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――その後も、私は妙に意識してしまっている。以前のように、普通に接しきれていない。
それはユキちゃんも同じ気持ちなのだろう。
お互い、妙によそよそしい。
ユキちゃんは目を泳がせて、もじもじと何かを話したいのだろうけど、きっかけが掴めていない感じ。
私がしっかりしなきゃいけないのに――。
部屋内でお互い背中合わせで勉強。それもはかどらない。
何時もは『勉強教えて~』と飛んで来るのに、今日は――。
刻一刻と時間だけが過ぎていく。
余り深く考えちゃ駄目だよね。
私はユキちゃんの“お姉ちゃん”なんだから――
「……ユキちゃん? もう遅いから、そろそろ寝ようか?」
何時も通り、平常心で。
「う、うん……」
明日になれば、また何時も通り――。
この部屋には、一緒に寝る為のベッドが一つしかない。
だから私達は、お互い抱き合って一緒に眠る。
これは昔から変わらない、毎日の日課。
「おやすみユキちゃん……」
「おやすみなさい……お姉ちゃん」
やはり何処かよそよそしいけど、何時も通り素直に床に入ったユキちゃんを抱き締め、私は心地好い温もりと共に眠りに落ちていた――。
*
“ガサガサ”
“ゴソゴソ”
「ん……」
――夜中に“何か”の擦れる音に、私の意識は目覚めた。
だけど目はまだ開けてない。
何の音だろう?
“ハァ……ハァ……”
微かに聞こえる、小さなくぐもった声。
この声は――ユキちゃん?
一体何をしてるの?
私は気付かれないように、うっすらと目を開き、状況を確認してみる。
「――っ!?」
私は自分の目を疑った。
そこには私の胸の中で寝ていた筈のユキちゃんが、何時の間にか起きていて、私のパジャマのボタンを外していく姿を――
「はぁ……はぁ……お姉……ちゃん」
一つ一つ外していくユキちゃんの声が、一段と大きくなっていく。
だけど私は目覚めない“振り”をしている。
それは驚き? ううん――きっと違う。
それはある種の“期待感”だった。
あの大人しいユキちゃんが私を――。
そして――パジャマのボタンは全て外され、私の二つの胸はユキちゃんの前で露になっていた。
私は風呂上がりから、朝起きるまでブラジャーはしない事にしている。
それは一緒に寝るユキちゃんへ、少しでもブラの接触による摩擦による、肌への負担を和らげる為だ。
それがこんな事に――でもユキちゃんは、これからどうする気なんだろう?
“もしかして私に欲情してる?”
それを考えると、胸の高鳴りが止まらなくなりそうになる。
私は期待を込めて、ユキちゃんの行動を待った。
――やっぱり私は何処かおかしい。
私はずっとユキちゃんを見てきた。ユキちゃん以外、目に入らなかった。
彼氏なんて作ろうとも思わなかったし、私にはユキちゃんが居れば、それで充分だった。
『僕は将来、お姉ちゃんをお嫁さんにする~』
そんなあどけない冗談さえも、心地好くて愛しかった。
ユキちゃんは将来、誰が見ても振り返るような、ハンサムな男性になるだろう。
姉馬鹿としての偏見としてでなく、ユキちゃんは誰からも敬われる程に輝いていた。
学校でモテるだろう。去年――バレンタインに沢山のチョコを持って帰って来たユキちゃんを見た時、私はどうしようもない嫉妬心を覚えたものだ。
それで辛く当たって、ユキちゃんを泣かせてしまった事は、今でも私の呵責になっている。
そんなユキちゃんが、将来誰かと付き合ったり、結婚したりする――と。
ごく自然な事の筈なのだが、それを考えただけで、どうしようもない迄の気持ちになる。
“ユキちゃんの一番の理解者は私”
誰にも渡さない。ユキちゃんは私とずっと一緒に――
もうこれは、単なる家族愛でない事は、とっくに気付いていた。
今日の風呂場での一件。
ユキちゃんを求めたい願望。
ユキちゃんに求められたい願望を――
“チュプ”
「――っ!」
不意に思考が途切れた。
乳首に伝わる感触に、私は危うく声を上げそうになった。
“チュプ チュパ”
ユキちゃんが私の乳首を、その小さな口に含んでいたから――。