サァァァァァ
「今日で7年経っちゃったよ」
『一緒にこの朝顔、育てようよ!』そう、二人で約束した日に、朝日は消えた。
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私は水咲中学2年C組 麻木司央(あさぎしお)
今水をやっているのは、淡いブルーの朝顔。あの人と、毎日水をやって育てよう なんて約束した。
あの人とは、瀬尾朝日(せおあさひ)
私の、想い人。
でも、その想いを伝える前に、朝日は消えた。両親か離婚して、引っ越していったらしい。
小1のころの儚い約束から7年。未だに私は朝顔に水をやり続けている。
こんなに一途なのに、彼氏は一度も出来たことなし。
朝のチャイムが鳴る。この学校は校則がゆるい。そこで選んだのだが、なぜか着席時間にだけ厳しい。
ギリギリで席につく。
「どこに行ってたの?麻木」
隣の席の藤坂が話しかけてくる。もちろんスルー。
毎日のように話しかけてくるので、おかげで私は素晴らしいスルースキルを身に着けたのである。
「ヒドいなぁ。無視するなんて。」
もしあそこで答えていたら、一軍女子が一瞬で周りを取り囲んで、「なんであいつと話してたの〜?」「あいつが話しかけてきたんじゃなぁい?」などと話していたことだろう。
面倒事には関わらない。それが私のモットー。
藤坂は、後ろの女子と話し始めた。何がそんなに面白いのか、癖毛を揺らして笑っている。
そういえば、朝日も癖毛だったな。藤坂とは真逆だけど。
朝日は大人しくて、花が好きな人見知りの男の子だった。
顔も可愛い方だったから、しょっちゅう女子と間違えられていた。本人は嫌がっていたが、正直に言って羨ましい。
そんなことを思いつつ、朝読用の文庫本に目を落とす。
今読んでいるのは恋愛小説。幼馴染と付き合うという、ベストセラー漫画のノベル版だ。
私は、思ってもみなかった。まさか、☓☓☓になるとは…
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