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「フーゴ。大丈夫かい?」
フーゴは目を見開いた。それも無理はない。僕がアルファだからだ。それにしても凄まじく甘いフェロモンだ。僕は正気を保ったまま話せるだろうか。
「ジ、ジョジョ!?な、どうして!?」
「少し外出していたんだ。」
酷く動揺しているようだ。僕はなるべく落ち着かせるように、ゆっくり、冷静に見えるように努めた。それにしてもフーゴは顔が紅く、とても色っぽい。僕も限界が来そうだ。その前に早く話を終わらせねば。
「いいや。そんなことよりもフーゴ。少しこっちへ来て。」
フーゴを路地裏へと誘う。この時、少しよからぬことをしようとしたのは否めない。
「単刀直入に言うけど、君はオメガだね?」
本当は最初にフーゴがオメガだということを知ったのは診断書だったのだけれど、そんなことを言ったら勝手に見たのをフーゴに知られてしまう。それは今後の信頼関係にも影響が出るかもしれないから絶対に避ける。ここで僕がフーゴがオメガだということに気づいたのはあくまでもフーゴからフェロモンが出ていたからだということにしておこう。実際、とてつもなく甘いフェロモンにもう脳が、理性がやられそうだ。
フーゴの顔が真っ赤に染まる。知られてしまった恥だろうか。目が潤んでいる。上目遣いでこちらを見てくる。
あぁ、なんて可愛らしい人なんだ。どこまでも僕の思考を振り回してくる。もっといじめたくなるじゃあないか。
こんなに思考を働かせてはいるが、もう本当にダメそうだ。
「ごめんね。フーゴ。どうやら僕は今どうしようもなく興奮しているようだ。」
僕は心の中で自分がアルファだから仕方ない、と言い訳をした。僕は童貞ではない。知らない下品な貴族の女に無理やりセックスを求められて望んでもいないのにしてしまった。その時は全く興奮せず、女に呆れられた。僕だってこんなに性欲に振り回されたのは初めてだ。もちろん、フーゴが好きだからだ。
「今から一緒にホテルへ行こうか?」
フーゴと、セックスをしたい。
そもそもこんなに乱れて色っぽいフーゴの前で平静を装うなんて無理な話だったんだ。僕はフーゴの事がどうしようもなく好きなんだ。十分我慢した。頑張った結果なのだ。言い訳がグルグルと心の中を巡る感じがした。
実際、フーゴも限界らしく、熱く、甘い息をもらしていた。
「ね。フーゴ。」
できるだけ、色っぽく、フーゴを誘うように。フーゴもその気になるように。すると、フーゴは目が溶けそうなほどとろとろになった。面白いくらいわかりやすい人だ。なんて可愛らしいんだ。
(よし。)
僕は勝ち誇った。