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※この作品には(多分)全体的に不快と思わせる部分や、ショッキングな表現がされています。検索してはいけない言葉オールスターと合コンしてる様な感覚になるので合コンが苦手な方は逃げて下さい。
──────お父様は一輪の白い華を、何よりも愛した。
数十年前の事、六月下旬の雨上がりに、
ある貧相な家から出てきた
彼が見初めた「花」に付き添う男児に、
声を掛けた。
「その女人は、病気か?」
たった一言。
愛すべき“月下美人”の花
既にここから運命は決まっていた。
……………狂ってんだな。
“くだんない”
──────
お兄様だけは、信じてる。
私はそのまま「いつも通り」を過ごした。
そして幾年、
──
…
……
………
“止まった”。
直感する。
私の「白化」が
六歳にして、
金髪碧眼で止まった。
何故?
そうじゃない。
そこには着目しなくていい。
…どうなるんだ、私は、
私はあの人の「失敗作」になってしまった。
恐れていた事が起きてしまった。
私の「白化」はお母様よりもずっと早くて、
それが止まろうものなら、三日で気付く。
お兄様に言おうか?
でも混乱させてしまいたくない。
どうしよう。
どうしよう…。
「あの人に…愛され…な…い………」
元より愛されたくなんてないのに
愛される努力なんてしなくてよかったのに
勝手にあの人に期待されて愛されていただけなのに
どうして…
気持ちが相反する。
”愛されたい“
”愛されたくない“
愛されないと生きていけない…
愛されないと私はあの人に捨てられる…!
……いや、
良いのではないか?
見捨てられれば、私は「自由」になるのではないか?
此処から逃げられるのでは…?
いや、それではお兄様を置いて行ってしまう。
それだけはいけない。
でも…
それならどうすれば……
…。
「…もう…無理だ…」
色々な可能性を考えた上で、
やがて私は諦めた。
金色の御髪を鏡で見た。
日に当たり光るソレは、金紅石の如く輝いた。
だがあの人の目には、濁って見えるだろう。
青色の瞳を鏡で見た。
直線に入る虹彩は、星彩の如く煌めいた。
だがあの人の目には、腐って見えるだろう。
私にはどうしようもない。
私はお母様の様には成れませんわ、“お父様”。
私の見て呉れは所詮こんなものですわ。
だって…
貴方の血が混ざっているんだもの。
─────ざまぁみろ…────
「…痛ッ……!」
お父様の態度が急変した。
今までの事等無かったかの様に。
私は殴られた反動で床に手を付いた。
…判っていた事だ。
そして、いつの間にか私は完全に「閉じ込められた」。
惰性は直ぐ脆く、崩れた。
やはり私達のお父様は異常だ。
見慣れた小窓に桜が落ちる。
しかし此処に入ったら最後。
二度と出られない。
ようこそ、私の“かごめ”に。
私は出来損なった箱入り娘。
箱入り娘とは、愛された故の意味なので、
もう、その言葉も使えない。
成り下がった玩具。
後はあの人の願望で好きに捨てられるだけ。
その行動に口出し出来る人物は居ない。
唯一文句を言っても許されたお母様は、
もう直枯れる。
どれほど綺麗な花も、いつかは枯れる。
お父様は枯れた花など、見もしない。
元々、作品の為だけに嫁入りさせただけなのだろう。
私の為に。私をつくる為に。
故、私にとっての地獄絵図が完成した。
ここはお父様の独擅場。
周りの彼らはいわゆるモブ兼観客として、
私が見せしめにされる。
娘である私が。
どんどん私の体が傷付いていく。
少しずつ、何日も続いて。
つい最近まで、着飾っては上辺だけでも可愛がられた私が
無くなっていく。
痛い
痛い
痛いよお父様
やめて
殺さないでお父様
嫌だよ
私、そんな死に方したくない
痛みに悶え、目に涙が浮かんだ。
お父様に「泣くな!」と言われた。
徒花となった私のその声は不快だと
目障りだと
それなら、放っておけばいいものを。
私、何もされなきゃ、何もしないわ。
…普通の事なのに。