テラーノベル
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「で、結局ここなんなんすか」
ベンチに座る男を睨む。
青い羽織の男――旅人は、空になった缶コーヒーを軽く振る。
「世界と世界の間」
「余計わかんねぇよ」
「まあそのうち慣れるって」
旅人は立ち上がると、ぐっと背伸びをした。
「どうせ、君もすぐには帰れないからね」
マフラーの裾が風に揺れる。
「⋯とりあえず、近くの街まで行こっか」
「街あんの⋯?」
「あるよ〜。そこに書いてある通り、徒歩三日だけど」
「遠…ってか、ここに書いてあんの『次の世界まで』だけど、街なんすか?」
「ん〜、まあ変わらんよ」
どう考えても世界と街はだいぶ違うが。
げんなりしているこちらを見て、旅人は笑う。
その時だった。
――ザリッ
砂を擦るような音がした。
「……?」
誰もいない。
⋯いや、
「⋯なんか居る」
砂丘の向こうに、黒い“何か”が居た。
人の形をしているようにも見える。
けれど、輪郭が曖昧だった。
まるで影が立ち上がったみたいに、ゆらゆら揺れている。
「……なんすか、あれ」
旅人の笑みが、少しだけ消えた。
「エンティティだね」
軽い口調のまま、声の温度が低くなる。
「逃げよっか、」
直後。
――ドゴォォンッ
黒い影が、地面を抉る勢いで突っ込んできた。
「っ!?」
速い。
人間じゃない。
反射的に後ろへ下がる。
砂煙が舞い上がる。
視界が揺れる。
影が、目の前まで迫った。
――死ぬ、
そう思った瞬間。
ヒュンッ
風が鳴った。
次の瞬間、黒い影は真っ二つになっていた。
「…っは、」
砂の上に、黒い粒子が散っていく。
その中心に、旅人が立っていた。
いつ抜いたのかも分からない、細い刃を片手に。
「危ない危ない」
彼は小さく息を吐いて笑う。
まるで今のが大したことじゃないみたいに。
言葉を失う。
さっきまでの軽薄そうな男とは、別人みたいだった。
「……あんたは、」
旅人は刃を軽く払うと、またさっきの調子に戻る。
「だから言ったじゃん」
へらっと笑う。
ただのあまとう
189
#stgr
ポテサラ
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まるまろ
3
39,263
「ただの旅人だって」
風が吹く。
しばらく沈黙が落ちる。
先に口を開いたのは、旅人だった。
「⋯失われた記憶の街って、知ってる?」
首を横に振る。
「この世界の何処かにある街。そこへ行くと、失った記憶が戻るんだって」
旅人は空を見上げる。
異様に青い空を。
「……おれ、そこ探してるんだよね」
その声が、少し静かだった。
⋯この男は、確かに知っている。
この世界のことも。
さっきの化け物のことも。
そして、
俺がここへ来た理由も。
「……俺、元の世界に帰れるんすか」
旅人は少しだけ考えてから笑った。
「さあ?」
軽い。
「でも、探せば分かるかもね」
けれど、嘘を吐いているようには見えなかった。
……帰る方法も分からない。
ここが何処かも分からない。
なら、
今はこの胡散臭い旅人についていくしかない。
「……ぐちつぼです」
旅人がこちらを見て、きょとんとした顔をする。
「名前」
「⋯あぁ、自己紹介?」
風が吹く。
「おれはらっだぁ。宜しく、ぐちつぼ」
「⋯宜しく」
世界の境界のような駅が、静かに軋んでいた。
らっだぁは踵を返す。
青い羽織が揺れた。
「じゃ、行こっか」
NEXT=♡1000
※4話は1~3話がすべて♡1000になったら更新しますm(_ _)m
コメント
12件
これまた面白い新連載を…楽しみです……
なんかエンティティとかすんごいBackroomsに思えて来ちゃうw 神だこれは!😇✨💕続き楽しみに待ってます✨
えぐっ、え?最高っすね?