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夜の街、冷たい霧が辺りを覆う中、渋谷は路地裏に立っていた。
その鋭い目つきはまるで獲物を狙う猛禽のよう。彼の手には一本の大ぶりな鎌。通称「死神のカマ」が握られている。
「…あいつ、どこだ?」
狩人がこの近くにいるという情報を得た渋谷は、単独でここまでやってきた。
「おいおい、そんな怖い顔すんなよ、渋谷くん。」
軽薄な声が背後から聞こえる。
振り返ると、薄汚れたコートをまとった狩人が、街灯の下に立っていた。
その顔には余裕の笑みが浮かんでいる。
「お前みたいな真面目なやつが、わざわざ俺なんかを追いかけてくるなんてねぇ。」
狩人はポケットに手を突っ込んだまま、のんびりと歩み寄る。
「俺の嘘に踊らされるなんて、狩り手も落ちたもんだ。」
渋谷は狩人を一瞥すると、冷たく言い放つ。
「…その口、叩けなくしてやる。」
渋谷が地面を蹴った瞬間、狩人は笑いながら後退する。
「おいおい、そんなに焦るなよ!」
狩人は後方に飛び退きつつ、路地の壁に手を触れる。
「ここは俺の基地なんだぜ!」
すると、突然壁が崩れ、中から無数の鉄棒やガラクタが飛び出してきた。まるで意志を持ったように渋谷を狙い、襲いかかる。
「これは嘘だ! でもな、お前が嘘だと思っていないなら、嘘じゃなくなるんだよ!」
狩人の異能「嘘を現実にする力」が発動している。
渋谷は冷静に、飛び出してきた鉄棒を鎌で次々と弾き返す。
その動きは素早く、的確で無駄がない。
「…くだらない手品だ。」
渋谷の声は低く、冷徹だった。
「お前、本当に冷たい奴だな!」
狩人は高笑いしながらさらに後退する。
「知ってるか? お前の仲間、全員俺に裏切られてんだよ!」
彼は挑発的に言い放つ。
渋谷は一瞬、動きを止めた。
だが、その目には微塵も動揺の色はない。
「…その嘘、信じると思うか?」
静かに一歩を踏み出す渋谷。
狩人はそれを見て、眉をひそめる。
「つまらねえな。もっと驚けよ!」
渋谷が距離を詰めると、狩人は慌てて別の嘘を叫ぶ。
「俺は不死身なんだ! お前の攻撃なんか効かない!」
その瞬間、狩人の体が光を放ち、まるでどんな攻撃も無力化するようなオーラに包まれる。
「どうだ、これでお前には俺を倒せない!」
だが、渋谷は淡々と歩みを進める。
「お前が不死身だ? そんなもん、関係ない。」
渋谷の鎌が大きく振り下ろされる。狩人はそれを見て慌てて叫ぶ。
「嘘だ、嘘だ、嘘だああああ!」
しかし、渋谷の鎌は狩人の体に直撃。オーラは粉々に砕け散った。
狩人は地面に崩れ落ち、恐怖に震えている。
「な、なんでだ…俺の異能は絶対だぞ…!」
渋谷は彼を見下ろし、冷たく言い放つ。
「嘘に頼るだけの奴に、本当の力はない。」
狩人は言葉を失い、気を失ったように動かなくなった。
渋谷は倒れた狩人を背負い、静かに歩き出す。
「港が聞いたら、こいつの話を全部信じるんだろうな…」
渋谷はため息をつきながら呟く。
その先に待つのは、狩り手たちとの再会。
そして、さらなる戦いの始まりだった。