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〜授業〜
第20話
あれから……まぁ、色々あって次の日には教室に帰れた。
……しっかり、怒られた。教皇様にも、黒猫にも。
ルイスも、生きてたら怒ってたな……っ……
まぁ、泣いたのはマリアだけど。
ミヒャエルさんは……会いに行ってない。やっぱり、ミヒャエルさんに対して罪悪感しか無い。
それで、今日から実技の授業があるらしい。マリアからの情報だ。
でも……
「剣の構え方は、こうして……」
基本のき。
だけど、前世では世間一般常識と認識されるくらいの所から始めた。
それも、非効率。
「……あの人、俺でも勝てる気がする」
黒猫が私の腕の中でそう呟いた。
「うん。少し、黙って話聞こうよ。技術、進んでるかもしれないし」
「そうだな」
ハラルド先生は、ガタイの良い、顔に傷跡だらけの先生だ。脳筋って言われても納得いくけど……めっちゃ、勤勉で、剛健だ。
そんな脳筋みたいな、素振りをしている。
一回一回の軌道が数センチも違う。
……一応、剣術の先生だとは言ってたけど……え……?
「じゃあ、皆もやってみようか」
皆は立ち上がって木の剣を片手に、唸っている。
ん? 何が分からないんだろう?
「ねぇねぇ。ハンナ。全然、分からなかったんだけど……」
マリアが、一目散に私に駆け寄ってきた。
……確かに、抽象的ではあったな……
私は、魔法で最初来た時の姿になった。こっちの方が教えやすい。
「ええっとね。この構えは、一番スタンダードで、簡単なんだけど……やってみた方が早いよね」
後ろから、マリアの手を掴んで剣を振るった。
すると、魔力を込めずにやったからか、風の刃が見える。でも、威力弱々のスローモーションのような速さ。
でも、そんな弱々攻撃を放ったからか、クラスの皆が固まった。
「あ、これは全然、威力が弱いから踏み込みをしっかりして、腕の力の入れ具合をしっかりすれば、これの数倍は強くなるよ」
「え……? これより、強い……?」
マリアは、私の激弱攻撃に対しての言い訳が受け入れられてなかった。
え……?
確かに、この世界に来て色々と違和感があった。
とても強いって連れてこられた黒猫が激弱だった事。ルイスも、その半分くらいの戦闘能力だった事。
……入学してからは……外に見える他学年の実技訓練のレベルが低すぎた事。この時代の賢者が、前世の時代のEランク冒険者と同じくらいの強さという事。
……いや、あの『電撃の賢者』みたいな人はキモすぎて、思考がストップされちょっただけだから。というか……皆、戦闘能力があの人が一位って言うけど、キモさだけがズバ抜けて一位だからね。
「……ハラルド先生。組手しませんか?」
「あ、あぁ。いいぞ」
ハラルド先生も、思わず動きがカクカクで、スローモーションだ。
私と先生は、グラウンドの中で向き合った。
結界は私が張ってる。
その結界の周りには、クラスの人たちが見逃すまいと言わんばかりに、見つめられている。
……緊張するなぁ。
「じゃあ、降参するまで続ける、三本先取でやる。ハンナは魔法は禁止だ。よーい。始め」
黒猫がそう合図してくれたのと同時に、ハラルド先生は私に向けて攻撃してきた。
私は、横に避けた。ハラルド先生は、三メートルくらい間を空けた。
うん。いい判断かもしれないけど……
縮地を使った。魔法ではない。
「ぬっ……!」
私は、筋力強化も、重力も上手く使えないから、普通だったら、このまま負ける。
だけど……
「この、おりゃーっ!」
先生は、私の攻撃を真正面から受け止めた。
でも、ガタイの良いハラルド先生くらいなら、弾き返せる。
……私の予想とは違い、ハラルド先生はお腹に蹴りを入れてきた。魔法をかなり使っている。
不利状況だ。
マズイっ!
私は、かすりながら避けた。かすっただけでも、私の体は宙に浮いた。
……かなり痛い。
顔をしかめて、着地した。
「……本気じゃないんだよな?」
「? はい」
「先生は、これから本気で剣を振る。ハンナも、そうしてくれ」
「斬り伏せる」
私は、そう言ってから頷いた。
……よし。勝ってやる。
私は、真正面から、剣を振るった。
でも、ハラルド先生の『一定じゃない軌道』を読むのが大変だ。
それに、先生は力尽くで私を倒せるだろう。
魔法使いたいっ!!
笛吹の少女だよ。私はっ! 魔法少女と言ったら……過言か。
でも、剣は苦手分野の中でも、苦手なんだから。
連撃で攻撃しているけど……ハラルド先生、押されてない?
私は、ピョンと一歩離れた。
……この激弱の体でここまで、大男が押されるのか?
「ハァ、ハァ、ハァッ、ハァ……」
先生は片膝を地面につき、肩で息をしている。
「力が強いですっ……」
私も、乱れた呼吸で剣を握ってハラルド先生の首元に木剣を添えた。
「勝ち、でいいですか?」
「あぁ。降参だ」
私はその言葉を聞いてから、結界を解いて先生に手を差し出した。
「魔法が使えないってのは、かなりキツイ縛りですね」
微笑みながら、そう言うと苦笑して……先生が地面に倒れ込んでしまった。
コメント
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こはるさん、第20話読みました! ハンナさんが実技授業で先生と組手をする場面、すごく引き込まれました。「魔法禁止」という縛りの中で、自分の苦手な剣術で本気で向き合う姿がかっこよかったです。最後の「魔法が使えないってのは、かなりキツイ縛りですね」の微笑みに、強さと余裕を感じて痺れました✨ ハンナさんの視点から見たこの世界の戦闘力の違和感も気になります…続きが楽しみです!