TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

孤独な翼

一覧ページ

「孤独な翼」のメインビジュアル

孤独な翼

16 - 鉄格子越しの誓い

♥

1

2026年01月24日

シェアするシェアする
報告する

神殿を出ると、聖騎士候補生たちの声が空気を震わせていた。前線の話を聞き終えたばかりなのだろう。

「ついに、憎い悪魔を倒せるんだ!」

「ちょっと…怖いな…」

さまざまな声が入り混じる中、セリスの姿もあった。しかし少年は彼らに目を向けることもできず、ただサリエルのいる地下牢へ向かった。

地下牢は湿った空気が重く、石壁に当たる水滴の音だけが静寂を切り裂く。冷たい石の匂いが鼻を突く。

鎖に繋がれたサリエルは、いつもの気だるげな姿勢で鉄格子の向こうから少年を見上げた。

「…サリエル、私は明日には前線に戻ることになった。」

少年の声は小さく、しかし決意の重みを帯びていた。手には戦士としての覚悟が滲んでいる。

サリエルは一瞬目を細め、微かに口角を上げた。

「ふ〜ん…寂しくなるな。まあ、僕がここで暇してるだけか。」

その笑みには、皮肉と、ほんのわずかな温かさが混ざっていた。

少年は鉄格子に手をかけ、冷たい金属を握りしめる。

指先に、戦士としての覚悟と恐怖が絡み合う。

「でも…サリエルの仲間である悪魔たちを…倒さなきゃいけないんだ。私は…迷わず切れるのか…。」

胸の奥が締め付けられ、言葉に出すたびに自分の決意が揺らぐ。

サリエルは、少し肩をすくめて寂しげに笑った。

「仕方ないよな…僕の仲間だもんね。あなたは正しいことをするだけだ。」

その笑いには、諦めと哀愁が混ざり、少年の胸に刺さった。

「もう逃げられない…仲間たちが待ってる。」

「へぇ、仲間か…真面目君だね。」

サリエルはくすくす笑い、鎖に縛られた体をわずかに揺らした。

「…前はそうじゃなかった。でも今は違う。私が信じるもののために戦う。」

少年の声は震え、胸の奥に熱い光がともっている。

サリエルは笑みを消し、真剣な目で少年を見た。

紫色の瞳が、松明の揺れる炎を映して深く光る。

「そうか…なら止めはしない。でも忘れるな。あなたの言う『正義』は、時に人を縛る鎖になる。誰を守りたいのか、その心を見失うな。」

その言葉が胸に突き刺さり、少年は無意識に鉄格子を握りしめた。冷たい金属が痛いほど手に伝わる。

「…サリエル…」

サリエルは肩をすくめ、いたずらっぽく身を乗り出した。

「まあ、心配しなくていい。当分は消されることは無いだろう。」

少年は小さな金色の光を宿した瞳で微笑む。

「…ありがとう、サリエル。あなたがいてくれてよかった。」

サリエルは目を細め、少しふざけた口調で答えた。

「珍しく素直だね〜。でも僕も…あなたがいてくれて、悪くないかな。じゃあね、不器用な天使さん。」

鉄格子越しの二人は、冷たい空気の中で言葉の重みと温もりをそっと噛みしめる。

湿った地下牢の冷たさも、わずかな光も、二の別れの時間を止めることはできなかった。

この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