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『帰ッた!』
大きな、朗らかな声を上げて、茶色の光沢を帯びたドアを蹴り破れば、ドアの向かい側に座っている青髪が不機嫌そうに揺れる。おレを見るなり、視線を外した黄色と水色のグラデーションがかかった綺麗な瞳。まるで雪に溶けてしまいそうな白い肌。黒い服の上に輝く、よく映える銀色のネックレス。
『もオ、そンな顔シなイでよォ!』
『相棒ッ!』
おレが相棒、と呼んだ彼ははぁ、と大きくため息を付き、回転型の椅子で床を蹴り、おレに背中を向ける。もお、ツンデレなんだから。
_「軽々しく相棒とか呼ぶな」
_「第一、俺はお前のことを相棒だと思っていない」
_「つけあがるなよ、お前はただの使い捨ての駒に過ぎないんだからな」
_「あと俺はツンデレじゃない、履き違えるな」
_「…聞いてるのか」
『聞いテル聞いテル…、、』
『何もそンなに言うコトなイじゃンヵア』
頬を膨らませて、相棒の頭に腕を置いて話しかけるとあからさまに嫌そうなオーラを出してくる。
…もうおレとは、何年の付き合いになると思っているんだろうか、彼は。
_「…、で、上手く行ったんだろうな」
『ンー、混乱みたイナのは起こセたと思うよォ?』
_「はぁ…、、、そうか、お前はそれだけしか出来ないのか」
_「これだから駄作は」
無駄に回る口を右手で押さえつける。やめろ、と言いたげにもごもごと動く口をどうやったら鎮められるのか、と少し考える。ふと思いついた案を実行すれば、絶対に殺されるなぁと思いながらも右手は退かさない。いや今ここでどかしても殴られるし、変なことしようものならぶん殴られるとかじゃ絶対にすまないし。
『おレだッテ、感情はアるシ、生きテルし、人なンだけド?』
_「知ってる」
『知ってるならなんで直してくンないのォ〜〜?』
_「直す気がないからだな」
『うわ、性格わッる』
『そンなンだヵらモテないンだよ』
_「関係ない、あと俺はモテようとしていない」
仕方なく右手を退かして、会話を試みるも全く会話にならない。いや会話になってはいるんだけど、相棒が全然おレと、ちゃんと話そうとしてくれない。腹立つなぁ〜〜……。っていうか会話が大事っていうのはボスが言ってたことじゃん。おレたちは相棒だから尚更コミュニケーション取らないとでしょォ?
_「そんなこと言ったら俺だってお前のことが嫌いだ」
『え何ノ話?』
_「頭をかち割るぞ」
『こヮ!!だヵらモテないンだよ』
_「だから何回も同じことを言わせるな!!」
遂に椅子から立ち上がり、おレと向かい合った相棒。
…、なんか。
『どゥしタノ?バーミリオン』
_「…っ、それで呼ぶな馬鹿野郎」
『身長も心もちッちャいねェ』
_「おい」
ういうい、と頬を突けばブチギレられ、みぞおち辺りを蹴られる。まぁ大して痛くはないし、彼が本気を出せばおレなんて吹き飛ばせることを知っているからにやにやしてしまう。可愛い所あるんだよねェ、相棒って。
_「俺に構うより先にボスへ報告はしたのか」
『しタよ、当たり前じャン』
『相棒ノことなンか二の次だヵらね』
_「言い方ってもんがあるだろ」
『そレ相棒が言ゥの?』
_「…チッ、表出やがれカス!!」
『まァまァ落ち着いて!!』
『…ほラ、おレたちノ目的ㇵ?』
_「…、、”星月衆”の抹殺」
『ダよねェ』
少しだけ空いていた窓を足でこじ開け、相棒の手を取って少し外へ出れば、おレたちを拒むような風と暗黒が待っていた。月の光でさえもおレたちを照らすことはなく、ただそっぽを向いて太陽の光を必死に受けようとしている。おレが月に向かって手をかざせば、少々辺りが暗闇に包まれたような気がする。その暗黒に溶け込むようにして辺り一帯の影を踏めば、相棒が能力を詠唱する。特に意味なんてないけど、バキバキとひびが入り、床が割れ始めた。
聞こえていますか?星月衆。
あなた達は今からこんな化け物と対峙するんですよ……。
_____第4章 予知夢 閉幕
_____第5章 ミュータント 開幕
コメント
2件
星月衆の敵結構つよつよじゃないか?ー?!?!星月衆、頑張ってください(体育祭のアナウンス)