桃赤
メモの奥底にあったやつ
プツッと、通話を切って布団に包まる
顔の近くで尻尾をフリフリと揺らすつくねを撫でながら、まだ頭から離れない言葉に顔を赤らめた
『_…もしもし、莉犬?』『…あのさ、____』
だって急に真剣な声で話し出すから
ギュッと、つくねを抱きしめる
通話越しの少し低い声
その中に甘さと優しさを感じた
何処か探るように、遠回しに伝えてくるさとみくんが、何処かとても愛しく思えて
“好きだよ”
そう言って欲しそうにしている君に、少し、意地悪な電話の切り方をしてしまった
おもちゃで遊ぶつくねを見つめながら微笑んで
「……でもね、さとちゃん」
重くなっていく瞼
「…聞かせてあげない」
心が満たされたまま、俺は眠りについた
目の前に映る桃色
『さとみくん!』
名前を呼んで、振り返った彼は、とても愛しそうに、優しく俺を見つめて笑った
『莉犬』
「…………ん、、」
数度、瞬きをする
どうやらミーティングが終わった後、そのまま寝てしまったようだ
顔にかかった少し長くなった髪をどかす
その時、ある違和感に気がついた
右手を見てみると、俺より大きな手が重なっていた
隣を見てみると、静かにスマホを弄っている彼がいて
俺が起きたことにまだ気づいていない様子
彼から目を逸らして目を瞑る
右手をひっくり返して彼の手に指先を絡ませた
その時ビクッとなった後、ゆっくりと指が絡んだ
きっと、今彼はそっぽ向いてるんだろうな
きっと、頬をほんのり赤く染めていんだろうな
握られた指から熱が伝わって、なんだか胸が締め付けられて、とても熱い
ねぇ、さとちゃん
好きだよ
~ end ~
コメント
2件
めためた尊かったです💭 ほのぼの系いいですね🤲🏻