「今日からお前のパートナー、九条先輩な。」
その一言で、俺の寮生活はちょっとだけスリルのあるものになった。
……いや、最初から狙ってたんだけどね、九条蓮っていう男。
高2、成績はトップ、スポーツも万能、無口で近寄りがたいカリスマ性。
女顔ってわけじゃないけど、整いすぎててこっちが萎縮するほど。
そんな彼が、俺みたいな新入生の面倒を見るなんて――正直、もったいなすぎる。
「…荷物、持つから貸せ」
初対面で放たれた第一声。低くて無愛想。
でも、その手はやけに丁寧だった。まるで俺が壊れ物みたいに扱うから、ちょっと笑えてきた。
「ありがとうございます、九条先輩。…緊張してて、うまく喋れないかもですけど、よろしくお願いしますね」
あざといって? いや、これくらいは基本でしょ。
“九条蓮に気に入られた後輩”ってステータス、使わない手はない。
けど――俺は知らなかった。
この男の独占欲が、普通じゃないってことを。
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