どうも、くじらです。
先輩が卒業してから一ヶ月ぐらい経ったんですけどね、僕、推しの先輩がいたんです。
歩き方がなんか可愛くて、スポーツやってる時はめちゃくちゃ頼りになってカッコよくて、勉強もできる先輩で。
去年は僕が階段掃除で、廊下が先輩で、掃除場所が先輩と近くて、掃除の度に心の中でずっと歓喜してたんですけど。
僕、今年も階段掃除なんですけど、廊下を見ても先輩はもちろんいないから「そっか、卒業しちゃったんだ」って思って勝手に悲しくなってます。
んで、これ書いたらめっちゃ良くなるんじゃねって思って衝動書きしたもんなんでちょっと謎かもしれません。
今回も乾×渡辺です。
それではいってらっしゃい!
後輩「乾!おはー」
乾「…先輩な?」
後輩「お前だって渡辺先輩に先輩つけてなかったじゃん」
いつも通りの放課後の階段のはずだった。
なのに、渡辺という、忘れようとしていた名前をまた耳にした。
やめて、その名前を口に出さないで。
あの人が卒業してから何度思ったことだろう。
乾「…幼馴染特権」
後輩「いいなー、俺も渡辺先輩のこと“こうちゃん”って呼んでみたかった〜」
あだ名もはっきりと覚えてしまっている。
幼馴染でいつも隣にいてくれたのに、もういない。だから、いつまでもこの気持ちを引き摺らないで、彼のことを忘れてしまえば、苦しくなることもなくなると思ってた。
でも、そんなことなかった。
学校に行く度に、誰かがその名を口にする度に俺はあの人のことを、捨てたはずの恋心を思い出してしまう。
乾「俺ッ、今日は帰るから…」
後輩「えー、今日一緒に練習しようと思ってたのにー」
何やら文句を言ってる後輩の横を足早に通り過ぎて、一段飛ばしで階段を降りていく。
乾「はっ…はぁっ…」
いつもは一段飛ばしで降りても息切れなんてしないのに、今日はなんか息が苦しい。
乾「…こうちゃん…」
スマホに残るツーショットが更に心を締め付ける。
卒業式に泣きながら震えた声でお願いしたら、「何言ってんのかわかんないじゃん」と笑いながら撮ってくれた写真。
大切な写真のはずなのに、今は心を締め付けてしまう。
息を切らしながら昇降口を出て、下を向きながら走っていく。
更に荒くなっていく息とともに視界がゆっくりとぼやけていく。
乾「……ダッサ…」
走って走って走って、家の近くの公園に着いた時にはもう息が持たなくて、木陰に座ると一気に涙が溢れてきた。
乾「ははっ…マジでダサいな…」
なんで泣いてるのかも分からなくて。
ただ、今でもあの人の…“こうちゃん”こと渡辺航平の声が聞こえるくらいにはきっと愛していたから。
だからきっと苦しいんだろう。
乾「…会いたいっ…」
気づけばそう口にしていた。
拭っても拭っても溢れてくる涙は、卒業式で流し切ったと思っていたのに。
渡「あれ、乾?」
乾「…ッ!」
聞き慣れた声に、はっと顔をあげる。
少しぼやけたままの視界で頑張って目の前に現れた人にピントを合わせようとする。けれど、会ったら会ったで涙が溢れてくる。
渡「ちょっ、俺なんかした⁉︎」
乾「…なんでもっ、ないっ……ですっ…」
渡「こんな時まで敬語じゃなくて良いって」
泣いてる俺の横にそっと腰を下ろしたと思ったら、こうちゃんは俺を優しく抱きしめてきた。
乾「ッ⁉︎こうちゃんっ…?」
渡「何があったか知らないけど、我慢したら苦しいでしょ?大丈夫、秘密にしといてやるから」
乾「…貴方のせいですよ…」
渡「…なぁに?どーしたのよ」
ああ、またそうやって聞こえないふりをして。それに俺は何回振り回されただろうか。
でも、その優しく問いかける声が好きだったから聞いて欲しい言葉も言い直したりしなかった。
だけど、久しぶりに会って、『好き』と言う言葉を留めていたはずの枷が外れてしまったんだろう。
こうちゃん、俺、今日はもう我慢できない。
乾「…ごめんなさい」
貴方の初めてであろうもの、俺が貰います。
ちゅっ
渡「〜〜〜ッ⁉︎///何してっ!」
乾「何って…もう一回しますか?」
渡「いや、そういうのじゃなくって!」
俺の手首を軽く握って、ふるふると首を横に振るこうちゃんはあの頃となんら変わっていなくて。
ああ、俺はやっぱりこの人のことが好きなんだと強く実感する。
