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なつみかん
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次の日の朝、大きなあくびと伸びをしながらリビングへ起きてきたリヒト。
「おはよ〜セレス」
「リヒトさん、おはようございます。体調は大丈夫ですか?」
セレスは昨日の事を思い出し、心配そうに尋ねる。
「すっごく元気!」 とガッツポーズして見せる。
それを見て、安心した表情に変わるセレス。
「よかったです。昨日はすいませんでした。血が苦手と知らなかったとはいえ無理をさせてしまいました。」
「セレスは気にしないで!オレが診療所だから血を見るかもしれないってわかってたのに言ってなかったのが悪かったから」
「そうですか。そう言っていただけて助かります。ですが、」
セレスはリヒトの手を取る
「無理してはいけません。先日、休むことは大切だと言いましたが、つまりは″無理しない″と言うことですよ。」
リヒトは「ごめん」と謝りしゅんとする。
「ふふ、謝らなくて大丈夫ですよ。ただ私はリヒトさんが心配なのです。」
「心配?」
「はい。また無理をして倒れてしまわないかと。出会ったあの時のように、ね。」
セレスはリヒトの方に向きニコッと笑いかける。
「でも、今は元気そうでよかったです。安心しました。」
セレスの表情は医者としてのものだけではなく、本当に心配していたんだなとわかるものだった。
「心配かけてごめん…でも、もう大丈夫だから!」
とその時『グ〜〜〜』という音が部屋に響いた。リヒトのお腹の音だ。
「あ、あはは…朝ご飯まだだからさ」
気まずそうにお腹を抑えて、誤魔化すように笑う。
「ふふ、そうですね、では朝食にしましょう。」
そう言うとセレスは、キッチンの方から運ばれてきたお 皿には、ソーセージと目玉焼き、ロールパンにトマトやブロッコリーが乗っている。カップにはたっぷり野菜の温かいスープが入っている。
「いくら元気でも、ご飯を抜いては力が出ませんので。」
「そうだな!ありがとう!」
リヒトは椅子に座ると「いただきます!」と元気よく言って勢いよく食べ始める。
「んー!これすごくおいし!」
「そう言ってもらえて何よりです。誰も取らないのでゆっくり食べてください。」
穏やかな眼差しでリヒトを見つめるセレス。
十数分後…
「ごちそうさま!」
リヒトは手を合わせてそう言うと勢いよく立ち上がる。
「朝ごはんは足りましたか?」
「あぁ、大丈夫!お腹も元気もいっぱい!」
リヒトは再び元気よくガッツポーズをして見せる。
「だからさ、何かセレスの仕事、手伝わせて!」
セレスは一瞬きょとんとした後、困った表情になる。
「ですが…」
セレスはわずかに眉間に皺を寄せた。まだ本調子ではないかもしれないリヒトがやはり心配なようだ。それを見たリヒトは、ニコッと明るく笑い元気に言った。
「大丈夫!本当にもう平気だから!な?」
元気だとアピールするリヒトに一瞬言葉が詰まったが、セレスはため息をつき口を開いた。
「…わかりました。ただ約束してください。」
「約束?」
首を傾げるリヒトに、真っ直ぐ目を合わせる。
「はい。絶対に無理しないという約束です。」
セレスは真剣な表情だ。
「わかった!絶対約束する!」
リヒトは迷いなく即答する。それを見てセレスは表情を緩める。
「では、これを魔法素材店に行って買ってきてほしいのです。」
そう言いながら白衣のポケットからメモ紙を取り出す。
「ん?これは…なんだ?」
リヒトはメモ紙を見て首を傾げている。
「これは薬草の名前ですよ。」
「薬草…」そう呟くと困ったように眉を寄せるリヒトに、セレスは微笑む。
「ふふ、わからなければお店の方にこのメモを渡してください。」
セレスにそう言われるとリヒトは「なるほど!」と言う表情になる。
「お店の場所はわかりますか?」
「わかんない…」
リヒトは申し訳なさそうに答える。
「大丈夫ですよ。この街に来てから日も浅いようですから。この診療所を出たら真っ直ぐ行った先に青果店が右に見えます。その青果店の横の道を曲がって路地に入ってください。そのまま道なりに進むと着きます。」
「青果店だな、わかった!」
「では、これを」
セレスは先ほどメモ紙を取り出したポケットから硬貨の入った巾着を取り出しリヒトの手に握らせる。
「くれぐれも無理はしてはいけませんよ。」
セレスはリヒトに念押しする。
「あぁ!わかってる!約束したからな!絶対に無理しない!」
セレスは安心したように小さく息をついた。
「気をつけて行って来てくださいね。」
「あぁ!いってきます!」