コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
翌年の記念日、の前日
らっだぁ視点
「………どうすっかな」
俺、らっだぁは今とてつもなく悩んでいる。
「記念日に指輪は重いかぁ…?」
そう!!記念日プレゼント選びに!!!
明日は、俺とぺいんとの交際2年記念日。
去年は俺が記念日を忘れていたせいで散々な目に遭った。なので今年こそはちゃんとお祝いするのだ。
…しかし、プレゼントを選んでいたら悩みすぎてとうとう前日になってしまった。
まずい。このままではノープレゼントで記念日を迎えてしまう。そんな事態になればアイツはどうなるか。多分泣く。それはもう心苦しいほどに。ギャン泣きではなく、すんすんと泣くだろう。きっと「別にいいよ…」とか言いながらこちらに気を遣わせないよう背を向けて声を抑えて泣く。それが一番心臓を締め付ける泣き方だというのに。
そんな事態は絶対に回避しなければ。せっかくの記念日だ。お互い幸せに過ごしたい。
こんなことを考えながら高めのアクセサリーショップの指輪コーナーの前でウンウン唸る。どうせならアイツを思い切り驚かせたい。
「指輪をお探しですか?」
「えっあ、はい」
突然店員さんに声をかけられびっくりする。
「プレゼントですか?ご自身用ですか?」
「プレゼントです。…恋人に。」
「素敵ですね〜!よければこちらのカタログをご覧になりながらお選びになってはいかがでしょうか?」
「おぉ〜ありがとうございます」
店員さんに貸してもらったカタログを見る。女性向けとか、男性向けとか、…恋人向け、とか。恋人向けの中にも最近は結婚する人向けとパートナー向けというのもあるらしい。種類が多くてよく分からないな。とりあえず男性向けのページを見る。シンプルかつ洗練されたカッコいいデザインが多く並ぶ。個人的にはあまり派手じゃない方がいいので、好みのものが多い。
「うーん…悩むなぁ」
「よろしければお相手の特徴等教えていただけますか?その情報をもとにオススメ商品をピックアップしますよ」
「ほんとですか?えーっと、泣き虫で情けなくてヘタレなんですけど…」
「あ、あはは〜なるほど…」
「でもいっつも尽くしてくれるし、いざと言う時頼りになるし、なにより…」
「…なにより?」
「…笑顔が、可愛い。太陽みたい。」
ぺいんとの笑顔を思い出して、思わず顔が綻ぶ。
「…恋人さんのこと、本当にお好きなんですね。そこまで顔に出るなんて」
店員さんが口を手で隠しにっこり笑う。
「はは〜、まぁゾッコンってやつっすね」
なんだか照れてしまい、頭を搔いた。
「では恋人さんのご年齢とご職業をお伺いしてもよろしいですか?お年やビジネスシーンを気にされる方もいらっしゃいますので」
「年齢は29で職業は…在宅でできるやつです。なのでビジネスシーンとかはあんま気にしないかも…?」
「承知しました。ではこちらの指輪はいかがでしょう?」
「うおぉ〜…大人っぽい」
店員さんが示したページには落ち着いた大人の印象がある指輪がたくさん並んでいた。その中でも一等輝いて見えたのが、ページの端っこに載っている指輪だ。
「あの、これ実際に見せてもらうことってできますか?」
「はいもちろん!ただいまお持ちしますので少々お待ちください!」
店員さんがスタッフオンリーの扉をくぐって行くのを見送り、しばらく待つと戻ってきた。
「お待たせしました!こちらでございます」
「うわぁ〜…!!」
その指輪は、小ぶりではありつつもしっかりと主張された宝石が輝いていて、リングの細かい彫刻が目を惹く一品だった。この上品かつ主張を忘れないところがアイツにピッタリだと思った。そう思ったらもう早かった。
「これにします。」
「そ、即決ですか?!かしこまりました。カラーはどうされますか?」
「カラー?」
「はい。こちらは宝石の色違いが何点かございまして。宝石の意味でご購入される方もいらっしゃいますし、お相手のイメージカラーでご購入される方もいらっしゃいます」
(そんなの…もう決まってるじゃん)
「黄色と青のやつください。ペアにします」
「かしこまりました!」
店員さんはにっこり微笑んで「ではご準備しますので店内でお待ちください」と言った。
しばらく待ったあと、店員さんに呼ばれた。
「商品こちらでお間違いないですか?」
キラキラと輝く黄色と青の指輪を差し出される。
「はい、間違いないです」
「かしこまりました。ではお会計○○万円でございます」
「カードで」
購入(チャリン)
(うおおおお〜〜〜〜〜!!!!買ったぞ〜〜〜!!!!!!)
喜んで、くれるといいな。
俺は密かな期待を胸に、店を後にした。
家の前。
この日まで数週間、俺たちは分かりやすく浮かれていた。ぺいんとは「記念日の日は16時まで帰ってこないで!あ、いや!帰ってきてほしくないわけじゃなくて!準備があるから!あっ、聞かなかったことにして!?」とか騒いでたし。俺は俺で「指の号数占いってのあるらしいよ?ぺんちゃん号数測ってみない?え“っなんで測るやつ持ってるかって…だっ誰でも持ってるだろこんなの!?(?)」とか言ったし。多分、お互い浮かれてることは伝わってるし、分かってる。それでも浮かれるのをやめられないのは……お互いに浮かれることすら楽しいのと、それだけ記念日が待ち遠しいからだろう。
(もう16時。…よし、帰るか)
ぺいんとの家からいつの間にか俺たちの家になっていた場所へ、帰る。
「ただいま〜!」
そう挨拶をすると、廊下の奥からダダダと音が聞こえてきた。
「おかえりっ!らだぁ!」
勢いよく抱きついてくる愛しい恋人。
「…らだがこの腕の中にいることが嬉しすぎる…」
「小っ恥ずかしいこと言うなぁ……ね、ぺんちゃん」
「なぁに?」
世界一愛しい恋人の眩しさに目を細めながら、鐘を鳴らす。
「記念日、始めよっか。」
「…おうっ!」
___________________
一旦!!!!!!!!ここで区切り!!!!!!!続きは思いついたら書きます…