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第一話 月魄の導き(下)
気がつくと、私はベッドの上だった。
「え……?」
どうして?何で?私…。
ーーー何してたの?
ベッドから、月を眺めてからの記憶がなくて、気がついたらこの状態だ。
眠っていたのかな?
何か、凄く大切なものを忘れている気がする。
何か、やらなけらばいけないことがある気がする。
その”何か”って、何?
もう一度、月を眺めてみる。
何か思い出せるかもしれない。
そう思って、窓の外の月を眺めた。
でも、思い出せない。
…でも、月、綺麗だなぁ。
私は昔から、夜空が好きだった。
星や月がお互いを輝やかせている、そんな夜空が大好きだ。
そういえば、今日は満月だ。
「満月……!」
ーー「月、円描くとき、運命動き始める。」
不意に、その言葉が、脳裏をよぎる。
誰の言葉?
……昼のこと?
分からない。誰の言葉なの?
でも、でも、でも!
昼に気待ちを伝えなきゃいけない!
そんな気がした。
何で、急にそんなこと思ったのかも分からない。
あの、言葉は誰のかも分からない。
でも、それでも。
自分の直感が、そう叫んでいる。
たまには、直感に信じてみるのも良いかも。
私は、親に学校に忘れ物した、と嘘をつき、学校に向かった。母が何か叫んでいたが、聞く暇もなかった。
この時間なら、昼はもしかしたら…。
時計を見る。
8時30分。
全速力で走れば、間に合うかも。
あぁ、学校、近くに良かった!
昼、昼、昼、昼!!
昼!!
伝えなきゃ。
大好きってこと。
ずっと一緒にいたいってこと。
昼のことが、大切ってこと。
全部、全部、全部!
私の言葉で、私の思いを伝えなきゃ。
昼に、届けなきゃ!
学校は近いから走っていけば、10分ほどで着く。
学校…見えた!昼!
…あ!
昼は、学校の校門からでてきた。
昼は陸上部だ。
聞いた話だと、昼は部活が終わった後、先生に許可をもらって、トラックを何周か走ってから帰っているらしい。
昼…本当、凄いな。
私は昼の頑張り屋なところにも惹かれたな。
「昼…!」
叫ぶ。
でも、昼には、届かない。
駄目だ。こんなんじゃ。
届けなきゃ。
昼に。
息を大きく吸う。
「昼ーー!!」
人生で、1番叫んだ瞬間だった。
自分でも、何でこんなに声がでたのか分からない。
その声は、昼に届いた。
「ルナ…っ!?」
昼が私の名前を呼ぶ。
「どうしてっ…?」
昼は戸惑っていた。
「私っ…!」
声がつまる。
「昼のことが…」
でも。
「昼が…」
伝えるんだ。
「大好き!」
ずっと、ずっと伝えたかったんだ。
「昼…!大好き!」
言葉にしてから、はっ、と我に帰った。
昼は大きく目を見開いて、顔がほんのり赤かった。
「ルナ……!」
「あ、ごめん!私、昼が私以外に好きな人いるって前聞いちゃって…。」
もごもごと口にするが、昼が近づいてくれたおかげで、昼に声が届いている。
「それなのにっ…!諦められなくて…!」
涙が溢れてくる。
「昼の…頑張り屋なところも、不器用だけど優しいところも、昼の全部っ、全部がっ!」
耐えられなくて、涙が溢れてくる。
「大好きなの。」
昼はまだ、きょとんとしていた。
「ごめん。これだけは、伝えたくって…」
そう言って、嗚咽が漏れた。
うぅ、っと泣き喚いていると、体が温かくなった。
数秒フリーズして、分かった。
………私、抱きしめられてる。
「ひっ…昼?」
「ごめん。ルナ。俺も、ルナのこと、ずっと好きだった。」
「え…?」
どういうことなの?
「俺、でも、ルナのことが大切だから、今の関係を壊したくなかった。」
「好きだって、伝えて、嫌われたらどうしようって思って…」
昼…。
「自分の気持ちに嘘ついてた。」
「本当のこと言うね。」
そう言って。
昼は囁いた。
「ルナ…大好きだよ。」
そんな様子を、夢路と帳は水晶で見ていた。
「…良かった。」
「みゃおー。」
帳の首元を夢路は撫でながら呟く。
「…ここに来た者は、ここでの記憶は消される。例外なく。」
「私が与えるヒントも、目的を達成する、または、期限が切れたら忘れる。」
「みゃあお?」
夢路のことを心配そうに帳が見つめる。
「それで良いんだよ。帳。」
夢路は立ち上がる。
「さ、帳。次の依頼人、連れてきてくれる?」
「みゃあお!」
そう言って帳は、恋愛占術館を飛び出した。
「…頼んだよ。帳。いってらっしゃい。」
そう、夢路は呟いて、窓から空を見上げた。
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