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【その朝、猗窩座はいなかった】
黒死牟を葬った“太陽の力”。
それを放ったのは、猗窩座だった。
左腕を失い、鬼の核を焼き尽くし、すべてを消した。
辺りには静寂だけが残り、
侃の声が風に飲まれて消えていた。
「……お前が……いなくなるなんて、思ってなかったのに……」
(置いていかないって言ったくせに……)
(俺は、まだ……何も伝えられてないのに)
⸻
【その夜、遺された“手紙”】
戦後処理の中、義勇が一通の封筒を持ってきた。
「……猗窩座が遺していた。“もし、自分に何かあったら、これを渡してくれ”と」
手紙には、侃の名前が書かれていた。
【凩 侃へ】
よお、これを読んでるってことは……俺は、いなくなっちまったんだな。
でも、後悔はしてねぇ。最後に“誰かを守れた”って感じられた。それだけで、俺はもう、十分だ。
お前と出会ってから、ずっと俺は変わった。
最初はただの餓鬼だったのに、柱になって、大勢を守るようになって……そして、最後まで人間であろうとした。
お前は、強い。でも、それ以上に“優しい”。
だから苦しいことも多かったと思う。
お前が泣きたくなったとき、俺がいないのは悔しいけどさ。
でも、その時は思い出してくれ。
“誰か一人でも、お前の生き様に救われた奴がいる”ってことを。
それが俺だ。
最後まで、お前の隣にいたいと思ってた。
本当に、ありがとう。
――猗窩座
侃は、読み終わるまで何も言わなかった。
ただ、手紙を胸に抱いて、
生まれて初めて、本当の涙を流した。
⸻
【その後日――柱全員が再集結】
最後の戦いが、迫っていた。
鬼舞辻無惨。
すべての鬼の元凶、そして“侃を鬼に仕立てようとした存在”。
「奴の居場所が判明した。新・無限城にて待機している」
鬼殺隊本部にて、悲鳴嶼が告げる。
「すべての柱、そして選別された剣士たちで、一斉に突入する」
「……待ってください」
侃が、口を開いた。
「“俺が先に行きます”」
「おい待て、無茶は――」
「“俺にしかできない”んです。奴の“標的”は、俺。
なら、俺が正面から乗り込む。それが、俺のけじめです」
静かに、柱たちはうなずいた。
⸻
【突入前夜・炭治郎との会話】
夜。
満月。
凛とした空気。
炭治郎が、侃のもとに立っていた。
「……ありがとう。凩さんがいてくれて、良かった」
「俺は別に……何もしてないよ。
お前の方がずっと、“人間らしい”」
「そうかな。でも、僕には……凩さんみたいに、誰かの光になる力はないよ」
「あるよ。俺は、お前に救われた。お前が、鬼になってもなお人間でいようとした姿を見て、
“俺も人間でいよう”って思えたんだ」
「……凩さん」
「じゃあな、炭治郎。また朝に」
⸻
【突入・無限城】
突入開始。
すべての柱、剣士、そして凩 侃。
侃の鬼化進行率:50.0%で凍結
自我が完全に“鬼化”を抑え込んだ。
そして、無惨の玉座へと続く扉を開いたのは――凩 侃だった。