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「……このスカートちょっと短かすぎない?」
「なに言ってんの。これくらいがちょうどいいのよ。オタクは『実体化した推し』には勝てないわ。今日でトドメを刺すのよ!」
コミケの控室。自分の販売ブースを抜け出してきた真帆は、私の背後に回ると、衣装越しに両手で胸を容赦なく揉みしだいた。
「ちょっ、真帆! 何して……っ!」
「あら、いい柔らかさ……。ねえひより、私が男なら、今すぐあんたをそこの壁に手をつかせて、後ろからこう胸をガシッと掴んで……最後までめちゃくちゃにしてるところよ?」
耳元で、真帆の破廉恥な妄想を吹き込まれる。
「もー、こんなとこで変なこと言わないでよ……っ」
「……っていうか、あんた本当いい身体してるわね。同じ女としてムカつくくらいだわ」
真帆はため息をつくと、スカート越しのお尻をパチン!と叩いた。
「ひゃんっ!? ……もう、本当にやめてってば!」
「完璧。これでお兄が落ちなかったら、あいつの性癖を疑うレベルだな(笑)」
仕上げのパウダーを筆ではたいていた美咲さんが、職人のような鋭い目で私を見つめた。
鏡に映るのは、陽一さんの推しのゲームキャラの女神――その姿をした私自身。
(スカートは短すぎてスースーするし、胸元は空きすぎだし、こんな恥ずかしい格好……。でも、これで陽一さんの特別になれるなら!) 私は緊張しつつ、戦場(コスプレ広場)へと踏み出した。
***
「車を止めたら、すぐにコスプレ広場に来な。度肝を抜かれるから」
美容師として白石さんのヘアメイクを担当している妹・美咲から、そんな不敵なLINEが届いた。
僕は駐車場から炎天下を走った。うだるような熱気と、アスファルトの照り返し。シャツが肌にじっとり張り付くのも構わず、広場へと急いだ。
#ワンナイトラブ
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