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呪いと呪い
第59話
私は客室から出ていった。
あの男っ……他人の魂の事を……
私は、湯船に浸かりながら嗚咽をこらえていた。何もできなかった私が悔しい。
私は、メルカディアの夜景を三階の自室から眺めた。
あの日――サントラップに初めてきた日と変わらない。
反対側にある建物の中に光が灯って、夜空は綺麗にキラキラと星屑が散らばっている。その中でも月が一番に光ってて、先導しているみたいに見えた。
笑顔を忘れた時だけ、この夜空を眺める。
今日はどっと疲れた。それに、これから先に私が笑顔になれる日が来るのだろうか……?
この力を使いこなしたら、毎回仲間が離れていく。勿論、一緒にいようとしてくれる人たちもいたけど、信じられない。
いつ、どこで、死ぬのか分からない日々が怖い。そして、あの男が死んでも転生させる。
呪いを解いてほしいのに、解いてくれない。やりたい事なんて、本当に諦め……
知らない人に誘拐されたってもう、知らん。嫌。
……涙があるだけまだましかな……無表情、朴念仁にはもうなりたくない。
私が泣きたくないのに、頰を流れる涙を拭っていると、扉が二回鳴った。
「リナ。開けるぞ」
カールさんの声だった。
……完全な泣き顔なんだよね……見られたくなかったし……まぁ、泣いてるのはバレバレなんだろうけど。
「はい」
私が短く答えると扉が静かに開いた。
「リナ。ノアが帰ってこないんだが……知ってるか?」
え? ノアが?
「いえ。客室からも、出てきてないんですか?」
私は焦ってノアの魔力を探った。少なくとも、サントラップ周辺にはにはいない。
「あぁ。忘れ物か何かあったのか分からないが、ケスラー家にはニルスが行っている」
「……少し出かけてきます。明後日の朝までには戻りますので」
裏のやつらが最近、跳梁跋扈ちょうりょうばっこしている。そんな不穏な話を聞いたから不安になったのだろう。
それか、その不穏な気配だけを追って私の前前前世の家に行った線も外せない。ノアならやりかねないし。
「気をつけろよ。あまり良くない噂も流れてる」
「はい」
私は、フードを被ってからサントラップを出た。
❂
俺は、無意識に沢山の情報の中に埋もれていた。
俺も、呪いがかかってるという事。リナとはまた別の。
それで、俺の前世は、ここ――カナルという街でリナの前前前世を知った。
あの人生は、百七十歳まで生きた。
でも、途中から入ってきた記憶は、本当の物って受け入れ難い。
リナの気持ちが分かった気がする。
「見ない顔だね。どこの人なの?」
仕入れて途中の八百屋さんのお姉さんが笑顔で話しかけてきた。
「メルカディアからです」
「そう。遠くからよく来たね。両親は?」
「地元に住んでいます。俺は一人暮らしを満喫しているので」
嘘は、本当の事と混じり合わせるとバレにくい。リナの教えだ。
「そうなら、カナルの水辺の夜景が綺麗だから、見に行くといいわ」
「ありがとうございます」
俺はペコリと頭を下げた。
先ず向かったのは、あのリナの前前前世の家。
その家は、売られる事も無く、何も手入れをされてこなかったみたいだ。
草は生い茂っていて、ボロ屋で、瘴気に満ちあふれている。それに、金色の一筋の光も見える。
俺が家の前で止まっていると「そこの小僧。この家がどうしたんだい?」とお爺さんに声をかけられた。
「あ、ここは何で売られてないんだろうって、少し疑問に思っただけですよ」
「この家は、わしのお祖父様が子供の頃くらいに、一人暮らしの女が住んでいたんだ。最強っていわれてたけどな、いつしか『忌み子』扱いされて……今の見る通り、誰も足を踏み入れておらん」
忌み子……
リナもそんな人生が……
「入ってもいいんですか?」
「何があっても俺は知らんぞ」
「分かりました」
そう言って俺は家の扉に手をかけた。でも、鍵がかかっている。
……リナから教わったハッキングをすると、一瞬だったけど。
家の中に足を踏み入れると、瘴気が見えた。何かの残留している思いが。
……あの時に俺は何も出来なかった……同罪扱いなんだろうな。
その他は普通で、埃が被っている。ボロボロで、床がギシギシといったり、雨漏りも酷い。
俺は慎重に、さっきよりも濃くなった瘴気を振り払いながら奥へ進んでいった。
すると、白骨化した遺体と、青白く光る剣が横にあった。
『ノア。危ないぞ』
そんなソースの声が聞こえた。
俺はその声に気を取られて、何かに意識を飲まれてしまった
コメント
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第60話、読み終えたよ〜!リナの心情がすごく伝わってきて胸が苦しくなったわ…。あの夜空を見上げるシーン、涙を拭いてもまだ泣いてる自分に気づくところ、すごくリアルだった。ノアの視点になってからも、リナの「忌み子」扱いされてた過去を知る展開が重くて。最後の意識を飲まれるところで続きが気になりすぎる!次回が待ち遠しい🔥