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帰国してまだ3カ月程度という割には、徳川は秋葉原をよく知っていた。ゲーセンにはいると、勉の知らない機種を梯子している。徳川はそのたびに鞄から手帳を出し、何やら書きこんでいる。ちらり見えたのは、ただのぐちゃぐちゃの線だった。何を書いているのか勉が問うと「機種のビジョン」という風変わりな答えが返ってきた。窓のない部屋で冷風を浴びるうちに、ポロシャツは袖口あたりから肩にかけて乾きはじめた。背と胸は汗の分だけかえって冷たい。勉はそろそろここを出ようと提案した。徳川の、あともう一ゲームだけという言葉を4度ほど聞いたのち、彼らは元の灼熱の街に出た。シャツは一瞬で元通りとなる。