**タイトル:「夢の中で待つ君へ」**です
いつからこんなの書いてないんだろってメモアプリ行ったら大量の作り置きが見られたので公開します
ちなみにポオ君は探偵社にいます
夜ごと、ポオは同じ夢を見る。
深い霧の街。
鳴らない時計塔。
誰もいない路地の先で、ひとりの男が立っている。
「やあ、また来たね」
──それは乱歩だった。
夢の中でだけ会う、乱歩。
ポオはその夢を現実とは認識していなかった。だが毎晩、彼はそこにいた。
ある日、現実の世界で事件が起きる。
探偵社とマフィア、両者に届いたのは「夢を喰らう殺人鬼」の予告状。
夢の中で会った人間が、現実で心臓麻痺を起こして死んでいくという奇怪な連続事件。
「ねぇ、ポオくん。君は……夢で僕と会ってるって、覚えてる?」
現実の乱歩がそう言ったとき、ポオの心に初めて微かな亀裂が入った。
「君は、夢の中の君と……違う。だが、確かに同じである」
夢の中の乱歩は、現実よりも少しだけ優しくて、少しだけ弱かった。
それでも、彼に惹かれていく心は抑えられなかった。
夢を追うふたりの捜査は次第に、*夢そのものが仕組まれた「罠」*であると突き止める。
夢を通じて、誰かが「真実と虚構、そして心」を操っていた。
そして迎える、最終夜。
ポオは夢の中で、乱歩に向かって言う。
「……君が、本物か幻か、もうどうでもいいである。」
「ポオくん……」
「君を好きになったのが“本物”なら、それだけでいい。」
乱歩は、微笑んで、手を伸ばした。
「じゃあ、僕は“本物”になるよ」
触れ合ったその瞬間、夢の世界が崩れ落ちた。
──ポオが目を覚ますと、そこは病室だった。
現実の乱歩が、ベッドの隣に座っていた。眠っていたポオの手を握ったまま。
「……おはよう、ポオくん。長い夢だったね」
「……どこまでが、現実である?」
「それは……君が僕を好きかどうかで決めたら?」
ポオは、一瞬黙って、それからふっと笑った。
「……なら、君は現実だ」
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