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月城 蓮桜音
34
羽海汐遠
14,514
#オリジナル
ゆいらーめん
512
「サラ、他に帰る方法はないの?」
「他? うーん、アタシは知らないわ」
ミニライト達もウォータも首を振っている。
帰れない。帰る方法がわかったのに。でも、帰れないということはアリスと一緒にこの世界にいる事ができる。
『帰りたいと願うなら――』
アリスの言葉が心のどこかに引っ掛かっている。
「リサは、帰りたいの? その指輪を貰ってるのに?」
「え?」
サラが左手の指輪を指差している。
「それ、誓いの指輪よ? この世界の男の子が産まれた時から持っているの。二個の指輪のうち一個は一生に一度だけ愛する人に贈って愛を誓う」
え? えぇぇぇぇ?!
まって、それってどういうこと? さっき、アリスは元の世界にって言っててそれで――。
『帰りたいと願うなら――』
わからない。私は帰りたい? 帰りたくない?
「あとその指輪――」
「「リサ、闇の精霊のことも忘れないでね」」
サラが喋っているところに、ミニライト達が被せてきた。
そうだ、闇の精霊のこともちゃんと考えないと。答えがすぐに出せそうにないから、一度私は頭の中を切り替える。
「闇の精霊については? 教えてくれることはあるの?」
「闇の精霊? いるわよ、そこにもそこにも」
サラがあちこち指を指す。
「皆みたいに、闇の精霊から浄化魔法を使える様にしてほしいの」
「あー、じゃあおちびちゃん達じゃダメね。闇の精霊の国に行かないと」
「やっぱり、タカマガハラに行かないとなのね。でも、その国が消失したって聞いたのだけど」
「精霊はこの契約の指輪に惹かれる。沢山の指輪があれば闇の精霊の国の近くに行けば精霊にも会えるのでは?」
「そうなの?」
ウォータに私は聞き返す。
「あぁ、まあ指輪には惹かれる、精霊自体には反発する可能性もあるが……」
何故か、サラがイーっと口を引っ張っているのはきっと気のせいだろう。
「じゃあ、とりあえず他の国を通る時に、残りの精霊さんにもお願いしてみる方がいいのかな?」
「あくまで可能性があるというだけだぞ?」
「うん、ありがとうウォータ。可能性0よりずっといいよ!」
「国が消失したといっても、闇の精霊はいる。会えるといいな」
そう言って、ウォータは姿を消した。
「何よー!水の聖女が決まってるからって余裕ぶっちゃって!」
サラはぷーっと頬を膨らませながら消えた。
「「おやすみ、リサ。またね」」
ミニライト達も、後を追うように消える。急にしんとなった部屋で私はサラが言っていたことを思い出していた。
『一生に一度だけ愛する人に贈って愛を誓う』
でも、この指輪を貰った時、アリスはこう説明した――。
『花嫁っていっても本当に結婚するわけじゃないよ。あくまで婚約的な? それに、リサちゃんはもとの世界に帰る方法を探すんだよね? だからそれまでの契約パートナーだよ!』
わからない。どっちがアリスの気持ちなの? この指輪は――、アリスは私の事をどう思っているの?
カチャリ
静かにドアが開く音がする。
「あれ、リサちゃん。まだ起きてたんだ」
「うん」
「眠れないの?」
「寝てたせいかな、目がさえちゃって」
「そっか」
アリスは横に座って、頭をポンポンと撫でてくれた。
「アリスちゃん、――」
帰る方法がわかったの。そう言ったら、彼はどう言うのだろうか。帰ることが出来るのなら、カトル王子に言ってでも逆転の儀をしようとするのかな……?
「ウォータがね、闇の精霊に会うならこうすればいいんじゃないかってアドバイスくれたの!」
「ん、どんな?」
「えっとね、――」
聞いてしまうと、今の関係じゃなくなってしまいそうで、とても怖い。こんなにも居心地がいい、ここは私にとってもう……。
私、臆病だな。
コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 うわあ……この回、ずしんときた…… リサが「帰る方法わかったよ」って言えなかったの、めっちゃわかる。だって言ったら今の関係が壊れそうで怖いんだよね。それに誓いの指輪の真実も出てきて、アリスの「婚約的だよ」って言葉と矛盾してて…どっちが本心なんだろうって考えちゃう。 ラストの「私、臆病だな」がすごく胸に刺さった。リサの不安と迷いがぎゅっと詰まった回だったね。次が気になる…!