、」
「あいついつもいらんやつしかくれへんの!」
「例えば…」
「使い捨てのハンカチとか?」
「そうそう!女ウケがしなかったから〜とか言ってさ!」
「俺もいらないんよ」
思い出すだけで殴りたくなってくる。
なんでハンカチなんだよ、しかも使い捨ての。
俺はゴミ処理係やないんよ。
まぁでも、今回のことには感謝している。
大先生が、確かめに行けば?と言ったおかげで、今こうやって、新しい友達ができたのだ。
「楽しみなんやね、」
「そりゃそうやろ!あ、でも、…」
「なんか不安なん?」
「あぁ、うん。」
「あいつらがくれたものとか、うれしいんやけど…どうやってリアクションとればいいかわからんくて…」
これは、毎年悩んでいる。
自分があげる側だと、あまりわからないが、もらう側になると、いろいろ考えてしまう。
どうやって喜んだらええんやろ、とか、なんていえば嬉しいのかとか、祝ってもらっている立場だから、悩んでしまう。
本当に、祝われているのか、とか。
「悩みすぎ、ってのは分かってるんよ。」
「でも…」
「気ぃ使っちゃうんやろ?」
「そうやねん…」
たった数時間しか過ごしていないのに、ここまで話せるとは。
何故か、この人になら、と思えてしまう。
初めて会ったような気がしないのだ。
すると、急に彼が立ち上がった。
「ええやん、きっと、大丈夫やで。」
「気を使わんでも、いつも通りに接して大丈夫。」
「素を出していい。きっと、あいつらもそれを望んでる。」
暗くて表情が見えない。
だが、確かに説得力があって、不安が解消された気がする。
ふと気がつくと、もう夜12:30を超えていた。
もう、誕生日を迎えていた。
「もう、9月22日やね。」
「ハッピーバースデー、シャオロン」
「ふふっ、ありがとう!」
こちらに差し出してきた彼の手をとって立ち上がる。
こちらに向けて微笑んできたので、自然と笑みがこぼれた。
また話せたら、会えたらええな。そう思い、彼の手を離す。
「じゃあ、俺帰るな!」
「パーティーで寝たら困るし!ありがとな」
「またな、」
彼に背を向け、堤防を上がっていく。
登り終わったところで、ふと、彼の方を向いた。
こちらに手をふっている彼が目に映る。
聞き忘れていたことがあるのを思い出した。
「なぁ、お前、名前は?」
一瞬、少し驚いた顔をしてこちらを見つめてきた。
手を振るのをやめると、少しいたずらっぽく笑って、口を開いた。
「俺の名前は、」
「せーのっ!」
「ハッピーバースデー!シャオロン〜!!」
どデカいクラッカーの音が俺の部屋に鳴り響く。
みんなケーキ型のメガネをかけていたり、おもちゃのひげを付けていたりと浮かれた格好だ。
これでは誰が主役かわからない。
「俺からのプレゼントだ、ありがたく受け取れ、シャオちゃん」
「なんで上から目線??」
少し小さい花がらの包装紙を開けると、野球ボールが刺繍で縫ってある、ハンカチだった。
またハンカチかよ、バリエーション少ないな。
嬉しいんだけどね、今年は使い捨てじゃないしな。
大先生が渡したあとに、次々とプレゼントを渡してくれる。
楽しい、やっぱり、彼が言ったとおりだ。
素が、一番居心地いいな。
「シャオちゃーん、どこにいてん。」
「んー?ちょっと後輩のおなやみそーだん」
「後輩?レパのこと?」
「ちゃうよ、まぁ…俺?」
「はぁ?何言ってんねん。はよいくで、今日はお前の誕生日やん」
「ふふ、そうやね、行こか」
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どうでしたでしょうか、未熟ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
さて、次の方は、炭酸飲料のるかさん様、です。
17時頃に投稿です。ぜひ、見に行ってください!
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