渡「どうした?頭でも打った…?それか熱?」
乾「至って平常です。どこも打ってませんし熱もないです」
俺のおでこにぴたっと手を当てて首を少し傾ける仕草も昔からずっとやってること。俺が好きなその動作が変わってなくて良かった、と少し安堵する。
乾「俺は貴方が好きです。ずっと前から」
渡「…へっ?」
そう言ってやっぱり熱が、とおでこから首に降りてきそうな手を止めて、軽くくすぐると昔と同じ反応をする。
渡「ふっ…んぅ…ちょっ、くすぐったいっ!」
乾「そういう反応も俺だけが見たいんです。貴方を独り占めしていたい。駄目ですか?」
渡「駄目…では、ないかもしれないけど…///」
乾「けど?何ですか、駄目な理由でもあるんですか」
俺がこうちゃんの目を見てそう言うと、こうちゃんは赤くなった顔を隠すように下を向いて俺から目を逸らした。
乾「…俺のこと嫌いになっちゃいました?」
俺が少し悲しそうな声を出すとこうちゃんは慌てたように顔を上げた。
渡「いやっ、そんなことないっ!」
渡「ッ⁉︎///」
俺の作戦にハマったと気づくまでに時間がかかったのか、固まっていた数秒のうちに手を掴んでさっきよりももっと顔を近づけると、耳まで真っ赤にして驚いていた。
渡「え、へぁ…待っ、乾っ…?///」
乾「顔真っ赤じゃん。そっちこそ熱でもあるんじゃない?笑」
俺がこうちゃんの仕草を真似しておでこに手を当てると、弱々しい力で手首を掴まれる。
渡「…いぬいっ、もうやめっ…///」
乾「なぁんでよ、こんなに可愛いのに、笑」
俺が少し笑いながらそう言うと、俺を少し睨んでから、ゆっくりと口を動かした。
渡「…が…ないから…///」
乾「もう一回言って?」
渡「俺が、もう持たないか、ら…///」
こうちゃんは、恥ずかしくて死んじゃう、とでも言うように弱々しく言った後にまた下を向いてしまった。
渡「あのね、乾…俺がだめじゃないって言ったのはね、」
乾「ゆっくりでいいから、落ち着いて」
こうちゃんはゆっくりと息を吸ってから顔を上げると照れた真っ赤な顔で俺を見つめた。
渡「おれもっ、晃樹のこと好きだからっ!///」
晃樹。久しぶりにその名前で呼ばれた気がする。
渡「こっち見ないで…///」
言い切った後に恥ずかしくなったのかまた下を向こうとするこうちゃんの顎を軽く掴む。
ちゅっ、
渡「…いじわるじゃん…///」
乾「ふふっ、可愛い♪」
この人も俺のことが好きだったんだと理解が及ぶまで少し時間がかかった。
両片想い、まさか自分がするとは。
ずっと拗らせ続けたこの想いをようやく貴方に伝えられる。
乾「俺と付き合ってくれますか」
渡「はいっ、喜んで!」
渡「ちゃんと、幸せにしてね?」
乾「もちろん。ちゃんと幸せにしてみせますから。こうちゃんこそ慣れてね?」
渡「えっ、何に…」
ちゅっ
乾「こういうことに♪」
渡「ッ⁉︎///」
乾「いーっすね、先輩のその顔。俺、好きな子の赤面大好きなんです」
渡「年下のくせに…///」
でも、俺はこうちゃんの赤面、今日初めて見た。
貴方の知らない一面があるんだと思った時に、その顔をもっと見たいと思ってしまうのは、もっと知りたいと思ってしまうのは、きっと“恋”なんだろう。
渡「⁉︎おまっ、なんで泣いて…!」
なんだか頬が冷たいのは自分が泣いていたかららしい。
乾「あー、嬉し泣きっすよ」
渡「そうなの?」
乾「好きな人と付き合えたから。嬉し泣きです」
渡「そっか…///」
少し頬を赤くしながら俺の涙を拭いてくれる。
やっぱり、この人に恋して良かった。
渡「晃樹?どうした?」
乾「いや、何でもない。ありがと」
渡「どーいたしまして♪」
夕日に照らされた帰り道はいつもと同じはずなのに、いつもより短く感じたのは、きっと恋人と歩いているからなんだろう。
はい、おかえりなさい!
謎っちゃ謎。
乾さんはきっと好きな子の赤面が好きだろうという妄想で書いてました。
でも、きっと赤面したこうちゃんも可愛かったんでしょうねぇ。
それではまた次回お会いしましょう!
読んで頂きありがとうございました!
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