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ななもり「じゃあ、そろそろ」
莉犬 またね、
ななもり「うん、またね」
ななもり「ゆっくり休んでね」
莉犬 うん、
なー君は病室を出ていった。
看護師「莉犬さん、昼食持ってきましたよ」
看護師「食べられなさそうですか?」
今日はなんだか、食べ物が喉を通らなかった。
朝ごはんも食べてみようとは思ったけれど、
朝だが食べ物を受け付けてはくれなかった。
看護師「ゆっくりで大丈夫ですからね」
看護師「それではまた来ます」
そう言って、看護師さんは姿を消した。
目の前には、少し前とは違う食べ物が並んでいる。
きっと作ったばっかりなのだろう。
食べ物からは湯気が出ていた。
お箸を持って、卵焼きを一口だけ頬張った。
少し甘くて、優しい味がした。
なんだか、前に食べた料理と似ていたような気がした。
目の前が急に霞んで見えた。
ベッドのシーツは少しずつ濃くなっていく。
何かが、頬をつたっていく。
きっと今俺は泣いている。
少し前も同じようなことがあった気がした。
その時はまだここには来ていなくて。
元気な時だった。
その日は珍しくころちゃんが俺に早朝からLI〇Eをくれた。
「ご飯作ったからおいでよ」
と、美味しそうなオムライスの写真と一緒に送られてきた一通の連絡。
急いで荷造りをして、ころちゃんの家に向かっていたのをよく覚えている。
その日は少し肌寒くて、でも上着を着るのがあまり好きじゃない俺は上着を着ずにころちゃん家に向かっていた。
家に着くと、
「寒くなかった?そんな格好で大丈夫?」
すぐころちゃんは心配した目でこっちを見た。
「大丈夫、大丈夫!」
俺はそう言って、そそくさと部屋の中に入っていった。
部屋に入ると、るぅとくんとジェルくんがいて話を聞くとだいぶ前からここにいるのだと言うことが容易に伝わってきた。
るぅと「莉犬!起きれたんですね笑」
莉犬「作業してたからね、笑」
ジェル「はよ寝なきゃあかんで?」
莉犬「わかってるよ笑」
莉犬「でも頑張りたくなっちゃうじゃん?笑」
職業病と言えばいいのだろうか。
俺が頑張れば頑張るほどにリスナーさんは歓喜を上げて喜んでくれる。
その姿を見ると、どんなに嫌なことがあってもすぐに忘れてしまうような幸せを感じる。
だから、また頑張ろうと思ってパソコンに向かってしまうのだ。
ころん「はーい、オムライスでーす」
莉犬「うわぁ、美味そー…」
るぅと「上手ですねやっぱり」
ジェル「久しぶりやわオムライスなんて笑」
莉犬「確かに笑」
オムライスなんて、最後に食べたのはいつだろう。
「わんわんおむらいちゅ」なんて、
俺の迷言?のようなものはあるけれど、
俺自体オムライスをそんなに食べる機会はない。
きっと最後に食べたのは、お母さんが作った味の薄いオムライスだろう。
ケチャップを買うお金が無くて、
塩で簡単に作ったオムライス。
味なんてほとんどしなくて、
素材そのままの味がした。
ころちゃんが作ってくれたオムライスは、
大きな卵の上に大きなハートが書かれていて、
とても愛らしいオムライスだった。
スプーンをもって、口に入れると優しさを感じる味がした。
この厚焼き玉子も、少しだけ砂糖で甘くされた優しい味。
目からこぼれ落ちる涙で少ししょっぱくなった厚焼き玉子は、どんなに食べても飽きなかった。
早く戻りたい。
早く活動を届けたい。
嬉しいを、楽しいを届けたい。
そんな前向きな気持ちはあるはずなのに、
つい後ろを見て下を向いてしまう。
早く来んな病気なんて治ってしまえば良いのに。
そんな気持ちを胸に、橋を置いて眠りに着いた。
コメント
6件

今回も最高でした✨ めっちゃ感動しました( இ﹏இ )
投稿ありがとうございますっ! なんか今回の小説の雰囲気すごい好きなんですが…!! 涙の表現の仕方などいろいろ素敵すぎますね〜… 「わんわんおむらいちゅ」元気な声でまた聞きたいですね!